用意された部屋はひとりでは持て余してしまうほどの広い部屋である。

高価そうな調度品が並べられ、ベッドは天蓋付きである。

部屋の中央付近にはフカフカとしたソファーと機も設置されていた。

ひとまず、明日の午前中までは特にやることが無い。

「明日まではのんびりさせてもらうことにしましょう」

慣れない長時間の馬車移で無意識下になからずの疲労も蓄積されていた。

私は、靴をぐとベッドに寢転がる。

ぼんやりと天井を眺めていると、意識を手放した。

「寢てしまったみたいですね」

的には3時間ほど寢ていただろうか。

目をりながらも、私はを起こした。

バルコニーに出ると冷たい夕方の風が前髪を持ち上げた。

眠気を覚ますにはちょうどいいかもしれない。

「サクラ様、ご夕食をお持ちしました」

王宮の従者が私の夕食を準備して部屋まで持ってきてくれた。

「ありがとう。そこにおいておいてくれるかしら」

「かしこまりました」

そう言って、従者の手によって夕食が機の上に置かれた。

私は、しばらく風に當たってから部屋の中に戻った。

機の上には今日の夕食であるサンドイッチと紅茶が置かれていた。

これは私がリクエストしたものであった。

今日はそこまでがっつりとは食べたい気分ではなかったのだ。

私はサンドイッチをつまみながら紅茶を口に含んでいった。

シンプルなものだが、とても味しい。

紅茶もいい茶葉を使っているのだろう。

全て食べ終わった頃には夜も更けてきた。

「まだそんなに眠く無いですわね」

先ほどし寢ていたからか、眠気は襲って來なかった。

私はソファーに座って殘っている紅茶を口に含む。

たまにはこうして何も考えずにのんびりと過ごすのも悪くはない。

宮廷魔師になれば忙しい毎日が幕を開けることであろう。

そんな過ごし方をしていると時刻は深夜になってしまった。

「流石に寢ないと明日にひびきそうですね」

夜更かしが過ぎるのもおにも良くない。

私は再びベッドにった。

♢

翌朝、8時頃に王宮の従者が私を起こしてくれた。

「サクラ様、おはようございます」

「おはよう」

私は眠い目をぼんやりと開けながらを起こした。

そこからというもの、メイドによって髪のを整えられ、綺麗にメイクをする。

ここまでにかかった時間は約1時間。

そして、白いフリルの付いたドレスを著せられた。

昨日の姿からは見違えるほどにしくなったと自分でも思ってしまう。

「これで準備は終了です。謁見の間へと參りましょう」

「ありがとうございます」

時刻は10時の30分ほど前であった。

メイドに案されて謁見の間へと向かう。

そこから、謁見と任命についての軽い打ち合わせをした。

「謁見の方は大丈夫そうですか？」

昨日、私を出迎えてくれた執事のパウルが優しい聲で言った。

「張していますが、多分大丈夫そうです」

何しろ國王陛下と謁見するのはこれが初めてなのだ。

なからずの張は覚える。

「陛下は多のミスを気にするようなお方ではないので、肩の力を抜いてくださいね」

「分かりました」

そして、いよいよ國王陛下との謁見の時間がやってきた。