《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》27.耐久度が低いと駄目なんですか?(1)
本日投稿一話目の方になります。
本日はちょっとイレギュラーで12時と20時の二回投稿になります。
夜もよろしくお願いいたします。
僕が何度も裏口から出りしていることに気付いたジョンさんが、普通に正面り口から出りするようにと言ってくれた。
どうもこの世界では、テイムの証である首さえしてあれば店の中にスケルトンが居ても問題はないらしい。さすがに馬や、テイムされた前例は聞いたことはないけれどドラゴンのような大型獣の場合は、外で待っていて貰うしかないけれど。
首さえしていれば犬や貓も出り自由って、なんだか新鮮。日本ではドッグカフェや貓カフェなんてところ以外、基本的には店ペットお斷りの方が圧倒的らしいし。
でも、こっちじゃテイムされてる子は戦う仲間、言い方を悪くすれば武や道の一種。近くに居なければ、何かあったときに困る、と言う考え方が普通みたい。
それはそうと、ヴィオラと會えていないけれど、どうしたんだろう。もしかしてエリュウの涙亭で待っていたけれど、僕が裏口から出りしていたせいですれ違っていたなんてこと、あるだろうか?
まあ、そもそもイベント終了後に一日半程ログイン出來ていなかったと言うのもあるけれど。もし待っていてくれていたとしたら申し訳ない……。
うーん、今迄は気にならなかったけれど、プレイヤーと流し始めてからシステムメニューの類いが使えないことを不便にじるようになって來たなあ。フレンド登録って言うのをしていれば、相手がオフライン時や近くに居なくてもコミュニケーションがとれるらしいし。なんて便利……。
「あ、分隊長! ぶんたいちょー!」
エリュウの涙亭に顔を出した瞬間、大きな聲で僕は呼ばれた。いや、正確には分隊長はたくさん居たし僕が呼ばれたとは限らないんだけれども、ナナとガンライズさんがこっちを見て手を振ってる辺りきっと僕のことを言っているんだろうなあ、と。
と言うより、この二人いつの間にか仲良くなってたんだね。あのときは知り合いってじじゃなかったから、この二日位で流を深めたじか。コミュニケーション能力が高い人達って凄いなあ……。
「久し振り。でもね、もう僕分隊長じゃないんだよ……」
「あ、そうでした! じゃあ、蓮華さんって呼んでも良いですか?」とナナ。僕は了承の意味を込めて頷いた。
「ところで、今日は? 何かあった?」
「何かないと駄目ですか? 単純に會いに來ただけですよー。まあ、そろそろ味しいおが食べたい気分になってきたので、食事目當てだったと言うのもありますけど」
「俺は別にイベント直後でも良かったんだけど、ナナはは食べたくないって言うから、今日迄お預けだったんだ」
まあ、あれだけ長い間ゾンビの腐臭を嗅ぎ続けていたら、ナナの反応の方が普通だと僕も思う。ガンライズさんはなかなか豪快な人なんだなあ。
「そっか。僕も丁度ご飯を食べに來たところだし、一緒に食べても大丈夫?」
「勿論! 々聞きたいこともありますし!」
ナナの視線が僕の斜め後ろを向いている。ああ、アインが気になるのか。
「あー、そうだよね。正直僕もギルドで話を聞いたときは驚いた位だし、皆はもっとびっくりするかも」
リリーさんに食事を注文しつつ、僕は二人にアインを紹介。ナナは既に首を見たときから薄々分かっていたらしいけれど、ガンライズさんはテイマーの存在を知らなかった様子で、僕と同じ位驚いていた。
「へー、テイマーなんて居るのかあ。んじゃそのスケルトンは今、名実共に蓮華さんの相棒って訳か。そりゃあのとき令嬢と一緒に昇天しなかった訳だ。納得。だけどそれじゃ、蓮華さんは武がなくなったじだよな。何か買う予定は?」
「ああ、うん。イベントの報酬もったことだし、僕とアインの裝備を買おうと思っていくつか店を回ってみたんだけど……、そもそもオークションと比べるとどうなんだろうと思って、一旦保留中」
「オークションかあ。正直ピンからキリまである印象だな。流す人の考え方によるっつーか……。
練度目當てで作ってる商品ならそこそこ良いものでも、ある程度安価に流れてるけど、稼ぐ為に流してる人は當然相応の値段で流してる。
んで、練度目當ての人に関しては、既にたいていの人がフォローしてて、出品された瞬間に売り切れる。
だから殘ってるのは大値段相応で、そこら辺のNPCの店売りと能・価格共に差はないじ。
違いがあるとすれば、各國のプレイヤーが流してるから、この國では珍しいものも手にりやすいってところかなあ」
「ごめん、フォローって何?」大の説明は納得出來たけれど、そこだけ意味が分からなかったので質問。
「あ、えーと、お気にり登録って言えば良いのかな? 自分がしいを流してるプレイヤーの名前をフォローすると、その人が出品したときに通知が來るんだ。だからすぐ気付くことが出來る。
けど、それは他のプレイヤーも一緒だから、人気のプレイヤーメイド商品は、本當に一瞬で売り切れたりするってじ」
「なるほど……じゃあ別に普通の剣を買おうと思ったら、店売りでも良いってことかあ」
「むしろ手數料がかかる分、店売りより若干値段が高いことの方が多いかなあ。まあメリットがあるとしたら、今後はプレイヤーの方がNPCよりも質の良いものを生み出せるようになるだろうなってこと?
