《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》31.要らぬ苦労をしているのでは?
世界観調査の回ということで、し込みった話になります。ご了承ください。
へー、そうなんだーくらいで良いと思います。
僕は今、ヴィオラとは別行をとっていて、王都にある図書館に一人で居る。
一緒に調べをしても良いけれど、とりあえずは別々に行した方がより々な観點からの報が手にりそうだと判斷した。ある程度調べたら合流して分かったことを共有する予定。
ちなみに防については、あのあと鍛冶屋の店主さんに相談したのだけれど、きやすくて防力もそこそこ必要ならば、金屬や革ではなくて布のが良いと言われた。
どうやらこの世界には、糸のように細くした金屬を、魔力を使って織った布というものがあるらしい。金屬が一緒に織り込まれているので、防力も期待出來る。ただし全てを金屬で織ってしまえば加工費用がとんでもなくかかってしまうので、大抵の人は金屬割合を全の二割としているらしく、防力に関しては革や金屬には劣るという。
金屬の割合は依頼主次第なので、基本的には既製品の類いは出回っておらず、布の段階からオーダーメイドらしい。その代わり、最終的に仕立てる服裝のデザインも自由に選べると言う。
ちなみに僕もひとまず金屬二割でオーダーメイドしていて、今は仕立て上がるのを待っている段階。
デザインは袴。このゲームをプレイし始めてからずっと、洋服で戦うことに対する違和が拭えなくて、なんとなく調子が出なかったんだよね。それが解消出來るのであればと一も二もなく飛びつきました。ちなみに袴は特殊なデザインと判斷され、割増料金。お財布が一気に軽くなったのは言うまでもない……。
まあでも、それだけの価値があると思う。布の特により軽さ、きやすさは斷トツ。基本的には、やられる前にやるの神で生きてきた僕とはまさに相抜群。頭裝備に関しては予算が足りなかったので、余った布から鉢巻きを作って貰うようにお願いしておきました。
さてさて。
図書館に関しては、やっぱり王都にあるだけあって、広さが尋常じゃなかった。とてもじゃないけれど自分で目當ての場所には辿り著くのは無理!と早々に判斷し、手っ取り早く付の人に「この世界の起源」の類いが書かれた書籍の場所を教えて貰ったところ。
「『本當にわかる、世界のはじまり』。まずは軽く、この辺りから読むのが正解かな?」
近くの椅子に腰掛けて、ここまでの道すがら購した筆記用を機に出し、準備は萬端。早速書籍の目次に目を通す。いくらファンタジーと言っても言語についてはしっかり日本語で書かれているので、読むこと自に支障はない。
「世界は混沌より生まれ出(い)でた……」
よくありそうな書き出しと共に、分かりやすく図が掲載されている。うっかり読み上げてしまったけれど、図書館で音読はご法度なんだった。
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混沌は、自分の一部が分裂し自分の元を去ったことに気付き、嘆き悲しんだ。百年泣き続けた混沌を見兼ねた中間と秩序(分裂した一部)は、再び混沌と共に歩むこととした。けれど、一度分かれたものが再び一つになることはない。
故に、この世界は混沌、中間、秩序の三つからり立っている。また、中間が最も大きく、故に混沌の特徴も引き継いだ。
しばらく後、中間に生が生まれ始めた。混沌、中間、秩序はそれぞれ興味深くその生を見守り、ときおり介した。
秩序は彼らに規律を與えた。混沌は彼らに自由を與えた。中間は彼らにを與えた。
なかでも中間は、彼らがときどき見せる非論理的な行を面白いとじ、ますます興味深く見守った。けれども、生には終わり――壽命――が來る。中間は、いずれ生が壽命によりこの世から一人殘らず消えることを恐れた。
そこで中間は、彼らが再び中間に生まれ出ずるまでの魂の休息所として、自のから地獄と天國を作り出し、廻転生の仕組みを作りあげた。
自のを削った中間は途端に力の大半を失った。けれども、中間はすべき彼らの為に、なおも手を貸そうとした。
そこで混沌と秩序が中間の代わりに世界を整えた。混沌と秩序は力を合わせて自のから、四季を作り上げた。
四季が毎年決まって巡るのは秩序の影響であり、反対に季節の到來が遅れたり、同じ季節でも毎年溫暖差があるのは、混沌の影響によるものである。
混沌も秩序も中間も、すっかり弱ってしまった為、自分たちに代わり彼らを見守る者を何人か生み出し、役目を授けた。それが今の神々である。
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うーん。世界の始まりについてはさておき、神々に関しては各國見解がありそうだからなあ。あとでそっち方向についても調べないと……。
日本人的な覚からいくと國によって神が違うって、宗教的概念が強くて本當に”存在している”イメージがないんだけれども、ここはファンタジー世界だから本當に神様は”居る”という解釈で良いのだろうか?
もし本當に存在していて、かつ神が各國で違うのなら、この國はこの神が擔當する、的なじで……神の間で仕事みたいに割り振られているのだろうか。
大前提として、混沌、中間、秩序については各國共通の概念なのかな?
とにかく、この世界はちょっと特殊だってことは分かった。ふつうは地上……今居る場所のほかに、言い方はいろいろあるけれど、とにかく死後の世界として天國と地獄が存在してる位だけど、ここではその他に、混沌と秩序がある、と。
天國と地獄は中間にあって、混沌と秩序はあくまでその外側、ってところがことをややこしくしてるじかな?
