《妹と兄、ぷらすあるふぁ》怪談
晝過ぎ、もちろん日はしているはずなのですが今家の中は僅かにカーテンの隙間から日がれているだけで薄暗いです。
お兄ちゃんとねぇねが九十度の角度でテーブルを囲んで座り、あたしは何故かねぇねの膝の上で拘束されています。
何故拘束されていると言う表現を使うのかというとあたしがこの場からすごく離れたいからなのです。理由は簡単、ねぇねが暑いし怪談でもしようかなんて言い出したからです。
「妹ちゃんもそんなに怖がらなくていいのに」
「じゃ、じゃあ、怖い話なんてしないであたしを離してください」
再度お願いしても、ねぇねは「それはダメ」と取り合ってくれません。
お兄ちゃんに助けを求めるように見つめてみますが、お兄ちゃんはあたしと目が合うと目を閉じ首を振りました。まるで諦めろと言いたいかのように。
「これは、私が高校時代に実際にあった話」
雰囲気を出しながらねぇねが急に話し始めるので、思わずあたしは「ひっ」と言って驚き、目をつぶってしまいます。
「その時は修學旅行でスキーということもあり、一日目、二日目とスキーが終わった後可能な限り早い時間で寢てしまっていました」
今のところ容としては怖いことはないのですが、ねぇねの話し方がどうしてもあたしを不安にさせてきます。しかし、目を開けていないのは目を開けていないので怖いので恐る恐る開けたのち、ねぇねの話に耳を傾けます。
「それから、三日目の朝。まだ誰も起きていない頃。私は一人お手洗いに向かいました。その時、個室にる際は特に何も起こりませんでしたが……」
ねぇねがそこで一度ためます。そんな風に引き延ばさないでと心の中でびますが、もちろんその聲がねぇねに聞こえるはずもなく。たった數秒だったかもしれませんが數十分にも長くじます。
知らないうちに心臓がドキドキしてきました。
「個室から出て最後ドアを閉めようとしたとき……私の右肩の方から手がぬっと……」
「ぬっと」のところに合わせてねぇねがあたしにも同じことをします。右肩から急にびてくる腕。
あまりの怖さにあたし自「キャ」という短いび聲をあげた後固まってしまいましたが、ねぇねは話を続けます。
「それからすぐに後ろを振り返ってもだれもいませんでした。おしまい」
あたしも恐る恐る振り返ると、そこにはちゃんとねぇねがいてとっても安心しました。しかし、殘念ながら安心ばかりもしていられません。
今のが本當にあったというのならやはり怖さからは抜けられません。
だからあたしはねぇねに「どういうことなの?」とたずねようとしましたが、恐怖で思うように口がきません。しかし代わりにお兄ちゃんが、
「それで、結局その手ってなんだったんだ?」
「あぁ、それはこれ」
ねぇねがそういって自分の右手を上げます。それがどういうことかわからずにあたしは首をかしげました。
「私としては扉に手がかかってるつもりだったから。うまくかかってなくて手が想定外の勢いで予想外の所に來たってことだね」
補足をするようにねぇねが言うと、今度はお兄ちゃんが口を開く。
「つまり、幽霊よりも人間の方が怖いと?」
それを聞いてねぇねは首を振ります。
「幽霊がいるかどうかはわからないけれど、人間思い込みさえあれば自分の右手でさえ幽霊にしてしまうってこと」
「人間でいたいものだな」
「人間でいたいものね」
お兄ちゃんとねぇねはそういって二人で納得していましたが、あたしとしては幽霊の正がわかっただけで十分でした。
実話。目の端に急に映り込む手ってのは本當に怖い。
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