《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第百四十五話
しばらく休憩してエミリが落ち著いたところでハルたちは出発する。
念のため、エミリはフードをすっぽりとかぶっている。
森の中を進んでいくが、森の中であるというのに道は舗裝されており、街まで続いているようだった。
道沿いの森の中からは警備のエルフの気配がじ取れる。
「これはすごいな。確かにこれなら森の中にったらうかつなことはできなそうだ」
「ですね。手前の村だったり、平原だったりで排除しようとする理由が理解できます」
この警備制からも、街の規模がうかがえる。
進んでいくと、ほどなくしてついにハルたちは街へと到著する。
「――やあ、いらっしゃい。観か何かかな? 一応分証を確認させてもらいたいんだけど、提示してもらえるかな?」
聲をかけてきたのは街の門の近くで場チェックをしている衛兵だった。
もちろん彼もエルフであり、細で長はハルよりし低い。
顔は形揃いのエルフという噂にたがわず、彼も綺麗な顔をしている。
「はい、冒険者カードでお願いします」
「私も」
ハルとルナリアは冒険者ギルドカードを提示してチェックをける。
「私はこれを」
一方でエミリはエルフ族が持つ分証明カードを提示した。
「ほう、これはこれは……そういうことか。ちょっと待っててね」
そう言うと、衛兵は腰に裝著した魔道にカードを通してチェックを行っていく。
「うん、完了です。三人とも問題なし、ようこそ森の都『エアリーフ』へ!」
その言葉がきっかけになったわけでもないだろうが、同じタイミングでぶわりとたくさんの葉が舞い散り、まるでハルたち三人を歓迎しているようだった。
「うわっは、すごいよ! 木の葉舞が見られるなんて滅多にないんだよ。しかも、これだけの量ともなると何十年に一度だよ!」
ここに勤めている衛兵でも珍しい景らしく、彼も風と共に舞う葉を見てしていた。
「すごいの……」
「綺麗です……」
エミリとルナリアはその景に見とれている。
「これは、すげーな!」
初めて見た景にハルは口調が崩れ、興しているようだった。
數十秒間の木の葉舞は、その役目を終えたかのように徐々に落ち著きを見せる。
「いやあ、君たちいいタイミングで來たね。いや、君たちが來たからあの景が見られたのかな……? なんにしても、街も君たちを歓迎しているよ。楽しんでいって!」
そう言って、彼はウインクした。ハルでもルナリアでもなく、エミリに向かって。
「?」
なぜそんなことをしたのかエミリにはわからなかったため、きょとんとしたまま首を傾げる。
しかし、その疑問の答えがわかることなく、ハルたちは馬車で街の中へとって行った。
「なんだか気な方でしたね」
「あぁ、俺やルナリアを見ても特に反応は変わらなかったみたいだしな。変わったやつだ」
ルナリアとハルは衛兵のことを話している。
「うーん、どこかで……」
だがエミリは何か思い當たることがあるらしく、何かを考え込んでいる。
「さてさて、かなりでかい街だからさっさと宿を決めて街の散策といこう。巫関連のきはまだ大丈夫なんだろ?」
「うん、落ち著いたら神殿に報告に行かないとだけど、それまでは大丈夫」
そう答えながらエミリは街の様子を眺めている。
歩いているほとんどの人間がエルフである。
その景は、エミリにとって懐かしいものであり、同時にどこかもの悲しい景でもあった。
「ほら、エミリさん! そんな顔しないで下さい。ほら、今は私たちがいるじゃないですか!」
元気のないエミリを勵まそうとルナリアは橫から彼に抱き著いて頭をでる。
「きゃっ、ルナリア、苦しいの~!」
大袈裟に抱き著くルナリアに対して、エミリは非難の聲をあげるが、かといって本気で嫌がっている様子でもなかった。
「お、あそこの宿なんかいいんじゃないか?」
二人のやりとりを微笑ましく思いながらも、ハルは見つけた宿を指さした。
「……」
「……」
それを見たエミリとルナリアはポカンと口をあけて呆然としている。
INNと書いてあるため、宿とわかったが、まるでお屋敷なのではないか? と思われるような大きな宿だった。
「問題ないなら、ここに決めるけどいいか?」
ハルはそんな二人の反応に構わず話を進めていく。
「え、えっと、本當にここですか?」
「こんなすごい宿に……?」
今まで宿泊したことも、見たこともないような豪華な宿に泊まろうと提案するハルに対して、二人は本気で言っているのかと懐疑的になる。
「あぁ、本當で本気でマジだ。まあ、俺も普段だったらもっと一般的な宿屋でいいかとも思うんだけど、こういう場所のほうが警備とか保安面でしっかりしているんじゃないかと思ってな。幸い、金には余裕があるから」
それを聞いてルナリアもエミリも真剣な表になる。
「この街の中では基本的に爭いごとは厳なんだろうけど、それでも刺客を放ってくるとか、宿の従業員が金を握らされるとかはあるかもしれない。だったら、ちゃんとしたところを選んだほうがいだろ?」
ハルの言葉にルナリアとエミリは深く頷いた。
「というわけで、ここに決定だな。いやあ、どんな料理が出てくるのか、どんな部屋なのか楽しみだなあ」
エミリの安全を考えたうえでのチョイスだったが、ハルもこういった豪華なホテルは初めてであるため、どこかウキウキしている様子だった。
*****************
名前:ハル
別:男
レベル:4
ギフト:長
スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、
竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1
耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷強化5、自己再生
火魔法4、発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、
骨強化5、魔力吸収3、
剣5、斧3、槍1、弓1、短剣1
開錠1、盜み1、霊契約
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、
水魔法3、魔法4、闇魔法3
加護:神セア、神ディオナ
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*****************
名前:エミリ
別:
レベル:-
ギフト:2、格闘2、魔闘1、先読みの魔眼
加護:武神ガイン
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お読みいただきありがとうございます。
ブクマ・評価ポイントありがとうございます。
書籍が3月22日に発売となります!
出版社:ホビージャパン
レーベル:HJノベルス
著者:かたなかじ
イラストレーター:teffishさん
よろしくお願いします!
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