《乙ゲームのヒロインで最強サバイバル 【書籍化&コミカライズ】》266 魔
「右」
「――【氷の鞭(アイスウィップ)】――」
アリアの聲に私は確かめもせずに氷の鞭で薙ぎ払う。
聞こえてくる獣の悲鳴。私は顔を向けることなく、悲鳴が聞こえた辺りに【氷槍(アイスランス)】をばらまいてとどめを刺す。
……焼き払えないのは面倒ね。だって、死を壊さないと死んだかどうかすぐに分からないし、殺した実も薄いから。
私たちはダンジョンの六十階層辺りまで進んでいた。
今日で何日目だったからしら? アリアは幾帳面だから覚えていると思うけど、私は興味がないから數えてなかったわ。以前のように一人で戻っていたらちゃんと數えていたかしら……。
でもそんな仮定に意味はない。だって、近くに覚えてくれる人がいるのだから、覚える必要はないでしょ? どうせアリア以外と冒険をすることはない。私はアリアの敵を殺すだけだから。
でも、そろそろ炎無しの戦いにも慣れてきたわ。どの敵にどの程度の威力で放てば、一撃で殺せるか分からないと無駄撃ちしちゃうもの。
もうし威力は出せそうね。せめて氷と雷は以前よりも威力がしいわ。
全屬だった頃は、あらゆる魔を使って臨機応変に戦えることが強みだったけど、もう一屬を減らすことを考えると戦い方は本的に変えないといけない。
私は何ができる? 私には何ができる?
アリアのために何ができる?
まぁ、とりあえず……
「――【雷撃(ディグヴォルト)】――」
私の放った雷撃が凍りついた石の床を伝わり、周囲の敵を一掃した。
「獣系ばかりだね」
「そうね」
戦闘が終わり、アリアが大だけのと魔石を取る様子を眺めながら、私たちはたわいのない會話をする。
私も解は出來るけど、アリアのほうが上手いから見ているだけ。ネコちゃんはそもそも解をするという行為をしないので、適當な獲のを食べているわ。
「私たちも食事にしよう。それからし仮眠する」
「はいはい」
これが人數パーティーの良いところね。適度に良い場所があれば、好きなときに休んで好きなときに食事ができる。そもそもお日様も見えないから、夜にまとめて寢る必要もないしね。
「今日のご飯は何かしら♪」
「手伝う気はない?」
「アリアったらチャレンジャーね」
「今日は臓を使う」
アリアはあっさり私に手伝わせるのは諦め、調理の用意を始めた。
ダンジョンに潛って隨分と経つけど、私たちはまだ神的にも的にも隨分と余裕がある。
私たちが【影収納(ストレージ)】持ちで沢山の荷や食料を持つ必要はないし、水は生活魔法でなんともでなるし、怪我も病気も魔で治すことができるし、【浄化(クリーン)】でも綺麗にできるから返りも気にならないしね。
でもやはり神的に大きいのは、食材(・・)に困らないからね。
今回は新鮮狩りたてのレバーを水から煮て、乾燥野菜と豆を加えて塩と量の香辛料で味付けしたものだった。
「栄養はある」
「まぁ、そうでしょうね」
味は……悪くはない。人間の食べに分類してもいい。アリアが本気で栄養価だけに振り切ったら、正の分からないどろりとしたを飲まされるから。でも……
「どうして酸っぱいの?」
「船乗り病対策に酸味のある果をれている」
私の問いにアリアは自分の【影収納(ストレージ)】から出した、日持ちがするという見たこともない果実を見せてくれた。
數時間【影収納(ストレージ)】に仕舞えば寄生蟲も死滅してレバーも生で食べられるとアリアは言っていたけど、私には無理ね。
基本的にアリアって料理下手じゃないのに、どうして奇妙な食材を使いたがるのかしら?
アリアが臓料理にしているのは、栄養価に拘っているからだけではなく、が取れすぎるから。
ここは人型である獣亜人系のダンジョンのはずなのに、奧へ進むごとに人型は減り、獣型の魔ばかりが目立つようになってきた。
要するに普段なら日持ちがしない臓類も食べ放題という訳ね。もっとも魔のなんて魔素が強すぎて一般人はあまり食べないけど。
「……やはり、ダンジョンの生態に変化が起きている」
アリアが私の思考を読んだかのようにそう呟く。
「前もそう言っていたわね」
「うん。人型の魔が一時的に減って、餌になっていた獣が魔化したのだと思っていたけど、思っていたよりも獣型の魔が増えすぎている」
獣亜人用にダンジョンが用意した獣。
ダンジョンがのように一部をばして捕獲しているのだと思うけど、元々が餌用だったから、私たちが遭遇した獣型の魔も鹿や豬などが多く、兇暴なものでも魔狼程度だった。
でも、狼系はともかく鹿や豬に、なくなったとはいえオークやオーガが倒せるの?
実際、倒しているのだから倒せてはいると思う。ダンジョンに満ちている魔素があるから魔化は比較的容易いはずだけど……。
「おそらく、強大な魔が育っている」
アリアがぽつりとらす。
「それが、殘っていた強い獣亜人を倒した」
それに答え、私は考察をはじめる。
ダンジョンでの魔同士の淘汰が始まり、その中で頭一つ飛び抜けた存在が生まれた。でも、それはこのダンジョンに元からいた獣亜人ではなく、獣型の魔だった。
その魔がより強い獲と魔素を求めて奧へと進み、獣亜人を喰らって強くなっていった。
「意図的なものをじるわ」
「……ダンジョンの意思がそうしている?」
今度は私の呟きにアリアが答える。
「新たなボスは必要でしょう? それがダンジョンの意思か、霊の意思か分からないけど、だとしたら……かなり強力な魔が生まれつつあるわ」
私が軽い口調で重い話をすると、目を閉じていたネコちゃんがピクリと髭を揺らし、アリアがゆっくりと溜息を吐いた。
ダンジョンはおそらく、獣亜人に見切りをつけて獣系のダンジョンに変えようとしている。
面倒ね……。きっとこれまでに見たこともないような魔がいるかもしれないわ。
そんな事を考えていると、アリアは食事の後始末をして私に聲を掛けながら、外套にくるまるように橫になる。
貓みたい……。
「早く寢よう。起きたらすぐに移する。その最悪の推測が正しいのなら、下層は魔がさらに減っているはずだから、今のうちにできるだけ進んでおく」
「……分かったわ」
最悪の予測からでもすぐに利點を見いだせるのは、まぁ、良いことよね。
未知の敵がいる。私たちなら大抵の敵には勝てると思うけど、相手がまともな敵とは限らない。
全屬ではなくなった私の力は下がっている。
最下層に辿り著く前に私は私なりの戦い方を見つけなくてはいけないわ。
アリアは【】と【闇】の魔を使い、【拒絶世界】という強大な力をに付けた。
では、私には何がある?
「…………」
私も【影収納(ストレージ)】から出した予備の外套を枕にして眠りに就く。
……明日から疲れそう。
普通、何週間もダンジョンに居たらこんなにのんびりしていません。
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