《妹と兄、ぷらすあるふぁ》名前
あたしのお兄ちゃんは素直じゃないです。
あたしが好きな唐揚げをくれるだけの為に、噓をついてあたしを怒らせるくらいには素直じゃないです。
「あーにぃって素直じゃないよね」
「自分でも嫌って思うほど素直だと思うけどな」
「でも、昔自分の事適當な名前で呼んだよね?」
お兄ちゃんも覚えていると思ったのですが、そうではないらしくお兄ちゃんが要領を得ない反応を見せます。
もしかしてあたしの思い違いだったかなと思って「渡辺洋一郎って言ってたよね?」と口にしてみたら、思い出したように「ああ」とお兄ちゃんが反応しました。
「そんな事もあったな」
「渡辺洋一郎って誰なの?」
「別に誰ってわけじゃないな。何となく思いついた。
と、言うかあの時、お兄ちゃんの名前ちゃんと覚えていたのか?」
「覚えてたよ。秋人だよね?」
「本當は渡辺洋一郎と言う」
また適當な事を言うお兄ちゃんに、今度は騙されまいと頬を膨らませます。
今は唐揚げが無いので簡単に許してあげません。
「冗談は置いといて、妹の方が素直じゃないと思うけどな」
「そんな事ないもん」
「でも、あの時普通に唐揚げあげようとしてもけ取ってくれなかったろ?」
それとこれとは違うと思うのですが、上手く言い返す言葉が思い浮かびませんでした。
【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔術師を凌駕する ~ユニークスキル〈セーブアンドロード〉~【web版】
※書籍化決定しました!! 詳細は活動報告をご覧ください! ※1巻発売中です。2巻 9/25(土)に発売です。 ※第三章開始しました。 魔法は詠唱するか、スクロールと呼ばれる羊皮紙の巻物を使って発動するしかない。 ギルドにはスクロールを生産する寫本係がある。スティーヴンも寫本係の一人だ。 マップしか生産させてもらえない彼はいつかスクロール係になることを夢見て毎夜遅く、スクロールを盜み見てユニークスキル〈記録と読み取り〉を使い記憶していった。 5年マップを作らされた。 あるとき突然、貴族出身の新しいマップ係が現れ、スティーヴンは無能としてギルド『グーニー』を解雇される。 しかし、『グーニー』の人間は知らなかった。 スティーヴンのマップが異常なほど正確なことを。 それがどれだけ『グーニー』に影響を與えていたかということを。 さらに長年ユニークスキルで記憶してきたスクロールが目覚め、主人公と周囲の人々を救っていく。
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