《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第百四十三話
「といっても、どうすれば問題が解決するのか。そこを明確にしておきたいな。俺たちの勝利條件というか……」
ハルは顎に手をあてて考え込む。
「中央大森林に行って、巫を辭退する……だけじゃダメなんですよね?」
「うーん、多分ダメだと思うの。一族から推薦されて、私が巫候補だということは既に伝わってるから辭退は通じないかもなの」
困ったような表でエミリがルナリアの提案の実現を考えて答える。
「逃げても追っ手は來るかもしれないしなあ。となると、巫候補として選出レースか何かに參加するしかないか……ちなみに、どうやって巫は決定するんだ?」
「うーんと、まず候補は十人近くいるって聞いたの。その候補者がいくつかの試練に挑戦して、それを乗り越えた者だけで最後の試練をけるとかだったような……?」
思い出すようにそう話すエミリもおおよそでしか把握しておらず、試練の容自は知らなかった。
「それで、その試練を乗り越えたらどうなるんだ?」
真剣な表でハルは続けて質問する。
「確か、乗り越えられるのは一人だけで、その人が次の大森林の巫に認定されるらしいの」
「となると、途中で落するのが一番いいのか。わざと負けても大丈夫か?」
ハルの問いにエミリは頷く。
実力で落選するのが周囲にもわかりやすい逃げ出し方だと、ハルもエミリも考えていた。
「となると、まずは無事に中央大森林に向かうことが第一ですね」
神妙な顔で言うルナリア。目標が定まったことで気持ちが引き締まったようだった。
三人は水浴びをし、互いに作った食事をとり、共に泣き明かして、互いに一歩深くわかりあった。
しかし、狀況としては村の村長たちに追われているである。
中央大森林には、巨大な霊樹と言われる樹があるといわれている。そのふもとにはエルフたちの街が栄えている。
そこに至るまでの道中で村長たちに加えて、他の一族からも狙われるかもしれない。
よって『無事に』向かうことが優先事項となる。
「嫌かもしれないけどエミリにはフードをかぶってもらって、なるべく顔を隠してもらおう。そして、馬車には風の障壁を張り巡らせて防態勢をとる。車や本を狙われても困るからな」
ハルの提案にルナリアもエミリも頷いている。
「もし戦いになった時は俺がメインで戦う。エミリは自分のを第一に、ルナリアは援護と防を頼む。魔法での戦いになった場合や戦になった場合、俺は自分のを守ることができる。しかし、二人は一緒にいたほうが安全だろ。近寄ってきた敵がいたらエミリがぶん毆ってやれ」
ハルの提案はエミリを守ることを第一にしているが、活躍の場所を殘しているため、特に反対意見はなく二人はこれにも頷く。
「じゃあ、エミリさんはこれを著て下さい」
ルナリアが取り出したのは、フードつきのマントだった。エミリが著るとすっぽりとその顔を隠してくれている。
「わかったの。迷かけるけど、頑張ろうなの」
この言葉だけで、ハルとルナリアは何としてでもやり遂げる気持ちになっていた。
「それじゃあ、今日はこのまま休んで早朝には出発しよう。風の障壁はこのままで。二人は馬車にのって布団を敷いて寢てくれ。俺はここでしばらく火の番をしてから寢る。兵士は回避できても魔たちが出てくる可能もあるからな」
「えっ、でも……」
ハルの言葉にエミリが悲しそうな表になる。
一緒にいたほうが安心、一人だけ寢られないのは大変、やはりこの狀況に陥ったことの申し訳なさ――これらが心の中をうずまく。
「ほらほら、エミリさん。私が一緒だから寂しくても泣かないで下さい。ちゃんとハルさんもあとで休むから大丈夫ですよ。まずは力がない私たちが休むことでいざという時にもけるようにしておくんです」
安心させるように笑ったルナリアはエミリの肩を押しながら馬車へと向かって行く。
ハルは二人が馬車に向かったのを確認すると、殘った火のあかりを頼りに武の手れをする。
これから先、場合によっては多くの戦いがあるかもしれない。
そんな時に武の手れが不十分で苦境に陥るのだけは避けたかった。
「さて、俺ももうしばらくしたら寢ないとな」
そう言って、ハルは火を消すと周囲を軽く見回ってから馬車へと戻って行った。
馬車にはハルの分の布団もしいてあり、ゆっくりと休むことができた。
翌日、逃亡の疲れからぐっすり寢ることができた三人は早いうちに移を始める。
「それで、中央大森林はどっちなんだろ?」
手綱を握っているハルがそんな疑問をルナリアとエミリに投げかける。
「えっ? ハルさん、わかって進んでいたんじゃないんですか?」
ルナリアはハルが何も言わずに馬車を進ませていたため、安心して任せていた。
「大丈夫、こっちであってるの。このまま真っすぐ進んでいけば一旦森を抜けて……その先に中央大森林が見えてくるはずなの」
エミリは地理的に場所を把握しているわけではなかったが、エルフ獨特の覚で霊樹がある場所をじ取っていた。
「よし、それなら安心だな。このままなら無事に森は抜けられそうだ」
周囲から魔や人の気配をじないため、ハルは安心していた。
「多分、森は問題ないと思うの。でも、森を出たところは注意して」
「そう、なんですか?」
森を抜ければ見晴らしも良くなって、奇襲をける心配がなくなる。ルナリアはそう考えていた。
「中央大森林は中央の霊樹の周りに森があるの。その周囲は平原になってて、そしてさらにその周りが森に囲まれているの」
そこまで言われて、ハルもルナリアも気づく。
「なるほどな、森を出たところで待っていれば俺たちを追いかけまわさなくてもいいのか。それは確かに気をつけないとだな。出口が見えてきたらし外を探るか……」
そう言っている間にも、一行は徐々に出口に近づいていた。
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名前:ハル
別:男
レベル:4
ギフト:長
スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、
竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1
耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷強化5、自己再生
火魔法4、発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、
骨強化5、魔力吸収3、
剣5、斧3、槍1、弓1、短剣1
開錠1、盜み1、霊契約
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、
水魔法3、魔法4、闇魔法3
加護:神セア、神ディオナ
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名前:エミリ
別:
レベル:-
ギフト:2、格闘2、魔闘1、先読みの魔眼
加護:武神ガイン
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お読みいただきありがとうございます。
ブクマ・評価ポイントありがとうございます。
書籍が3月22日に発売となります!
出版社:ホビージャパン
レーベル:HJノベルス
著者:かたなかじ
イラストレーター:teffishさん
よろしくお願いします!
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