《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第百五十九話
開始の合図とともに、まずいたのは弓の名手ミレーユ。
素早く踏み込んだ彼は他の三人に向かってほぼ同時に矢を放っていた。
「そんなもの! “ウィンドウォール”!」
鼻を鳴らしながら髪を手で払ったエレンは得意の魔法で風の障壁を作り出して防ぐ。
「せい!」
その場で構えたエミリは飛んできた矢を拳で撃ち落とす。
「……」
そして、最後のミスネリアは目を閉じたまま微だにしていないように見えたが、矢は直前で何かに弾かれるようにして落下していた。
「あらら、みんなさすがにこれくらいじゃ不意打ちにもならないかあ」
うまくいけばいい程度に考えていたミレーユはあっけらかんとした様子でペロリと舌を出して、三人の対応を笑顔で見ていた。
「ふう、守りにっても何も変わらないのは事実。いきなりの攻撃はいい選択なので、わたくしも真似させてもらいましょう。“フレアカッター”!」
魔力を練り上げたエレンが頭上に生み出したのは無數の火の刃。
観客席はその魔法を見てどよめいている。
まず驚きの理由の一つ目がその魔法の種類。
火の魔法で一般的なのは火球をうちだすファイアボール。そして火の矢を放つファイアアロー。
しかし彼が選択したのは、火の刃という彼獨自の魔法だった。
続いて驚きの理由――こちらのほうが大きいかもしれない。
彼の頭上にはざっと數えて五十を超える火の刃が生み出されていた。
オリジナル魔法に加えて、ファイアアローですらその數を出すのには相當の魔力量と作力が必要となる。
「いっけええええ!」
そして、それが同時に打ち出される。ただまっすぐ狙うだけではさきほどのミレーユの矢と同じくそれぞれ撃ち落とされかねない。
それを考慮してか、ランダムを持たせて、三人へと襲いかかっていく。
この魔法への対処法も三者三様だった。
ミレーユはそれらの軌道を目で確認して、軽いのこなしで回避する。
エミリはその全て魔力を込めた拳で打ち払う。
先ほどまで目を閉じていたミスネリアだったが、さすがに目を開いていた。
そして、先ほど彼がどんな対応をしたのがついにわかる。
腰につけているレイピアを目にもとまらぬ速さで抜いて素早く魔法を撃ち落としていた。
「へー、私の矢もそうやって撃ち落とされたんだね。にしても、みんな強いなあ……遠距離攻撃はよっぽど強力じゃないと通用しないみたいだねえ」
弓矢での攻撃は効果的ではないと判斷したミレーユは弓を背中に戻していく。そしてナイフを手にする。
彼は弓の名手だったが、ナイフも得意としており頭を近接戦闘にシフトしていた。
ナイフを手にしたミレーユはそのまま走り出す。
「來なさい!」
迎え撃つのはエレン。
魔法が得意な彼ならば近接戦闘は苦手だろうというのが、ミレーユの判斷だった。
それと同時にエミリとミスネリアもき出していた。
最後に立っていたものが勝者となるが、混戦の間に他の參加者にダメージを與えておいたほうが優位にくことができる。
全員がエレンのもとへと走っていた。
「さあ、かかってきなさい!」
だというにも関わらず、エレンは余裕たっぷりの表でいる。
何かがおかしい、エミリはそうじ取ると他の子たちに比べてしスローダウンし、目に魔力を込めて周囲を見ていく。
最も早くエレンに近づいたのはもちろん最初にき始めたミレーユ、次にミスネリア。
その後ろにエミリという構図だが、その三人が一定の範囲にった時にエレンがニヤリと笑った。
「はじけろ、炎! “エクスプロージョン”!」
魔方陣のようなものが瞬時に展開されたと思った次の瞬間には地面がぼこぼこと赤くうごめき、そのまま天高く上るように発する。
これは、エレンが先に仕掛けていた罠であり、彼の得意とする火魔法に発魔法を加えた強力なものである。
一定の範囲にらないと効果を発することができないが、その限定條件で発される代わりに威力も高いものになっている。
「きゃああああ!」
び聲をあげたのはミレーユ。
先頭を走っていたがゆえに、発を中心でけてしまい、直撃を免れなかった。
「まだまだですわ!」
更に魔力を込めていくエレン。
ここまで殘る面々がこの程度で倒れるとは思っておらず、発を何度も起こすことで追い打ちをかけていく。
発は合計で五発起きた。
発によって石でできた舞臺の床部分が吹き飛び、砂煙をあげている。
「ふう、これで私の勝利は決まりかしら?」
かなりの魔力を込めていたらしく、額に汗が浮かんでいるエレンはハンカチを取り出すと優雅にそれを拭う。
「ただ煙が消えるのを待っているのも時間がもったいないので、私が綺麗にしましょうか。“ウインドブレス”」
余裕を持った笑みを浮かべたエレンから巻き起こった風は砂煙をあっという間に吹き飛ばす。
そこには炎によって倒れたミレーユの姿があった。
「――なっ!?」
それに驚くのは魔法を放ったエレン本人。
ミレーユだけでなく、エミリとミスネリアの二人も魔法の範囲にっており、一度発すれば範囲外に退避するのが難しいはずだった。
「ど、どこに?」
その二人の姿をキョロキョロと探すエレンだったが、どちらの姿も見當たらない。
「がっ……そ、そんな……」
次の瞬間エレンはその場に膝から崩れ落ち、意識を失った。
気配を消して背後に回ったエミリが彼の首のあたりを叩いて気絶させていたからだ。
一瞬のうちに二人が落したことで、會場は靜まり返っていた。
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名前:ハル
別:男
レベル:4
ギフト:長
スキル:炎鎧4、ブレス(炎)4、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、
竜鱗5、鉄壁4、剛腕3、統率1
耐炎4、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷強化5、自己再生
火魔法4、発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、
骨強化5、魔力吸収3、
剣5、斧3、槍1、弓1、短剣1
開錠1、盜み1、霊契約
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、
水魔法3、魔法4、闇魔法3
加護:神セア、神ディオナ
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名前:エミリ
別:
レベル:-
ギフト:2、格闘2、魔闘1、先読みの魔眼
加護:武神ガイン
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