《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》27.耐久度が低いと駄目なんですか?(2)

こちらは本日、二話目の方になります。

お晝の12時に一話目を投稿しておりますので、そちらからお読み下さい。

「じゃあ僕はとりあえず今のところは耐久度はそこまで気にしなくても良いから、ある程度割り安の刀があればそれで良いかなあ……うん? どうしたの? 僕の武を優先して良いって? いやいや、アインの裝備にお金をかけた方が良いよ。盾役の裝備が雑だったらあとが大変だよ? アインも痛いのは嫌でしょう?」

痛覚があるのかは分からないけれど……、いや、眼窩に指を突っ込んだときは苦しそうだったし、きっと痛覚はある筈。あのときは申し訳ないことをしたなあ。ごめんねアイン。

「あ、じゃあこれは良いじかも。……いや、そもそも刀って種類がたくさんあるよな? どれが良いんだ?」

「ん? 見えてないからなんとも言えないけど……、大太刀でも太刀でも打刀(うちがたな)でもなんでも良いよ。使いにくかったら、多はお金がかかるけれど磨上(すりあ)げすれば良いだけだし。あ、でもそれとは別に小(こ)脇差か短刀は持っておきたいかな。やっぱり素材の剝ぎ取りとかはそっちの方がやり易いし」

有りに言ってしまえば、僕は刀であれば何でも使えるのでこだわりはない。鎌倉時代に生まれ育ったから、一番最初に手にしたのは太刀だけれど、時代が下るにつれて主流武が大太刀になったり、お國の命令で打刀と脇差を帯刀したり。んな時代を経験してきたが故に、一通りった経験はある。

は実用的なもの。今みたいに博館に飾っておくものではなかったので、使われなくなった大太刀を磨上げと言って、短くしてしまうこともざらだった。まあ、それが現代に大太刀がほとんど現存していない理由でもあるのだけれども。

「磨上げ……なんか良く分かんないけど、蓮華さんが刀に詳しいことだけは分かった。

ええと、今流れてるものの中でも、品質と価格の釣り合いがとれているものはそんなに多くない。多分刀はこう、キャラ付け?の為に一部のプレイヤーに人気だから、値段が高いことはあっても安く出回ることはないみたいだ。

んで、これなら耐久度もそこまで低くないし値段も悪くない、って言うのは全部で八本。大太刀ってカテゴリは出回ってない。太刀が三本、打刀が三本、脇差が二本。短刀もなし。

俺じゃ決めらんないから、蓮華さんが自分で見て。プレビューは確か共有できた筈だから……と。どう、見えてる?」

「ああ、うん。これは凄いね、本當に目の前に刀があるみたい。これが最初の太刀かな? 次に行って貰って良い? うん、次……お、これは……刃文(はもん)が粟田口っぽいなあ。ちょっと保留。

打刀を見せて貰える? うんうん、次。うーん、次。うん。

最後に脇差をお願い。お、これは……。短刀と同等レベルで短いし、これにしようかな」

「脇差は補助的に使うのではなく、あくまで剝ぎ取りの為なんですか?」とナナに投げかけられた。

「そうだね。まあ何かあったときには使うかも知れないけれど、基本的には太刀で戦って、首を切り落としたり素材を剝ぎ取ったり……後処理にしか脇差は使わないかな。

狹いところで戦うには不便だから、のちのちお金に余裕が出てきたら打刀も追加したいなーとは思うけれど。今日のところはこの二本にしておこうかな、って。で、ガンライズさん、それぞれいくらだった?」

「太刀の方が五十銀、脇差が三十銀ってところだな。他の武に比べたらやっぱり斷トツに高いし、蓮華さんが選んだのも他の刀に比べて高いけど、良いのか?」

「うーん、アインの裝備を考えると正直ちょっと苦しいなあとは思うけれど、太刀はその三本の中ならそれが良いかなって。僕が使ってた粟田口派の刀にそっくりなんだよねえ。一番手に馴染みそう。

