《妹と兄、ぷらすあるふぁ》夏休み

夏休みになりました。とは言っても夏休みなのはあたしだけで、お兄ちゃんはまだテストがあるといっています。

「夏休み……何しようかな。プールに行きたいし、図書館で一日中本を読むのも楽しそう」

夏休みの一日目、家のソファに座りながらそんな風に思いを膨らませます。

まるでいつまでも終わらないお休みがあるみたいで、聲に出して言うのは恥ずかしいですが魔法にかかったみたいです。

「あーにぃは夏休みになったら何をするの?」

気分がいいあまり、思わず勉強中のお兄ちゃんに話しかけてしまいます。

しかし、お兄ちゃんは嫌な顔をすることなくあたしの方を向くと「そうだな……」と考え始めました。

「正直何も出來そうにないな」

「そうなの?」

お兄ちゃんの答えを聞いて思わずきょとんとしてしまいます。

何せ、大學生のお休みというのは十月までだそうなのであたしたちよりもいろいろなことができると思うのです。

そんなあたしの様子を見てかお兄ちゃんが口を開きます。

「小學生のころは夏休みが楽しみだったのは確かだな。友達と遊んだり、プール行ったり、蟲取りにも行ってた。その分宿題というのが嫌で嫌で仕方なかったが」

それがなんというかあたしと似たようなじでお兄ちゃんにもこんな頃があったのかと心してしまいます。

「中學生になってもそれはあまり変わらなかったが、周りが部活をしていたからいかに部活の合間をって遊ぶかという話になった。まぁ、休みにまで遊ぶ友人がなかったから家で本を読んだりすることが多くなった」

そこでお兄ちゃんは一度區切りまた話し出す。

「高校生になると、勉強が忙しくなって真面目に勉強すると夏休みなんてものは無かった。家事もしないといけなかったしな。それでも、その合間をってやりたいことをやる時間を作るのは楽しかった……というのは後付だが」

それくらいまで來るとあたしも覚えています。ずっと家にいてたまにあたしと一緒に遊んでくれました。とはいっても散歩とか図書館とかでしたが。

「で、大學生になると、これと言ってやりたいことがなくなった」

「だから、何もできないだろうな」とお兄ちゃんは何気なしに言う。でも、今のあたしにしてみればそれが信じられなくて、納得できない顔をしていたのでしょう、最後にお兄ちゃんが付け加えます。

「ゲームとかスポーツなんかでもルールとか制限があった方が楽しいだろ?」

その言葉に関しては、どこか納得することができました。

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