《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第八十一話

「よし、今のうちに一旦森を出よう!」

「はい!」

ハルが者臺に乗りこみ、ルナリアも慌てて馬車に飛び乗った。

「ファロス行くぞ!」

「ヒヒーン!」

ファロスも既に走り出す準備をしていたため、ハルの指示をけてすぐさま森の口へと戻っていった。

「はあはあ、ファロスありがとうな」

ハルがファロスに禮を言うと、ファロスは首をただ橫に振る。

當たり前のことをしただけだと言いたかったが、ファロス自も疲労によって返事を口にすることはできなかった。

「ルナリアも無事か?」

「は、はい、なんとか……」

ルナリアは揺れる馬車で、なんとか振り落とされないように魔法で障壁を張っていた。

それほどに揺れは大きく、途中馬車が飛び跳ねた時は馬車が壊れることも覚悟するほどだった。

幸いにもルナリアの障壁のおかげで馬車が壊れることはなかった。

一行は森から出て、更にし離れた場所に移してから休憩と狀況の分析を行っていく。

「ふう、いきなり飛行タイプの魔が出てきたのは驚いたな」

「はい、そんなに強くないからよかったですけど、普通ああいった魔は森の中ではみないはずです。私がこの森を通った時も、いたのはゴブリンや強くてもオーク數程度でした」

一息つきながらハルが困ったような表を浮かべると、い表でルナリアが考え込むように口元に手を當てる。

空を飛べるタイプの魔は空中できを変えたり、空高く距離をとったりと複雑なきを行えるため、上位の魔として位置されている。

「魔だけでも結構やばいよな。それなりに戦い慣れているか、々な手がない限り危険だ。まあ、いるのがインプやガーゴイルだけならだけど……」

「多分、違いますよね」

二人はあの魔たちはいわゆる小手調べ的な立ち位置だと判斷していた。

なぜなら森からは強い魔力をじた。それも、相當濃いものであり、魔にも強い影響を與えると考えられる。

奧にいるのはもっと強い魔であると二人は思っていた。

「これは、どこまで調査したものか悩ましいな……」

「馬車は離れた場所に置いていきましょう。ファロスや馬車にまで被害がいくのは避けたいです」

「ブルル」

自分なら大丈夫だとファロスがアピールするが、それでもハルとルナリアの考えは変わらない。

「気持ちは嬉しいが、ファロスには役目がある。森の問題が片付いたら俺たちを森の向こうに連れていくことだ。だから、それまで休んでいてくれ」

「ですです、森のほうは私とハルさんが調査しますので」

ファロスを頼りにしていないわけではないと二人に言われて不承不承ながら、ファロスは納得したように引き下がる。

「さて、それじゃあ俺たち二人で行くとしてだが、どう考える?」

「森のり口のあたりは、何かあるかも? と思わせる程度のものでそれほど魔力が濃くなっていることもありませんでした。でも、インプたちに襲われたあの位置はだいぶ森の中心に近い場所だと思います」

魔力知にたけているルナリアの言葉にハルはなるほどと頷く。

「つまり、森の中心。それが道沿いとは限らないわけだが……とにかくそこが元兇だな」

森の端はまだ魔力が濃いとはじなかった。

つまり、中央から魔力が放たれているのか、散布されているのか―ーとにかくそこで何かが起きていてそれが徐々に広がっていると考えるのが自然だった。

「島の時のような魔がいるのでしょうか?」

ルナリアの言葉がさしているのは、ハルが一番最初に倒した通稱紫鬼という周囲に毒をまき散らしていた魔のことだった。

「恐らくアレに近いのがいるんだろうな。ただ、あいつをぶった切ってわかったんだが、恐らくあいつは魔じゃないな」

「ど、どういうことですか? 見た目も、特徴も魔みたいでしたけど……」

思わぬハルの言葉にルナリアが目を見開いて驚く。

「まず一つ。戦いの最中、俺はあいつに”鑑定”を使ったんだが、あいつの能力はなかったんだ」

「そ、それは、能力を隠蔽する能力とか、上位の魔などの能力は見えないとかではなくてですか?」

う気味のルナリアは思いつく可能を口にするが、ハルの反応は首を橫に振ることだった。

「いや、言葉のとおり能力がなかった。名前はあった――まあ俺がつけた仮稱が表示されてたんだけどな。それよりもギフトの欄もスキルの欄も空欄だったんだ。そんなやつ、俺は一人しか知らない」

そう言うと、ハルは自分を指す。その瞬間、ルナリアの表が悲しくゆがんだ。

「だけど、俺は能力が表示されていなかっただけで、実際は『長』というギフトを持っていた。しかし、あの紫鬼には何もなかったんだ。神の話だと、この能力を持つのは俺だけという話だ」

「……生ではない?」

ルナリアが自分と同じ結論に至ったのを聞いて、ハルはにやりと笑いながら頷いていた。

「そう、つまりは作られた存在。魔とも魔族とも違う存在だと思う」

「でも……」

ハルと同じ考えをしているルナリア。

でも、に続く言葉は、魔力を振りまいたり毒をまき散らすものがいたところで、脅威とは言えないのではないか?というものだ。

「あぁ、俺もそう考えたよ。確かに毒は厄介だけど、俺は耐毒スキルがあるから耐えられるし、風の魔法で吹き飛ばしている間に倒せばいいだけだ。あいつはそれ以外に強力な攻撃方法は持っていないようだったからな」

だったら、そう口にしようとしたルナリアだったが、ハルの話が終わっていないと気づき、それを飲み込む。

「今は、だ。あれが誰かの手によって作り出されたものだとしたら、もし自分が作り出す立場だったとしたら、もっと強いアレを作り出すはずだ」

続けられたハルの言葉に、ルナリアはごくりと息を飲む。

「それに、魔というのはこれまで多くの冒険者が戦って報を集めて、それがあるから戦えるということもある」

報……あの紫鬼にはそれがないです」

ここまできて、ルナリアは作り出された魔もどきの危険に、ハルが何を危懼しているかに気づいた。

「まあ、今騒いでどうなるものでもないけど、もしかしたら森の中にあいつと同種。もしくは強化された個がいるかもしれないと考えた上で森の調査に挑もう!」

「わかりました!」

深い考えのハルに対して、ルナリアも慎重にいかなければならないと気を引き締めていた。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:3

ギフト:

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、竜鱗3、

耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷強化2、自己再生

火魔法3、発魔法3、水魔法2、風魔法1、回復魔法1、解呪、

骨強化3、魔力吸収3、

4、斧2、槍

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

水魔法1、魔法2、闇魔法1

加護:神セア、神ディオナ

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