あ、脇差に関してはサイズで選んだんだ。そのサイズなら短刀とあんまり変わらないから、懐にれておけるし、野営とかにも便利で」

「いや、使ってた刀って……どう言うことか良く分かんないけど。まあ蓮華さんがそれで良いなら売り切れる前に買っちゃうよ、っと。ほい。んじゃこれ二本ね。全部で八十銀、よろしく」

「ありがとう。それじゃ、これが代金です。いや、助かったよ。やっぱり刀が一番しっくりくるし、うん。

それじゃあ、アインの裝備は店で探してこようかなあ」

「あ、蓮華さんもう行っちゃうんですか!? 待って待って、もう一個聞きたいことがあったんですよ」

特に急いでる訳でもないので、解散してから店に行くつもりで口に出したんだけれど、今すぐ出て行ってしまうと思ったらしいナナが慌てて聲をかけてきた。

「うん? 何が聞きたいの?」

「蓮華さんこの間のイベントで、子爵令嬢から何か貰っていたじゃないですか。それが何かずーっと、ずーっと気になってて。緒にしたいものであれば全然良いんですけど、出來たら教えてしいなあ、なんて」

ああ、そう言えば子爵のところへ行く直前に、何かを貰ったような……。あのあと々ばたばたしていたせいですっかり頭から抜け落ちていた。

「そう言えばそんなこともあったね。今の今まで忘れていたよ。教えてくれてありがとう。それじゃここで見てみようか……確かポケットの中にれっぱなしにしてて……と」

ボロボロの布にくるまれた何かをポケットから取り出し、機の上に置く。お店の中で開けて大丈夫かな? 開けたら急に襲ってくるとか勘弁してしいんだけれど。

まあ、見たところ変な雰囲気も発してないし、大丈夫、か? 念の為アインに見せた結果、大丈夫とばかりに頷いたのでよしとしよう。

そっと包みを一枚一枚剝がす様子を、ナナとガンライズさんが固唾を吞んで見守っている。最後の一枚を剝がした結果、中から出て來たのは――、

「ネックレス……ですね?」

ナナの言葉に僕は頷く。ペンダントトップの部分は小振りのロケットになっているようだけど、長い間森で放置されていたからか、狀態がだいぶ悪い。僕は壊さないように慎重にロケットを開いてみた。

「あ、開けたら説明が……。えっと、『思い出のロケットペンダント 狀態:劣化』って表示が出て來ました。小さいの子が子爵令嬢で、隣で微笑んでいるがお母様らしいです」

「ステータス上昇とか何もないのか?」とガンライズさん。

ステータス上昇……普通のゲームではアクセサリーと言うと、ってじなのかな? 細かい裝備とかシステム面となると、小説から得た知識では限界があるんだよね。いちいち質問しちゃって申し訳ないけれど、ここは素直に聞くことにしよう。

「ステータス上昇?とかって言うのが普通はあるものなの?」

「うーん、そうですね。防がメインの裝備ですけど、その他にアクセサリーの類いも、裝備品としてにつけられて、ステータスに限らず何らかの補助的能力がついてるイメージはあります。勿論、大抵のゲーム上、なのでこのゲームに関しては良く分かりませんが。確かまだそう言ったものは出回っていない筈なので。

もし可能があるとしたら、狀態が「劣化」ってなってるからかもしれません。修理とかして確かめてみますか?」

「うーん、ステータス上昇云々はおいておいて、彼が最期に僕に託した大切なものなら、ちゃんとした狀態で持っておきたいよね。修理……出來るか分からないけれど、あとで店に行って聞いてみるよ。幸い、閉じた狀態だったから中の寫真は無事みたいだし、最悪、外側は作り直しても良い」

「あ、そうですね。効果はさておき、狀態が悪すぎて直らないなら新しく作り直すのも一つの手ですね。寫真が無事で良かったです。きっと大事なだったんでしょうし……」

そんなところで、エリュウの涙亭も混雑してきたので、お開きとなった。

僕とアインはそのままペンダントの修理と裝備を買いに商店街の方へ。ナナとガンライズさんは冒険者ギルドに依頼を探しに行くらしく、解散。

結構長い時間エリュウの涙亭に居たけれど、ヴィオラは來なかったなあ……。珍しい。やっぱり、僕の方からコンタクトが取れないのはもどかしいな。

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