《妹と兄、ぷらすあるふぁ》E・F……

お兄ちゃんはあまり目がよくありません。その補正のために使っているのは眼鏡なのですが、いつもかけているというわけではなく気分によってどうするのか変えているのだそうです。

とは言えあたしは目が悪くはないので、ちょっとどんなふうに見えているのか気になります。

「あーにぃ、あーにぃ」

「どうした、妹よ」

夏休みになり、リビングのソファに座り本を読んでいる今日は眼鏡を掛けているお兄ちゃんに聞いてみます。

「眼鏡を外しているときと眼鏡をかけているときってどう違うの?」

「眼鏡をかけていないとぼやけるし、眼鏡をかけるとぼやけないな」

それを聞いて、あたしはし頬を膨らませます。何せそんなこと言われなくてもわかりますから。

でも、お兄ちゃんはあたしの予想に反して困った顔をしてしまいました。

「妹は今自分が見ているものを正確に伝えてくれ……というか何となくでいいからどんなじか伝えてくれと言われたら伝えられるか?」

そういわれて、しばらくどうやって伝えようか考えてみましたが結局首を振ることしかできませんでした。

「當たり前のことを改めて意識するのは難しいよな」

あたしは頷いて「じゃあ」と別の質問をぶつけることにします。

「眼鏡を掛けていない方が良い事とかってあるものなの?」

いつも眼鏡をかけていないと言うことはそういうこともあるのでしょうか?

お兄ちゃんは本を閉じテーブルの上に置くと眼鏡を外したり掛けたりします。それから、最終的には外した狀態で口を開きます。

「眼鏡掛けてると邪魔と言えば邪魔だな。それから……」

お兄ちゃんが変にためるので、何か嫌な予がしましたがここで止めるのも変なので特に何もすることはできず、お兄ちゃんが続きを話し始めます。

「幸い家にはそんなに出ないけど、極稀に出ることがあるアレを退治するときなんかも眼鏡はない方がいいな」

「アレって?」

お兄ちゃんはその名前を口にするのさえ躊躇っていましたが、あたしはそれが何かピンと來なかったので悪いと思いながら尋ねます。

「エフの次」

嫌そうにお兄ちゃんはそれだけ言います。そして、それだけであたしもわかってしまいました。家事全般はもうほぼあたしの仕事ですが、それの退治だけはお兄ちゃんに頼ってしまいます。

「シンクの中に出た時なんか殺蟲剤を使うわけにはいかないし、上手く叩く事もできないから食用洗剤をかけてやるんだが、音だけでわかるほどカサカサ暴れてな」

話を聞くだけで全に鳥が立ってくるようです。正直なところ聞いたことを後悔しています。

「幸い眼鏡を掛けてなかったからぼんやりと黒いのに當ててれば良かったからいいものの、もし目がよくてはっきり見えていたと思うと……」

「あーにぃ、もうやめて」

耐え切れなくなって思わずんでしまいました。

世の中見えない方がいいことなんて數えきれないくらいあります。

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