《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》Side:ナナ編
天長という年號が既にあるとのご指摘をいただきまして……年號大募集です(調べたはずなのにおかしいなあ、ぽんこつか?)
昭和(S)平(H)令和(R)以外の頭文字でで、想などでご意見お待ちしております
年號決まりました!ありがとうございます!
2022/10/28 サブタイトル修正しました。ニナ誰やねん……
――愚かだと思うでしょう。
「え?」隣に居る――姿は見えないけれど、空間が揺らいでいるので居ると思われる――ペトラさんが突然話しかけてきたので、私は間の抜けた聲をあげてしまった。
――婚約者のいる男にしつこく迫った挙句、無理心中をして、失敗して一人で死んで。私を、愚かだと思っているでしょう?
「愚か……まあそうですね。でも、それ以上に々と思うところはあります。愚かの一言で片付けたくはありません」
先ほどからずっとペトラさんにじていたことを、的にならないよう努力しながら告げた。
――そう。そうよね。さっきあなたのところの分隊長だったかしら? 彼に々言われて、今更だけどし考えていたの。私は、お父様と対峙する前に、自分自の行いと対峙する必要があるのではないかと……。だから、あなたが私に何を思っているのか話してくれないかしら。
「じゃあ……。正直に言いますが怒らないでくださいね。先ほどから見ていてじたのは……、貴方はマークさんが亡くなったことに対してしか何もじていないんだな、と言うことです。マークさんが子爵に殺された。それが事実なら、子爵を許せない。それ位しか伝わってきません。他に思うことはないのでしょうか。
……私の父は事故で亡くなりました。浮気相手との旅行中にです。母は思うことがたくさんあったと思います。でも、私はまだその時かったので、単純に”見知らぬ人に自分の大切な家族を奪われた”という悲しみと憎悪がり混じったをずっと抱えていました。でも、その見知らぬ人も事故で亡くなっていて、責めることすら出來なくて、とても辛かった。
立場や狀況は全然違いますが、ドロシーさんや、マークさんのご家族は同じことをじたと思います。貴方に突然マークさんを奪われて、でも元兇の貴方は既に亡くなっている。誰を責めれば良いのか分からない。もっと酷いことに、貴方の父親は子爵……貴族です。謝料すら貰えないでしょう。むしろ娘をたぶらかしたとか、逆恨みで々言われた可能も十分考えられます。……私の母も相手の家族に散々責められましたから。
貴方は、そんな人たちのことを考えたことはありますか? しでも、申し訳ないと思いましたか?
正直な話、しでも後悔していれば、今この狀況にはなっていないと思います。アンデッドを大量に引き連れて、王都の人たちも巻き込んで。
今東門で戦っている人たちが全員無傷だと思いますか? アンデッドが出た影響でここしばらく、王都は食糧難でした。死した人が一人も居ないと思いますか?
