《【完結】「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄された令嬢の醫療革命〜宮廷醫療魔師に推薦されて、何故か王國の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜【書籍化】》7.任命と新たな出會い
私は打ち合わせ通りのきをする。
赤い絨毯の両脇には國の重鎮たちが顔を揃えていた。
そして、私は陛下の前で片膝を突いて頭を下げた。
「面を上げよ」
陛下の渋い聲が飛んできた。
その言葉で私は顔を上げた。
「サクラ・オーラル、貴殿を癒しの宮廷魔師に任命する。これはメイル國王としての宣言である」
「拝命いたします」
「例のを」
陛下はすぐ側に控えていた従者に聲をかけ、その従者から何かをけ取った。
「宮廷魔師を示すメダルだ。今後の活躍を期待しているぞ」
「はい。ご期待に沿えるよう、頑張ります」
私は陛下からそのメダルをけ取った。
「以上で任命を終える」
陛下の言葉で謁見と宮廷魔師の任命は終了した。
「ああ、張した」
謁見の間を出た所で私は思わず呟いた。
そして同時に、本當に宮廷魔師になったのだという実がようやく湧いてきた。
私は改めて宮廷魔師であることを示すメダルを手にしてまじまじと眺めた。
「本當に、宮廷魔師なんだ……」
今までの苦労がようやく報われたような気がする。
しかし、まだスタート地點に立ったに過ぎない。
これからが本番なのだ。
「サクラ様、陛下が個人的にお會いになりたいとおっしゃっております」
「個人的にですか?」
「左様でございます。ご案いたしますので付いてきていただけますか?」
「分かりました」
張から解き放たれたと思ったら、また張しなければならないらしい。
陛下と個人的にお會いする日が來るとは夢にも思わなかった。
私はパウルの後に付いていくような形で王宮の中を歩いていた。
やはり、ひとりでは迷ってしまうかもしれない。
「こちらでございます」
私はパウルの案により、応接間のような所に通された。
「失禮します」
そう言って私は応接間の中にった。
そこには陛下ともう1人見知った顔の男がいた。
「任命式お疲れ様。まあ、座りなさい」
陛下が対面のソファーに座るように促してくれた。
「失禮いたします」
私は陛下の対面のソファーに腰を下ろした。
「まず、彼が改めて君にお禮がしたいというので同席させている。何でも道中に第二騎士団たちの傷を癒してくれたそうだな。私からも禮を言おう」
陛下は軽く頭を下げた。
「頭を上げてください。私は當然のことをしたに過ぎません」
「謙虛なんだな」
私の言葉を聞いて陛下は頭を上げた。
「あなたには本當に助けられました。まさか、癒しの宮廷魔師に推薦されている方とは知らず、失禮なことをしてしまったかもしれません」
第二騎士団で副団長を務めるライムントが言った。
副騎士団長とはいえ、騎士団の上から二番目の役職で王國でもそれなりの立場な人間だ。
そんなお方に改めて謝されるとなんだかこちらまで恐してしまう。
「失禮とかはないです! むしろ私の方こそ大した挨拶もせずに去ってしまって」
私は慌てて否定をした。
「それはよかった」
イケメン副騎士団長さんほっとした表を浮かべていた。
その表はとても優しかったように思える。
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