《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第八十話

森を道なりに進んでいくが、徐々に馬車を引いているファロスの足取りが重くなってきたのをじる。

「……どうした? 疲れたか?」

気遣うようなハルの問いかけに、し後ろに振り返りつつ首を橫に振るファロス。

「ハルさん、違うみたいです。……周りの雰囲気がおかしいです」

警戒するような聲音でそう呟くルナリアは進行をハルとファロスに任せて、周囲を探っていた。

そのため、ハルよりもいち早く変化に気づいていた。

どんな些細な変化も逃さないようにとハルも改めて周囲を見渡す。

「――これは……魔力?」

どこから、というわけではなく、森全から強い魔力をじた。

「周囲の魔力が急に濃くなっています……これは、危険かもしれませんね」

まだ魔の姿は捉えられていないが、二人は嫌な予をひしひしとじていた。

まるでひたひたとなにかが迫るようなほどに魔力が濃さを増している。

「っ――ファロス、ルナリア……戻るぞ! 森から出る!」

ハッとしたように何かに気づいたハルが慌てた様子で二人に聲をかける。

森の中であるため、広い道ではなく、方向転換するのは難しかったが、ハルとルナリアも馬車から降りて急いで向きを変えていく。

「ヒヒーン!」

そろそろ元來た道に向かって、馬車を移できるというところでファロスが危険を知らせるように聲をあげた。

「くそっ、來たか!」

それは、魔たちの出現を知らせる聲だった。

「ルナリア、魔法で障壁を張ってファロスと馬車を守ってくれ!」

「わ、わかりました! ハルさんはどうするんですか?」

焦ったように返事をして、魔力を集中させながらハルへと質問するルナリアは迫る気配にジワリと汗をかく。

「俺は……アイツを倒してくる」

厳しい表をしたハルは剣を右手に持ち、馬車からし距離をとったところで迎撃態勢にっていた。

現れたのはインプと呼ばれる、小さな悪魔のような姿をした魔

「ギャッギャ!」

ふわふわと飛んでいたインプは獲を見つけたと、獲のような小さなナイフを掲げ、喜びの聲をあげながら迫ってくる。

インプは小柄で、そのを活かして用に飛んでいるため、きを捉えるのが難しい。

加えて、初級レベルではあるが魔法も使えるのが特徴だ。小さいといっても油斷のできない魔である。

「くらえ!」

足を踏み込んで先制攻撃を決めようと飛び出したハルが剣を振り下ろすと、インプは空中でくるりとをひるがえすように移し、見事にそれを回避する。

衝撃を張り終えてそれを守るルナリアはそれを見ておかしいなと思っていた。

――なぜ、ハルの剣がインプに避けられたのか?

しかし、その答えはすぐにわかる。

「甘い!」

ハルはあえてややゆっくり目に剣を振り下ろすことで、わざと回避させることでインプのきを制限させていた。

そして、回避したところへ氷の牙を出する。

これまでに牙系のスキルは氷と毒の二つを手にれていたが、人間であるハルは噛みつき攻撃をするわけではないので使い道に困っていた。

それもあって、馬車での移中に試しに牙を出して、他にも有効利用できないかを試していた。

たくさんあるスキルをどう活用していくかを考えることはハルにとってワクワクすることだった。

すると、牙は口からではなく顔の前方からイメージした方向へと飛ばすことができることがわかった。

ハルはそれを今、まさに有効に使っている。

「グギャギュ!」

氷の牙がインプのに突き刺さり、その場所から徐々にインプのを凍らせていく。

氷に包まれた羽がきを止めると飛べなくなったインプは、ついに地面に落下した。

これまでずっとかせなくなることなどなかった自分の羽が言うことを聞かなくなったことにインプは酷く揺していた。

「――せい!」

そこにハルが剣を振り下ろして絶命させる。

確実に倒して、ルナリアたちのもとへは向かわせない――それゆえにこの戦い方を選択していた。

「ハルさん、次が來ます!」

一瞬落ち著いたハルに堅い聲音でルナリアが聲をかける。

すると、上から今度はガーゴイルが三を描くように降り立ってきた。

インプを大きくしたような型をしており、顔はインプかららしさを全て奪い取ったかのような、恐ろしい顔をしている。手には片手剣を持ち、ハルを狙い定めて睨み付けている。

「グガアアアア!」

ハルと対峙する三。先ほどのインプとの戦いを見ていたのか、おいそれと襲い掛かるような真似はせずハルの出方を伺っているようだった。

「來ないならこっちからやらせてもらおう。“ファイアーボール”! “エアカッター”!」

先手必勝だとハルは手に魔力を込める。

向かって右手のガーゴイルには火球を、向かって左のガーゴイルには風の刃の魔法を放った。

そして、魔法を放ったあと中央のガーゴイルにはハル自が向かっていた。

「うおおおお!」

他の二よりも力を込めた攻撃をすべく、走りながらもハルは力をため込む。

中央のガーゴイルが恐らく三の中で一番強い――ハルはそんな直が働いていた。

種族は同一のものであったが、ハルの覚のとおり、中央のガーゴイルは他の二に比べて年齢が大きく、多くの戦いを経験していた。

「グオオオ!」

そして、中央のソレが咆哮と共に炎のブレスをハルへと放つ。

「無駄だ!」

ハルは剣でブレスを切り裂く。

空気を裂くように放たれた剣戟からは衝撃波が生まれ、ブレスを元まで切り、さらにガーゴイルの顔面にもダメージを與えていた。

痛みにもがくガーゴイルを視界に捉えつつ、ハルは、更に數歩踏み込み距離をめると目に向かって氷牙を放つ。

「ググギャ!」

しかし、瞬時の反応のそれは避けられることとなる。

だが、隙さえ作ることができればハルは當たっても當たらなくてもどちらでもよかった。

隙をつくように死角に回り込んだハルはガーゴイルの頭部に剣を振り下ろし、真っ二つにする。

この攻撃は避ける余裕もなく、また聲を上げる暇も與えずの一撃だった。

「ふう、あとの二は……さすがだな」

ハルが最初に魔法を放ったガーゴイルに視線を向けると、既に倒れている二の姿があった。

「いえいえ、ハルさんが強そうなやつを引きけてくれたおかげです」

それらはにっこりとハルに笑いかけつつ杖を握るルナリアの魔法によるものだった。

は障壁が安定したのを確認すると、すぐにハルの戦いに意識を移していた。

ハルが最初に魔法を放ち、二の視界を封じるのと、きを一瞬止めることの二つを選択していたのを見ていた。

ならば、その隙を見逃す手はないと、風の刃と巖の槍の魔法を放ち頭部を切り、貫いていた。

ルナリアはルナリアで自らが使える魔法をいつも確認し、どの場面でどの魔法が適切なのか? どの魔法がどれだけの威力なのか? 時にはパーティ戦を想定し、ハルのきを阻害せずに自の魔法を使うにはどうしたらよいのか――それを空いている時間考え続けていたのだ。

それゆえに、一瞬の判斷も早く、素早く二を倒すことに功していた。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:3

ギフト:

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、竜鱗3、

耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷強化2、自己再生

火魔法3、発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、

骨強化3、魔力吸収3、

4、斧2、槍

NEW:風魔法1(経験値)、ブレス(炎)経験値

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

水魔法1、魔法2、闇魔法1

加護:神セア、神ディオナ

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