《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第百五十三話

転移先に到著すると、が徐々に収まって自分たちがどこにいるのかがわかる。

「ここは……森のどこかか」

ハルは周囲を見渡して、木ばかりあるためにそう呟く。

他の參加者の姿や聲は聞こえない。周囲は青々とした木々と草原に囲まれている。

森の中央の大神殿を目指すとは聞いていたため、予想通りの場所ではあったが、ここから中央を目指すにはどちらが正しい方向なのかがつかめずにいる。

「――あっちに大神殿がある、と思うの」

し目を閉じたエミリはすっと目の前を指す。

であるため、およその方向がなんとなくじ取ることができるようだ。

「それが巫候補の能力の一つか。現狀を考えると便利だが、他のやつらも同じ狀況だとしたら急ぎながら慎重に進むぞ!」

エミリの頭を軽くなでたハルは相反する言葉を口にしながら気合のった表で先頭を進んでいく。

何かトラブルに巻き込まれた時、スキルの多いハルであればトラブルに対処できる可能が高い。

真ん中にエミリが位置する。

は巫としての能力で目的地の方向の確認をする。

後ろをルナリアが進むことで、魔法による補助をすぐにかけられるようにしている。

他の巫たちのパーティ人數は巫に加えて、護衛が五人以上いるのが普通であった。

対して、ハルたちは全部で三人しかいない。

しかし、三人は最もバランスの良いパーティといっても過言ではなく、順調に進んでいく。

「……と、慎重に來てみたものの、特に何かがあるわけじゃなさそうだな」

ハルの言葉どおり、魔に出くわすでもなく罠があるわけでもなく、何事もなく三人は森の中を進んでいた。

「ですねえ」

「なにもないの」

それはルナリアもエミリも同様の思いであった。

――あっけない、何もない、こんなのが試練なのか?

そんな考えが他の參加者の頭にもちらつき始めたところで、それが始まった。

『いやあ、これはどの參加者も完全に油斷しているようだあああ!』

それまでの靜寂が噓のように、不気味なほどに大きく、ゆがんだ喜びのをあらわにした聲が森中に響き渡る。

「な、なんだ!?」

「大きな聲が聞こえてきます!」

「なにこれ?」

まるで今回の參加者の狀況を全て理解しているような聲に、三人は驚き、周囲を見渡しながら心戸っている。

『おやおやあ、この俺の聲がなんなのか理解していない參加者がいるようだなあ。それではそんな君たちのために説明しよう!』

楽しそうな軽いノリのアナウンスに、他の參加者も戸っている。

『前回から導されたものだが、これは巫選出の儀の実況だあ! 擔當するのはこの俺……いや、すみません、真面目にやります。実況を擔當するのは、神のマウナスと申します。はい、つい調子に乗ってしまいました』

ハイテンションで実況をしていたマウナスだったが、誰か近くにいる上司に叱られたらしく、すぐに大人しくなる。

「おいおい! さっきまでの調子でやってくれよ! 上のやつら、盛り下がることするんじゃねえよ!」

「そうだそうだ! 久々の祭りなんだから楽しませろよ! こっちは場料払ってるんだぞ!」

「上のやつらは引っ込め!」

気づけばそういったヤジがアナウンスのわきから聞こえてくる。

ハルたちからはそういった観客やアナウンスの姿が見えないため、次々と聞こえる聲にい表だ。

今回ハルたちが參加した巫選出の儀――以前は粛々と行われていたが、今では巫候補のビジュアルが良くなったりとアイドル化の流れがあり、それに乗じて観客を集めて儀式を公開することで観覧収を得ていた。

それゆえに、このように観客がイニシアティブを握って、運営側に不満を訴えることもあった。

『はい、はい、えっ? いいんですか? 本當に? あとで怒ったり……わっかりましたあ! みなさまありがとうございます! みなさまの暖かい応援の聲のおかげでわたくし、いや……俺の実況が復活だああああ!』

このやりとりは全ての參加者に筒抜けであり、姿が見えないため、空を見上げて呆然としていた。

『……はっ! ぼうっとしてんじゃないぜ! 今から今回の儀式の説明をしていこう。今までは転移後の揺を落ち著けるために何も起こらないようになっていた。ここからは、試練が降りかかってくる。さてさて何組が乗り越えられるかなあ! 今後もMCマウナスが実況をしていくからよろしくな!』

そう言うと、ブツッと音がして音が途切れ、森に靜寂が再び訪れた。

音聲の放送範囲を全から観客のっている會場だけに限定させたためである。

「な、なあ、今のなんだったんだ?」

「さ、さあ?」

「……これは、悪ノリエルフなの」

狀況がわからないハルとルナリアに対して、エミリだけはさっきの実況がなんだったのか予想がついているようだった。

「悪ノリ?」

「エルフ?」

それを聞いても意味がわからないため、ハルとルナリアがそろって困の表で首を傾げる。

「基本的にエルフというのはわりと溫厚な種族で、靜かな人が多いの。たまに元気な人がいても、それは一般的な人族のそれレベル。でも……時たまいるの。悪ノリエルフと呼ばれる、やたらめったらテンションが高い、高すぎる人が……!」

どうやらエミリはあまり快く思っていないようで、珍しく顔には怒りのが浮かんでいた。

「そ、そうなのか。それは珍しいな」

「で、ですね」

「そう、あんな人が同じ種族だとは……」

マウナスのことをエルフの汚點のように思っているらしく、エミリは苦渋に満ちた顔になっていた。

しかし、三人はマウナスの衝撃の強さに忘れていることがあった。

さっきのマウナスの言葉。――『ここからは、試練が降りかかってくる』

つまり、何かが巫候補たちに襲い掛かってくるということを意味している。

「……っ! お、おい! 二人とも集中しろ! 何かが來るぞ!」

勘のようなものが働き、ハルが何かに気づく。

そのなにかは上空から現れた。

それはエミリだけでなく、他の巫たちのもとにも同時に現れていた。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:4

ギフト:

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1

耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷強化5、自己再生

火魔法4、発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、

骨強化5、魔力吸収3、

5、斧3、槍1、弓1、短剣1

開錠1、盜み1、霊契約

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、

水魔法3、魔法4、闇魔法3

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:エミリ

別:

レベル:-

ギフト:2、格闘2、魔闘1、先読みの魔眼

加護:武神ガイン

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お読みいただきありがとうございます。

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