《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》32.もしかして僕はモーゼだった?

驚くべきことに、防は四日後にけ取れた。と言っても、現実世界での四日なので、ゲーム時間に換算すると約二週間。袴なんて面倒臭いデザインを注文したにもかかわらず、反を織るところから始め、仕立て上がる迄に二週間というのはとんでもない速度ではないだろうか。

ゲームだからか、それとも「普通の服と違って防という命を守る為のものは急いで作る」というのがこの世界の常識だからなのかは分からないけれど、とにかく僕はした。

がない四日間は、軽い依頼をこなしつつ、ひたすらアインとの連攜練習をしていた。出來れば篠原さんと合流する前にはDランクに上がっておきたいもんね。

ちなみにアインと僕の武を固定する為のは鍛冶屋の店主さんが最速で仕上げてくれた。違和じたらすぐに店に來いとのこと。店で調整するよりも実際に使ってからの方が正しく調整出來るという考え方、僕は好きです。

結果としてには微調整がり、今のところアインは防を必要としていないということもわかった。勿論、大盾で攻撃をけた際、反で吹き飛ばされるほどの相手と戦っていないのも理由の一つ。この先に関しては分からないけれど。

ヴィオラとは、一日おきに一緒に依頼をこなした。と言っても防が出來あがる迄遠出は出來なかったので、王都近郊で今も不足している食の調達依頼だ。

ヴィオラと過ごさない日は、師匠の元で改めて魔法の基礎から學んだ。前回は本當に王都クエストの為に実技重視でお願いしたけれど、今回は本來の師匠のカリキュラムで、とにかく基礎の座學から。

そんな中で今更知った事実は、MPの回復方法。考えてみれば消耗したMPは気付けば回復していたけれど、あれは一何故なのか。そう言ったところから學んだ。

師匠の口からはMPなんて言葉は出て來なかったから、要するにMPとは魔力のことで、それをゲーム風に言い替えているだけみたい。自然に回復する理由は、空気中に存在している魔力を無意識にしずつ取り込んでいるから。手っ取り早く回復したい場合は食事をすること。空気中に魔力が存在しているということは、食事の元となるも魔力を取り込んでいるということ。當然それを口にすれば魔力を回復するよね、という理論らしい。なるほど、確かに。

MPポーションの類いはその応用で、要するに魔力をふんだんに含んだ植から作すれば良いとのこと。だけど、殘念ながらその植はそこら辺に生えている訳ではなく、魔力が濃い地域にのみ生えているらしい。現狀プレイヤーが足を踏みれられる範囲には群生地はないようで、道理でプレイヤーがMPポーションを作れない筈だ。ヴィオラに教えてあげよう。

ちなみにNPCのお店では作ろうと思えば作れるらしいけれど、そもそもそんな貴重な植から作したポーションを店売りする訳がなく、完全に注生産。金額も気軽に手が出せる金額ではないので、保険の為に一本用意するのがせいぜいと言った狀況で。

これもまた、魔師が不人気の理由に拍車をかける要因かもしれないなあ……。「MPがなくなったら何も出來ません」ではさすがに辛いものがある。魔法以外の攻撃手段を學ぶにしても、現実世界での経験でもない限りとてもじゃないけれど時間が足りないもんね。

他にも一応空気中の魔力を意図的にに取り込み、自然回復よりも早くMPを回復する方法なども學んだ。こちらに関しては瞑想をするなど集中する必要があるらしく、戦闘中に回復させるというのは難しいみたい。すごく卓越した魔師であればある程度は可能とのことだけれど、そこに到達出來るのはいつになるのやら。

と言うことは、連戦を強いられるような狀況では小休憩のタイミングを見計らって瞑想をして、なるべく魔力を保たせるような立ち回りになるのだろう。小休憩をいかに挾めるか、短時間にどれだけの魔力を取り込めるか、が魔師プレイヤーの命運を握るじかな。

その他にも興味深いことを聞いた。魔師と言えば魔法で攻撃を行うイメージが強いけれど、中には自を魔力で強化することで防面や攻撃面での補助を行い、直接自が武を使って戦闘を行うスタイルの人も居るらしい。

僕はこれを積極的に學びたい旨を師匠に伝えた。と言うのも、やっぱりメインは慣れ親しんだ刀による剣なので、魔法は補助的に使用することになる筈。それでは寶の持ち腐れに近い。

