《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第百五十一話

「――どっちも格良くないの」

し考えたのちに口を開いて出たこの言葉がエミリの二人を見た率直な想だった。

「あー、まあ、うん。確かに……あれだけ人がいるなかで言い爭う時點でどうかと思うよなあ」

素直な想を聞いたハルは苦笑する。

そういう意図で質問をしたわけではなかったが、エミリの言葉は二人のことをシンプルにとらえていた。

「そうですねえ、品というものも大事だとは思います。能力的にはどうでしょうかね? あのミスネリアさんという方は確か優勝候補と目されている方だというお話でしたけど……」

思い出すように口元に指先を當てるルナリアは話をもとの流れに戻して、二人の人格以外の部分に焦點をあてていく。

「まあ、言いあいをしていただけだからその実力のほどはわからないか」

やれやれと肩をすくめたハルが話を締めるかのように言うと、エミリは首を橫に振っている。

「その優勝候補のミスネリアって人は、魔力がかなり高いと思うの。魔力作能力がどこまで高いのかはわからないけど、正面切って魔法の打ち合いになったらあの人に勝てる人はそうそういないと思うの。ルナリアだったら圧勝できるだろーけど」

淡々とそう言うエミリはルナリアの魔力量が化けクラスであることを理解した上で、冷靜に判斷する。

「なるほど、強敵クラスだけど最強クラスではないってことだな。それで、もう一人のブラウンの髪のほうはどうだ? 口はなかなか悪かったみたいだけど」

エミリの評価に興味をひかれたハルはミスネリアの話に続いて、もう一人の候補に話をうつす。

「もう一人……いたのは覚えているけど……どんな人だったかな?」

思い出すように首を傾げたエミリは冗談で言っているのではなく、本気で言っているようだった。

「――まあ、つまりはそういうことだよな」

「ですねえ」

ハルとルナリアは苦笑して顔を見合わせた。

エミリの印象に全く殘っていないということは、その程度の強さであり、エミリの敵ではないということを現している。

「あ、でも……なんか嫌なじはしたかもなの。挑発的な態度をとっていたけど、なにかを隠しているというか……」

エミリはブラウンの髪の巫候補を思い出しながら、そんなことを呟く。

「確かに、それはあった。怒ったような口調だったが、芯は冷えているみたいな」

あのやり取りを観察していたハルもエミリがじた『嫌なじ』に似たものをじ取っていた。

「つまり……あの方も油斷ならないということですね。他にも候補の方はたくさんいるようですし、本番で気をつけないと」

優しくエミリの髪をなでながらルナリアは彼が怪我をしないかということを心配しているようだった。

「難しいのは心から応援していいのか、負けを願ったほうがいいのかってところだよなあ。うまい合に落できるといいんだけど、手を抜いたらバレそうだし、本気でいけばエミリはかなり強いからなあ。というか、そもそもどんな試験になるのやら……」

腕を組んだハルはエミリが戦いで負けるという心配はしておらず、いかに綺麗に落するかを心配していた。

「正直、どうなるかわからないの。でも、私が願っているのは二人と一緒に旅を続けること。もし全て勝ち抜いたとしても、最後は辭退するの」

三人で々と考えて、巫選抜の儀式に參加することに決めたが、最終候補にまであがったうえで辭退するのが一番だとエミリは考えている。

「そうか……もしかしたら、エミリは々辛い思いをするかもしれない。だけど、何があっても、どんなことが起こっても俺とルナリアはエミリの味方だってことは忘れないでくれ」

「です!」

ハルが真剣な表でエミリに言い、ルナリアも拳を握って熱い眼差しを送っていた。

「ふふっ、二人が見てくれていると思ったら、どんな困難でも越えられるの!」

二人が味方であることを実して、エミリは花が咲くように自然と笑顔になっていた。

「とりあえず、二人だけど他の候補を直接見られたのはよかったよ。しかも優勝候補を見られたのはデカいしな」

ただブラブラするために出てきたつもりだったが、思わぬ収穫にハルは満足そうだった。

「誰が相手でも関係ないの。とはいえ、あの人たちに會えたのはいい刺激だと思うの」

エミリは競爭相手を見たことで、心の中でメラメラと燃えていた。

「ようっし、々わかったから……」

「どうします?」

「どうするの?」

ルナリアとエミリはハルの次の言葉を待つ。

「宿に戻って休もう」

「はい!」

「うん!」

なんだかんだ先ほどのやりとりで疲労じていたため、ハルの提案に二人は反対しなかった。

宿に戻った三人は、お茶とお菓子を付で注文してから部屋に戻る。

「さて、改めて今後の予定を確認しよう」

三人は大きなベッドの上に座って、今後の予定が記されている用紙を見ていた。

「まずは巫選出の儀が行われるのは今日から三日後……おそらくエミリが到著したから決まったのかもしれないな。この日付の部分だけあとで付け足されている」

「ということは、エミリさんが最後の候補者だったのですね」

もし、もっと遅れていたら期限切れで不參加扱いにされたかもしれないと思うと、間に合ってよかったと二人は安堵する。

「全部で二日間行われて、初日は全員參加の試練。二日目は殘った面々で直接実力を競い合わせる……二日目はトーナメントみたいな形なのかな?」

直接実力をという部分を読んでエミリが推測する。

「恐らくはその通りかと思われます。私が調べた限りだと、過去の選出の儀では初日の容が異なるだけで、二日目は必ず巫候補同士の戦闘になっていたかと」

その説明をしてくれたのは、お茶とお菓子を持ってきてくれたリカだった。

なら々知っているだろうと、確認している間部屋に待機してもらっていた。

「じゃあ、まずは初日を突破することと、二日目の相手が誰になるか次第ってことだな」

「あの、他の候補の方の報をもうし詳しく集めてみましたので、よろしければ報の共有をしませんか?」

リカの思わぬ提案に三人は何度も頷き、その日は遅くまで報の確認を行うこととなった。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:4

ギフト:

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1

耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷強化5、自己再生

火魔法4、発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、

骨強化5、魔力吸収3、

5、斧3、槍1、弓1、短剣1

開錠1、盜み1、霊契約

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、

水魔法3、魔法4、闇魔法3

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:エミリ

別:

レベル:-

ギフト:2、格闘2、魔闘1、先読みの魔眼

加護:武神ガイン

*****************

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