《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第百四十二話
「そんなことがおこるのは考えなかったな。というか巫っていうの一人じゃなくて、何人も候補がいるのだとは思わなかった。しかし、それだけ利益があるなら爭いも起こるか……」
腕組みをして考え込むハルはそれでもどこかひっかかりを覚える。
「あのー、エルフってもっとこう質素というか、自然と一というか、うまく言えないんですけど……あんまりお金の損得勘定でくイメージがないんですが……」
「それだ。俺もそこが引っかかっていたんだ。エルフっていうのは、俺たちのような人族や獣人族と違って、金にこだわりがないイメージだ」
言いにくそうに困った表をするルナリアの指摘を聞いて、ハルが同意する。
一般的にこの世界のエルフのイメージは、森と共に暮らし、植を育て、たまに獲を獲ってを食べる――自然に寄り添う種族、そんなものだった。
「それは……昔ならではのエルフ。エルフの國でも上のほうの人は違うし、普通の人の中にもお金の重要を説く人も結構いるの」
エミリはここでも淡々と今の現狀を語る。
「なるほどな。じゃあ、今回の件は一族から巫が選ばれることの利権を得たくて爭いになってるのか……」
頭の痛い問題だと考えたハルは眉間に皺を寄せている。
「そう、さっきの村の村長、もしくは村長が呼んだ集団はかなり力のある一族だと思うの。あれだけの人數をかせる一族はそうそういないと思うから。裝備もキチンとしていたし、武裝集団を抱えているとなると……結構手ごわいかもなの」
數で押されればいくら強いといっても押し込まれる可能が考えられる。
「まあ、なんとかなるだろ。――それよりもさ、エミリはどうしたいんだ? 巫になったら何をすることになるかわからないが……エミリはなりたいのか?」
ハルは目線を合わせるようにエミリの手を握りながらしゃがみこむ。
ハルにとって重要なのは、誰が相手だとか、どんな戦いになるかだとか、そういうことはどうでもよかった。
一番大事なのはエミリがそれをむのか? エミリは何をしたいのか? だった。
「……最初に巫の話を聞いた時は、私でも役にたてることがあるんだって思ってちょっと嬉しかったし巫になりたかった。でも、今は自分にも戦う力があるってわかったし、契約してくれたグラードと々やっていきたいって思ってるし、それに……」
思考をまとめるようにぽつりぽつりと言葉にしながら、そこまで言ったところで、エミリはハルとルナリアに視線を向ける。
「ん?」
「どうしました?」
見られた二人はそろって首を傾げながら、エミリの答えを待つ。
「えっと……わたしは……ハルとルナリアと、一緒にいたいの」
顔を真っ赤にして、ややうつむき加減で言うエミリの言葉にハルとルナリアはを打ちぬかれていた。
「お、俺もだ!」
「私もです!」
そして、すぐに言葉を返すとエミリを挾むように三人が抱き合う。
「う、うううう……私、これまでちゃんと家族みたいにしてくれる人、いなくて……でも、でも……二人とも、すごく優しくて、お父さんとお母さんがいたら、こんなじなのかなって……ううう、うわああああああん!」
ずっと我慢しながら話していたエミリだったが、ついに涙腺が決壊して泣き出してしまった。
大粒の涙をぽろぽろと流しながら大きな聲で泣きじゃくる。
これまで口にせずにいたが、ハルとルナリアがエミリのことを仲間のように、家族のように扱ってくれることはジワジワとエミリの心を氷を溶かすように侵食していた。
ずっと孤獨だったエミリにとって、二人の優しさにどう応えたらいいかわからずにいた。だから、これまで何も言えずにいた。
「エミリさん、いいんです。私たちは似たような辛さを味わった仲間です。私たちは互いの気持ちがわかります。だからずっと一緒にいましょう。いていいんです! というより私が一緒にいたいです!」
最初はエミリをなだめるつもりが、いつのまにかの昂ったルナリアの目からも涙がポロポロとこぼれていく。
「あー、もう泣くなって! わかったから、俺が全部なんとかするよ! ルナリアもエミリもずっと一緒だ。巫にもならなくていいし、無理やりさせようとするやつがいたら俺とルナリアが全力でぶっ倒してやる! だから、大丈夫だ!」
大切に思う二人が泣いているのをどうにかしたいと思ったハルは二人のことを強く抱きしめて大きな聲で宣言する。
その目からも、自然と涙がこぼれていた。
そうして數十分経過したところで、三人は自然と離れていく。
「えっと、あの、ごめんなさいなの……」
そう謝罪したのはエミリだった。
最初に取りして、泣き出したことを申し訳なく思っていた。
「い、いいんですよ。それより、私も泣いてしまってごめんなさいです」
ふにゃりと笑ったルナリアも目元を赤くしながら謝罪する。
「まあ、俺もしな。まあ、落ち著いたところでし話をしていこう。確認だが、エミリは巫にはならずに俺たちと旅をしていきたい。これであってるな?」
目を見ながら真剣に問いかけるハルに対して、エミリは大きく頷いた。ちょっと目元が赤い彼のその顔には迷いも不安もなかった。
「よし、ならその方向でいていこう……これは俺の考えだが、中央大森林には一度向かったほうがいいと思っている」
「えっ……!?」
ハルの言葉にルナリアは驚いている。このまま三人で中央大森林から離れて逃げていくものだと考えていたためだった。
「私もそう思う」
「えぇっ!?」
ハルの言葉に同意したエミリに対してもルナリアは驚いていた。
「ははっ、面白い反応だ。だけどちゃんと説明しないとな。俺たちがこのまま逃げたとしても、エミリが巫候補であることにはかわりない。ということは、逃げても俺たちを狙うやつらはいるだろう。だったら、そこを解決しないことにはエミリが心休まることはない」
その説明を聞いてルナリアはなるほどと頷いている。
「うん、私は巫になるつもりはないと向こうの上の人に宣言する必要があると思うの。二人を巻き込むことになっちゃうけど……お願いします、なの」
今までのエミリであれば二人を巻き込みたくないと考えていたが、自分が二人と自由に旅をするために協力してほしいと申し出るくらいに心境は変化していた。
「「もちろん!!」」
そして、ハルとルナリアは決まっているだろうと笑顔で返事をした。
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名前:ハル
別:男
レベル:4
ギフト:長
スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、
竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1
耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷強化5、自己再生
火魔法4、発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、
骨強化5、魔力吸収3、
剣5、斧3、槍1、弓1、短剣1
開錠1、盜み1、霊契約
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、
水魔法3、魔法4、闇魔法3
加護:神セア、神ディオナ
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名前:エミリ
別:
レベル:-
ギフト:2、格闘2、魔闘1、先読みの魔眼
加護:武神ガイン
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お読みいただきありがとうございます。
ブクマ・評価ポイントありがとうございます。
書籍が3月22日に発売となります!
出版社:ホビージャパン
レーベル:HJノベルス
著者:かたなかじ
イラストレーター:teffishさん
よろしくお願いします!
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