でも、常に自分に強化を使うことになれば常時活用出來るし、何より僕の弱點でもある防面を底上げ出來れば、戦闘の幅は大きく広がる筈。これは是非につけたい!と考えた。

それに上手くいけばアインにも強化をかけられるかもしれない。そうなればアインは機力を活かしつつも大盾でヴィオラを守るという、スーパーアイン君になるかもしれない訳で。強い。

とりあえず、新防で軽く肩慣らしをしようと冒険者ギルドで依頼一覧の確認……をするのだけれど。実は最近、気になっていることがある。依頼がり出された掲示板の前に行くと、いつも他のプレイヤーがさっと左右に割れるのだ。もしかして僕はモーゼだった……?なんて勘違いもする位の高頻度。なんでだろう?

一、アインが常に後ろを歩いているから。これを真っ先に思い浮かべたけれど、僕が一人で依頼を確認していてもモーゼ現象が起こったので違うみたい。

二、見た目がシヴェフ王國っぽくないから。NPCならともかく、プレイヤーは日本人。現代でも袴は珍しいかもしれないけれど、ゲームと考えればもっと凄い見た目の人も居るし、こんなにあからさまな反応をしてくるのもおかしいよね?

三、未だにNPCだから。確かに珍しいかもしれないけれど、モーゼ現象起こすほどかなあ……。

ちなみに、ヴィオラに聞いても答えは得られなかった。「本當に分からない」と言うような表を見せているものの、何となく演技のようにじるので「これ絶対何か知ってるよなあ」とは思う。

とは言え、本人が言いたくないことを無理やり聞き出すのも違うかな、と思って気付かない振りをしている。うう、僕が自分で理由に気付ければ良いのだけれど、これっぽっちも思い當たらない。変な理由で注目されてないなら良いのだけれど。我がことながら信用が出來ない。何かやらかしてそう。

え? ギルドで左右に割れるプレイヤーに聞けば良いって? 見知らぬプレイヤーに話しかける勇気があったら僕は今頃全プレイヤーと友達だと思います。コミュニケーション能力の低さを舐めないでいただきたい。篠原さんに対してもなんかちょっとこう、會う直前に念なキャラ作りした上で脳シュミレーションをしてるんだから! 僕自いつも自分のキャラに「誰だよお前」と思っている。

話は逸れたけれど、改めて依頼一覧を確認したら珍しく東の森の依頼が出ていた。どうやら安全確認のようで、最低冒険者ランクがE。森は広いので何組か募集すると書いてある。ヴィオラをってみようかな。ランク的にはぎりぎりなので、申し込んでも落ちる可能はあるけれど。確かダニエルさんが、森はランクCレベル相當って言ってたからね。そもそも森の正常な狀態を知らないし、まだDへの昇格もしていないしで、落とされる可能は十分にある。

それでも応募してみようと思ったのは、街道のウサギ相手では防能もきやすさも確認が出來ないこと。それに、帰りがけにエリュウを確保してエリュウの涙亭に納品出來れば、ギルドからの依頼達報酬が貰える上に、エリュウの涙亭には恩返しが出來るから。これぞまさしく一石二鳥では?という安易な考えです。良い子は真似をしないように。

東は森の先も解放されているみたいだけれど、長らく王都に足止めを食らったプレイヤーでごった返しのようだし、何が起こるか分からないところで防の確認をするのはさすがに怖い。ちゃんと考えた上での選択なのです、ふっふっふ。

まあ、ヴィオラに承諾して貰えなければ厳しい計畫なんだけどね! アインと二人で森は……まあそれもありと言えばありか? もともと一人で挑んだ場所だもんね、うん。我ながら無茶をしたものだと思います。

ひとまず付には、僕とアインで応募。一応あとでヴィオラが増える可能も伝えておいた。夜にでもきっとエリュウの涙亭でヴィオラに會えると思うので、そのときに參加意思を確認しようと思う。

どちらにせよ、森はまあまあ遠いし、依頼するパーティの選考もあるので今日の今日で行ける訳ではない。なので今日は、アインと二人で行くためにいつものウサギさん確保依頼をけました。お、大事。

本格的に防能を確かめる前の軽い確認?の為に、今日は試しにわざと攻撃をけてみたり、わざと激しいきをしてみよう!と思い立った次第。ウサギ相手に変なきをしている僕は傍から見ると完全に不審者だけれども、それはきっと今に始まったことではない。

能やきやすさチェックの為に一羽一羽、じっくり相手をするのは獲しすぎないので他のプレイヤーの迷にもならず、一石二鳥! きは不審者だけれどね!

