私はその場の指示を終えると、再び奧の取り殘されている患者さんの方へと向かう。

そこでは、瓦礫の中に挾まれていた20代くらいのが騎士団の手によって救出されていた。

「醫師のサクラと言います。分かりますかー？」

「はい」

私の問いかけに彼はしっかりと返答した。

「どこか痛いところはありますか？」

「いえ、大丈夫です」

意識もはっきりしているし、問題ないだろう。

長時間、瓦礫に挾まれていたようだが、運が良かったのだろう。

「すぐに搬送を。病院で検査します」

「了解！」

は擔架に乗せられ、運ばれていこうとした。

その時、私はしの異変をじ取った。

「ちょっと待って下さい！」

私は搬送されそうになっている所を引き止めた。

「これは……」

確認の為に彼の足をる。

「今、足をられて居るありますか？」

すると彼は首を橫に振った。

「サクラ先生、どうかされたんですか？」

騎士団の人が私に尋ねる。

「クラッシュ癥候群ですね。ここで処置します」

クラッシュ癥候群とは長時間四肢が圧迫されていた狀況からなるものだ。

腎不全や致死不整脈の原因となるミオグロビン尿や高K癥を生じ易くなりクラッシュ癥候群に陥る。

腕よりも足の圧迫、損傷で発癥の可能が高くなる。

「でも、先程までは比較的元気だったかと」

「それが、クラッシュ癥候群の厄介な所なんです」

救出まで患者は比較的元気であり、圧迫されていた部位の表面上の外傷は派手ではないことから醫療者が積極的に疑わないと診斷されないことも多いのだ。

「ジン先生にクラッシュ癥候群の処置をするから輸をあるだけ持って來てくださいと伝えて下さい」

「わかりました！」

騎士が走ってジンの元に向かう。

「この方を醫療テントに運びます」

「了解！」

そう言うと擔架は設置されている醫療テントへと運ばれていく。

「あの……」

運ばれて居る時に、彼は不安そうな眼差しを向けてきた。

「今、長時間圧迫されていた事によってカリウムという質が大量に出て居る狀態です。大丈夫です。必ず助けます」

そう言うと彼はし安心したのか、ゆっくり頷いた。

「ベッドに移します。せーの、1、2、3！」

ベッドに移して私は処置の準備を進めていく。

「サクラ先生！　輸持ってきました！　足りますか？」

ジンがし息を切らしながら、醫療テントにやって來た。

「これだけあれば、十分です」

恐らく、あるだけかき集めてきてくれたのだろう。

そこから、大量に輸を行って彼は大事には至らなかった。

「何とかなりましたね」

「ジンさんのおかげで助かりました」

「でも、よくクラッシュ癥候群がわかりましたね」

「一瞬でしたが、クラッシュ癥候群獨特の兆候を示したんです」

「それを見落とさないとは流石です」

ーーードーン！！！！ーーー

その時、大きな音を立てて危懼していた第二の発が起こった。

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