まあどちらにせよ、力の大半を失っているのであれば、あまり直接的に干渉はしてこないのだろうけれど。
とりあえずざっくりとは世界と神の立ち位置について理解が出來たけれど、肝心の各國の神についての書籍はどうやらここにはない模様。ここに來る途中の書架でテイマーについての書籍を見つけた為、神については保留とし、先に読むことに。
「『古代から続く神、テイム』か。契約について書いてあるかもしれないし、とりあえずこれを読んでみようかな」
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はじめに……テイマーは比較的口伝によりけ継がれ、テイミング契約の功に関しても契約対象との意思の疎通によるところが大きい為、文獻としてまとまっている報はない。本書は、改めて古代から伝わる希な資料を元にテイマーについてをまとめるものである。
テイマーとは、や魔獣といった生とテイミング契約を行う人のことである。
テイミング契約とは、食住を保証する代わりに依頼を行ってもらう、一種の相互協力関係である。
ゆえに一方的に契約を行うことは出來ず、必ず雙方の同意をもって契約が立する。
契約の方法については、古今東西いろいろな方法が用いられてきたが、近年ではお互いのを換し、お互いの名前に契約を結びつける方法を用いる。なお、や魔獣側に名前がない場合は、テイマーが名付けることで契約を立させる。
基本的には雙方の同意をもって契約を行う為、実力行使を持って相対した相手との契約は難しい。そういった點から、気の荒い種族とのテイミング契約実例は多くはない。
なお、契約の立判斷については、各國の契約の神が関係しているとの説もあるが定かではない。「秩序」の影響で、ルールに則った契約は自で立するとの見方もある。
テイミング出來る契約數についてはテイマーの技量による。新人テイマーは素質の有無に関係なく、契約數は一に限られる。なお、実力の向上につれて、契約數は多くなる。最大契約數に関しては今現在も不明である。
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契約については謎のままだけど、契約數について分かったのはありがたいな。現狀はアインと契約しているからしばらくは他の子との契約は出來ない、と。実力の向上って言うのは練度が目安かな? そもそもテイマーの練度ってどうすれば上がるんだろう。アインを連れて依頼をけてれば勝手に上がるものなのかなあ……。
とりあえず、契約方法について、今の主流はアリオナさんの言う通りだったけれど、他にもいろんな方法があるらしいし、ひとまず僕とアインの契約については深く考えなくても大丈夫そう?
「あと調べたいことは、と。保留していた各國の神々についてかな」
再び付の人に尋ねた結果、教えられた場所には海外全般の報がまとまっていた。なるほど、ジャンルではなくて國別で管理している模様。
とりあえず今はざっくり分かれば良いので、各國別の書架ではなく、海外全般の書架から『世界の神々』をチョイス。
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世界各國に様々な神が存在している。その中でも、四強と呼ばれる國では、周辺國家でも同様の神を奉るほど影響力が強い。※四強とは、シヴェフ王國・アルディ公國・レガート帝國・カラヌイ帝國を指す。
その他一部の國では、神の存在は宗教的観點からの創造との解釈がなされているが、四強の國では神の存在の確認、影響が観測されており、顕現頻度こそないが、確実に存在しているとの解釈がなされている。
シヴェフ國は國教としてシヴェラ教を指定しており、神シヴェラが絶対的な力によって全ての民を見守っているとの考えを持つ。典型的な絶対的一神教である。
アルディ公國はイルミュ王國の公爵であるエーリヒ・フォン・アルディが、イルミュ王の命により建國した為、イルミュ王國の國教であるイルモナ教を支持する者が多い。アルディ公國で指定された國教は存在せず、宗教観は比較的自由な國である。なお、四強としてイルミュ王國ではなくアルディ公國が數えられるのは、近年イルミュ王國が衰退の一途を辿っており、実質権力はアルディ公國が持っている為。
レガート帝國は數々の小國を征服してきた背景から、國教であるレガート教を唯一無二の宗教として指定。吸収合併した小國の神の存在自は認めているものの、信徒の數が神の力に影響するとの考えから、國教以外の信仰は止している。シヴェフ王國とは違った意味での絶対的一神教である。
カラヌイ帝國も同様に小國を征服してきた背景を持つが、基本的に全ての神の存在を認め、八百萬の神を信仰する多神教である。なお、更に獨自の価値観を持ち、古い道には命が宿るとの考えや、怨霊を神として祀るなど、一風変わった風習も存在する。
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カラヌイはほぼ日本と価値観が一緒と判斷しても良さそうな雰囲気かな。
本當に今更だけれど、刀といい世界観といい、もしやカラヌイ帝國から始めた方が要らない苦労をする必要がなかったのでは……? あ、でもカラヌイから始めたらヴィオラやナナ、ガンライズさんと會えなかったのか。
それはさておき、シヴェフの教會の腐敗が目につくのは、どうも絶対的一神教だという點も関係がありそう。主神として神シヴェラが君臨するのではなく、全知全能の神として唯一無二の神と考えられている辺り、教會の影響力はかなり大きいと思われる。
うん、メモもとったし、知りたいことはざっくりと理解は出來たので、今日はここまでにしよう。
ゲーム時間が午前になったこともあり、僕はそのまま師匠の元へ行くことに。それにしても、店舗といい、ギルドといい、図書館といい、年中無休で営業しているって凄いなあ。日本もこうだったら僕も気軽に出掛けられるのだけれど……。ああ、通機関が止まっているのか。僕の格上、タクシーは高いからやっぱり出歩かなそうだなあ。
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