練度が上がれば同じ材料でも品質の良いものが作れる……筈だから」
「うーん、なるほど。じゃああれかな。アインの裝備は店売りで、僕の武だけオークションが良いのかなあ……」
「蓮華さんはどんな武が使いたいんだ? スケルトンの腕を使ってるイメージしかないんだけど」
「いやいや、あれは今迄使っていた剣が破損したから、代わりに使わせて貰っていただけだよ。
僕の剣は本來刀を想定したものだからね。刀がしい。でもこの國だと刀を売ってる店が全然なくて。オーダーメイドなら手にるかもしれないけれど、それだとアインの裝備まで資金が回せなくなりそうで」
「あー、刀ならカラヌイのプレイヤーが流してるな。んじゃちょっと今俺が見てみるか……、お、これは安い。あ、でも耐久度が低いからパスだな」
うん? またしても良く分からない単語が。いや、耐久度って言う言葉の響きで大の意味は分かるけれど……。
「えっとごめん、耐久度が低いと何が駄目なの?」
「え、そりゃ使ってる最中にすぐ壊れるから買い替え頻度が高くなるし。壊れる前に修理に出せば最大耐久度まで戻るけど、メンテナンス頻度が高いと遠出するときにも向かないから、結果として敬遠されるってじ」
「うん? その言い方だと、まるで耐久度は使い方に関係無くすぐに減るって聞こえるんだけど?」
僕の言葉に二人はきょとんとした表を浮かべている。あれ、この表には見覚えがあるぞ? 僕が変なことを言ったときは大抵皆がこんな顔をする……、けど、今おかしいこと言ってないよね? あれ?
「え、なんか変なこと言った……?」
「いや、俺らの覚的にはどんな使い方をしても必ず耐久度は減るけど、蓮華さんは違うのかなあって……」
「皆の耐久度がどれくらいを基準に減るものなのかが分からないけれど、僕がオルカの町で買った片手剣は……森で壊れる迄大ゲームで六十日ちょっと? それ位は持ったけど」
「ええ、そんなに!? 初期の町で買える剣なんて絶対インベントリにってる初期裝備と同等レベルな筈……私は十日も持ちませんでしたよお。王都迄の移中に壊れたせいで、インベントリにってる全然違う種類の武を使う羽目になって散々な目に遭いましたし」
「うーん……だってさ、例えばウサギ一羽を倒すのと、骸骨さんに攻撃するの。一回の攻撃で、同じ耐久度が減るのは納得がいかなくない? ウサギと骸骨さんとじゃ武にかかる負擔が天と地程の差があるよね?」
「いやあ俺らにとっては……」「うん、私たちは武を使うこと自がこのゲームで初めてだから、違いとか分からないですよお」
な、なるほど。僕にとっての當たり前は彼らにとっては當たり前じゃないのか。考えてみれば、僕がまだ人間だったとき……初めて剣を持ったときは、使い方がめちゃくちゃですぐにボロボロになった気が……する?
「今迄は武の練度が高くなれば戦闘中にアシストがるから、ずぶの素人でもそれなりにまともな剣を使っているように見えてくる、って認識しかなかったけど、それって裏を返せば正しい武の使い方が出來るようになるってことでもあるから、武の耐久度の減りも格段に減る、ってことに繋がるのかな」
「あー、なるほど! ガンライズくんは頭が良いですね!」とナナ。
おお、ガンライズさんはまんざらでもない顔をしている。これは僕にも分かるぞ、春の匂いがここまで漂ってきそうなじがする。
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