「おお、當たりを食らおうが嚙み付かれようが、ウサギ相手だとHPが減らない……いや、一は減るけれど、回復速度のが早くて実質ゼロ……。これが現実なら、布服じゃ普通は今頃青痣とまみれじゃないかなあ、さすがゲーム」

しかも嚙み付かれても破れないんだよ、凄くない? なんなら金屬糸が混じっているから、當たり所によっては牙が刺さりもしない。強い。

きやすさも、まあ本気で戦わなきゃいけないような事態に陥ってないからなんとも言えないけれど……どこかが引きつったり腕とか足が上がらないとかもないし、今のところは良いじかな? 凄いなあ、著ですら難しいだろうに、袴を違和なく仕立てられるなんて……」

うん、仮確認はこんなところで良いでしょう。と言う訳でさくっとウサギを何羽か処理してから、ギルドに報告。良いじの時間になってきたのでエリュウの涙亭へと戻ることに。

そろそろヴィオラが來店してくるんじゃないかなー、と思っていると、丁度店のり口でばったり遭遇。まあ向こうは僕の居場所が分かっている訳で、合わせてくれているのだろうけれど。

「やあヴィオラ、丁度良いところに。一緒に夕飯でもどう?」

「ええ、勿論。隨分素敵な服を著てるのね。もしかしてそれがオーダーメイドした防?」

丁度店は空いている時間帯だったので、僕たちはゆっくりと話が出來るテーブル席に座って料理の注文をした。

「そう。早速け取って、とりあえず今日はウサギ相手に防能の確認と、きやすさの確認をしてきたじ。今のところ問題なかったから、近々レベルの高いところに行きたいなーって。で、実は今日ギルドでこんな依頼を見つけたんだけれど……」

そう言って僕は森の調査依頼についての依頼用紙をヴィオラに渡した。取り急ぎ僕とアインの名前で登録していて、もう一人増えるかも知れない旨も伝えていること。

「その話なら、今日ちょうど私もギルドに行った時に付の人に言われたわ。”ヴィオラさんをうつもりらしいです”って。だからその場で私も登録お願いしますって言っておいたわ。森も広いし、ある程度の人數を募集するから、まず間違いなく私たちも參加確定だとも言われたわね。報告期日以であれば日程は自由みたいだけれど、いつ行く? 私の方はいつでも良いけれど」

今日が金曜日で、月曜日はいよいよ篠原さんとの待ち合わせ。ギルド側で正式にメンバーを決定する迄の日數と、野営道の準備も考えたら、火曜日が妥當だろうか?

「森迄の距離を考えたら現実基準でも何日かかかるだろうし、ちょっと念に準備することも考えて火曜日辺りでどうかな? 月曜日は仕事相手と合流する約束をしているから、王都を離れられないんだ」

「分かった。それで良いわよ。仕事の準備もあるなら、野営の準備とかは私の方で全部やっておくけれど?」

「あ、準備とかはとくにないから大丈夫。気遣ってくれてありがとう」

そうして夕飯を食べて、明日はいよいよアルディ公國側のイベントだね、なんて話をしてお開きに。

ふと思ったけれど、ヴィオラの方こそ大丈夫なのだろうか。一旦森に向かい始めたらしばらくは僕と行を一緒にするから、ある程度まとまった時間GoWにログインしっぱなしになるけれど。現実生活の方とか……。

考えてみれば、ナナやガンライズさんに比べて、イベント直後こそ顔を合わせはしなかったものの、ヴィオラとの遭遇頻度はかなり高い。僕と行を共にしていないときも武やポーションの類いを生産していることを考えると、もしかして睡眠時間以外はほぼほぼぶっ通しでプレイしているレベルではなかろうか?

心配にはなるものの、「ニートですか?」なんて現実に関するプライベートなことを聞くのも憚られるし、黙っているのがマナーだろう。さっき何も考えずに聞かなくて良かったと僕は安堵した。

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