《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》Side:ヴィオラ編2
突然ですが、明日投稿分はしだけ長めになってしまったので、2話に分ける予定です。
ただ、中途半端な位置で分かれてしまうので、晝の12時と夜20時の2回に分けて投稿します。
いつもの覚で20時投稿分だけ読まないようにご注意下さい!
「あっと言う間にイベントが終わっちゃったわね……」
蓮華との約束はイベント終了時迄。それ以降もパーティを継続するかどうかは、彼の返答次第と言うことになる。
「パーティを組んでいた方がメリットがあるってアピールをもっと出來れば良かったんだけど。対アンデッドのイベントだったから正直私の方が彼におんぶに抱っこ狀態で何のアピールも出來なかったし……」
最初に條件だったポーションについても、全然使われずに殘っている。
「彼の痛覚設定がNPCと同様だって言うのが誤算だったわ。痛みがそのままなら、怪我をしないように立ち回るのが當たり前よね。
……せめてMPポーションが完していればもうし貢獻出來たんでしょうけど」
こちらは報と知名度上昇。あちらはポーション類が無料で使い放題。最初に想定していた條件自がそもそもこちらに有利すぎたけれど、蓋を開けてみればポーションのメリットがほとんどないせいで関係は完全に破綻。
當初は想定していなかったエンチャントのおかげで、私のイベント自の評価も高く、一方的に良い思いばかりをして終わってしまった。
正直な話、吸鬼だから利用しても許されるだろう、なんて勝手に思っていた。でも実際の蓮華は、集落で聞いていた吸鬼像とは完全にかけ離れていて、想像に反してむしろ善人な位で。
好奇心から、下心を持って近付いた自分が恥ずかしくて仕方がないと今は思っている。
「確かに私たちエルフは長命で治癒能力も高いから、長いこと吸鬼に食料として扱われてきたみたいだけど……。彼はそんな吸鬼と同じとは思えない。
考えてみれば、他の吸鬼とひとくくりにすること自が間違っていたのよね。私だってエルフだけれど、他のエルフからは同族と認められない異端児なのだし。
はああああ、もう!! 一週間前の自分を毆りたいわ」
このままいけばどう考えてもパーティは解消になる。でも、今更……本當に今更、彼の人となりを見て好奇心より「もっと仲良くなりたい」なんてが大きくなってしまっている。本當に自分勝手で最低な自分。
「挙げ句の果てには、彼のファンが私に何故か恩義をじて掲示板に個スレ迄立ててくれてるし、配信ページの登録者數も増えてる……。
男にが近付くんだから炎上の一つや二つすると思ってたのに、むしろ謝してくるってどう言うことなのよ。お願いだからこれ以上私の罪悪を増やさないで……。
本人がああだからファンも善良な人が多いのかしら。本當に嫌になっちゃうわ」
イベントが終わって丸一日半以上。半ば強引に立したパーティだったから、さっさと解消の話を持ち出されると思っていたのに、當の本人はずっとログアウト中のまま。
その間、私はずっと悶々としながら過ごしている。折角イベント終了がトリガーになって東門の、森の先が解放されたと言うのに一切近寄らずに王都でぼーっとしているのだ。本當にらしくない。
何だか調子が狂ってしまってどうしようもないので、どうせ蓮華もログインしていないことだし、気分転換に外にでも出よう。そう思ってGoWからログアウトし、さくっと外出の準備を終わらせる。
うん、久し振りにアニメインと書店に行こう。最近GoWばっかりしていたせいで新刊も全然確認出來ていない。配信もそこそこの収にはなっているし、ちょっと大人買いしても罰は當たらないだろう。
§-§-§
最悪……。あれはどこをどう見ても吸鬼じゃない。どうしてこんなに人口の多い街でピンポイントに吸鬼と遭遇するの? 今は晝なのになんで普通に出歩いてるのよ!
しかもさっきからこっちをちらちらと見て來ている……、何? 私がエルフだってバレた? いえ、落ち著こう私。元々私の覚が鋭いだけで、言葉をわしたならともかく、普通はすれ違っただけで異種族だと分かる人の方がない。それに私の見た目はエルフとかけ離れていて、完全に人間。うん、大丈夫よ。
怖いし手が震えて不自然だし、本當はさっさと別の棚に移したいけれど、今ここで移する方がかえって警戒していますと言っているようなもの……相手が立ち去るまで我慢するのが正解よね。
でもいつまで経っても移しない……。興味のある本がなかった振りをしてこちらが先に移した方が自然かしら? そうよね、よし、移しましょう。
なんでついて來てるの!? どう言うこと? 私のことを完全に疑ってる? それとも単純に食料として拐するつもりなのかしら。そ、それなら今、店から出た方が逆に危ないわよね。どうすれば……。
にらみ合いが続く中で、吸鬼の目線が急に私から外れた。どうやら電話がかかってきたらしい。
「何だ? お前の買いリストはちゃんと全部……、追加? 分かったよ、誰のなんて本だ?」
そう言って吸鬼は去って行った。最後に一にらみして來たけれど。
よし、今のうちに帰ろう。吸鬼の能力は高いと言うし、うかうかしていたら追いつかれて家を突き止められてしまうかも。
結局何も買えず仕舞いで何の為に外出をしたのか分からなかったけれど、生きて帰ってこられただけでも儲けものだと思おう。
「それにしてもあの吸鬼……誰かに買いを頼まれているじだったけれど。まさかこの近辺に他にも吸鬼が暮らしてるってこと? それにしても、買いの最中にたまたま私を見かけてストーカーしてきたの? 一何の為に……」
やっぱり食料にする為って言うのが一番しっくりくるかしら。人間だと思った上で食料にしようとしていたのか、エルフだと気付いた上で食料にしようとしていたのかで、危険度は段違いに変わってくるけれど……。
最悪、東京を離れる必要も考慮しなければいけない。
「田舎よりも東京の方が人に紛れられて楽なんだけど……こんな近くに吸鬼が居たんじゃ買い一つ自由に出來ないわよね。さっきの雰囲気じゃ、日中なら安全って訳でもなさそうだし」
正直、同じ吸鬼の話。蓮華に相談したいけれど、そうなれば私がエルフであることも、私が蓮華の正に気付いていることも言わなければいけない。なにより、彼は年中配信がオンになっている狀態。GoWでの會話なんて不可能な訳で。
それに、蓮華もきっと多分吸鬼の中で異端の存在だろうし。平穏に暮らしているところを、私が相談したせいで彼を巻き込むなんてことも、十分に有り得る。それはさすがに出來ない。
「はあ、気分転換のつもりが問題がかえって増えるなんて……私の日頃の行いが悪いせいのかしら」
食料品も殘りわずかだけれど、今は買いに行く気分でもないし、食事を作る気分にもなれない。
カップラーメンをさっさと完食して、GoWへ戻ろう。久し振りにエリュウの涙亭で食事をするのも良いだろう。食料難は徐々に解消されているし、イベントのおで懐も溫かい。多豪勢な食事にしても問題ないだろう。嫌なことは味しいものを食べて忘れるのが一番良いと言うし。
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