私は特別醫療事案救急救命室に向かっている。

王立中央病院にはもちろん、普通の救命センターがある。

今回はそれに加えてさらに機を重視した特別醫療事案救急救命室が設置されたようだ。

特別醫療事案救急救命室は長いので『特醫救命』と略されるそうだ。

そんなこんなで、私は一階の東側にある特醫救命の待機室へと到著した。

「さすがは、王都1の病院ですね」

必要な醫療道は全て揃っている。

更室も併設されているし、白の予備などの備品も揃っている。

「皆さん、室長のご到著ですよ」

その時、聞き覚えのある聲が聞こえた。

「お久しぶりです。サクラ室長」

「ジンさん、久しぶりになっちゃいましたね」

私が王都を離れて風土病の治療に行っていたので、ジンとはしばらく顔を合わせていなかった。

「これから、よろしくお願いします」

「こちらこそです。一緒に理想の醫療を作って行きましょう」

私はジンと握手をわした。

「醫師のコームと言います。室長について行けるよう、努力します」

「看護師のネネです」

「同じく、ステファです」

「ローズです。よろしくお願いします」

それぞれ簡単に自己紹介をしてくれる。

醫師は私以外は男で、看護師は全員だった。

「サクラ・オーラルです。ここの室長を務めます。よろしくお願いします」

私は全員と軽く握手をわす。

確かに、この人數で救命処置を行うには限界がありそうだ。

増員を急いでもらうこととしよう。

「今はたった6人のチームで王都全の救命醫療をカバーしなければいけません。そのために、皆さんのお力を貸してください」

そう言って私は軽く頭を下げる。

「もちろんですよ」

「そのつもりでここに來ています」

「みんな、命を救いたいと思っています」

それぞれ、このシステムに対してとても好意的なようである。

「ありがとうございます。まあ、私たちが出するような事態が無いことが理想ですけどね」

その時、私たちの元に一件の連絡がった。

『出要請。大規模発。原因不明』

「行きましょう！　醫療セットと蘇生セット、それからポーションの類も持って行きましょう」

「「「はい！」」」

全員素早く準備をすると、そのまま病院を飛び出した。

現場までは馬車で飛ばせば10分弱で到著できる距離だった。

「狀況に合わせて指示を出します。私の指示が全てではないので、各自判斷してもらって構いません」

私は馬車の中で言った。

「了解です」

そして約10分後、私たちは現場に到著した。

そこですでに救助活が行われている。

主には國の騎士団たちが員されているようだ。

「酷いですね……」

パッと見ただけでも20人以上の負傷者がいるように見える。

「ここの指揮は誰が？」

私は近くに居た騎士の一人に聞いた。

「一応、ライムント副団長ですが、先生方が到著されてからはサクラ先生の指示に従うようにとの指示をけております」

「分かりました。ありがとうございます」

おそらく、私が自由にけるように配慮してくれたのだろう。

「ジンさんは手前左の患者さんのトリアージ、ネネさん補助にってください」

「了解」

「分かりました」

「コーム先生は手前右側をお願いします。ローズさんがサポートについてください」

「了解です！」

「ステファさんは私についてください。私は奧の患者さんを診ます。重癥の方から優先して搬送します」

「「「はい！」」」

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