貴方はきっと、森で誰にも供養されず、苦しんだんだと思います。だから悪霊になったのだと。でも、そうなった原因もしで良いから考えてみてください。どうして誰も貴方を楽にしてあげなかったのか。どうして森に放置されたままだったのか」
ゆっくり、丁寧に話すつもりだったのに、話しているに昔のことを思い出して、的に一気にまくし立ててしまった。しまったと思って口を閉じるが、ペトラさんは沈黙している。
どうしよう、怒っただろうか。もしこれが現実であればただの喧嘩で済むけれど、今はゲームの大規模イベント中。私の発言が原因でペトラさんが暴れて、クエスト失敗なんてこともありうるのだから気を付けなければ、とわかっていた筈なのにやってしまった。
「あ、えぇと……」とフォローすべく、私が口を開いた直後、ペトラさんはゆっくり話し始めた。
――森に居たとき、私は……。どうして私だけ誰にも見向きもされず、祈りを捧げてもらえないのかと、恨みながら他の人のを見ていたわ。森で考える時間なんか山ほどあったのに、私はずっと「悔しい、苦しい、悲しい」と自分自を憐れむだけだった。
――でも、そうなった理由があったのね。自分の行いを考えれば、當然のことだったのよね。私がずっとお父様にされてきたことを、私もまた、他の人にしてしまっていたのね。
――皆にどう思われていたのか。私の行いがどういう結末をもたらしたのか。今更、本當に今更だけれど、何が悪かったのか気付けた。あなたと話せて、本當に良かった。
――……門の外に戻りましょう。マークのことを知りたいからとってきたけれど……今更ご家族に合わせる顔なんてないわ。會って謝罪するのもありだけれど……、かえって刺激してしまう気がするし……。
「そう……そうですね。會うべきなのか、會わない方が良いのかは、どちらが正しいかは分かりません。それなら、そっとしておくのも一つの選択だと思います。……戻りましょうか」
私とペトラさんは、補給部隊からカモフラージュの為の資をけ取ってから來た道を引き返し始めた。
もしかしたらドロシーさんやマークさんのご家族は、ペトラさんと直接會って、責めるなりした方が前を向いて生きていけるのかも。でも、すでに吹っ切れていて、新しい人生を歩んでいる可能もある。そうなったら、ペトラさんの來訪が混を招くだろうな、って。
もし仮に今、父と一緒に亡くなったが私に會いに來たとしても、私はどんな顔をして會えば良いのか分からない。だから、會わないのも一つの選択だと思ってペトラさんの意見に同意した。
§-§-§
「分隊長、戻りました」
「あれ? お帰り、隨分早かったね?」
――彼と話していて、自分がしていることがどれだけ自分勝手なのかが分かった。だから確認せずに戻ってきたの。
「そうですか。それで、結局どうするか答えは出ましたか?」
――お父様……マカチュ子爵に関しては、今回のことに限らず、どうしても許すことが出來ない。私なりのけじめをつけたいから、子爵との対面について許可してしいわ。マークには……、もともと何もする気がなかった。ただ、私のことを忘れないでしくて、勝手だけど私の裝を渡したかっただけ。マークがもう居ないと分かった今、何もむことはないわ。それから、アンデッドに関しては私が消えれば元の死に戻るでしょう。だからもうしだけ、待っていてちょうだい。
「そうですか。子爵に関しては……、親子喧嘩に私たちの許可は要りませんよ?」
――親子喧嘩、ね。ありがとう。ああ……最後に一つだけ。私が今ここにこうしているのは、私の意志ではないわ。……と言うと語弊があるかもしれないけれど……私一人の力でこんな事態は引き起こせない。
――私の憎悪を大化させて悪霊化させ、アンデッドを大量に森に召喚したうえで、私にる力を授けてくれた人が居るのよ。多分ネクロマンサーだと思うけれど……その人が何を考えているかは分からない。ただ、この世界にとてつもない恨みを持っているようなことを言っていたわ。だから、この先も似たようなことが起こるかもしれない。それだけは覚えておきなさい。
「ネクロマンサー……真の黒幕、と言うことですね。覚えておきます。ご忠告、ありがとうございます」
――じゃあね。しの間だけど、久々に人と話せて楽しかったわ。それと、これをあげる。
そう分隊長に告げて、ペトラさんはまた門の方面――子爵の元へと進んでいった。
分隊長は何を貰ったのかな。聞いてみたい気がしたけど、アンデッドがまだそこかしこに居るせいで、會話もままならない。
「じゃあ皆、ご令嬢と子爵の喧嘩が終わるまで、あとちょっと頑張ろうか」
にこにこと笑いながら分隊長は言う。喧嘩の結末がどうなるか分かってるだろうに軽く言ってるあたり、爽やかさとは程遠いなあ、と思って、アンデッドに斬りかかりながら私は思わず笑ってしまった。まあ、分かっていて目をつぶっている私たちも同罪なんだけどね。
だってやっぱり、私は子爵を許せそうにない。一方的にお母さんを責め続けて、多額の謝料まで要求してきた不倫相手の夫のように。
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