《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第2章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 7 奇妙な電話(3)
7 奇妙な電話(3)
伊藤博志という名は、彼の本名でもなんでもない。
そんなことを知ったのは、伊藤がアパートに移る前、まだ智子の家に寢泊まりしている頃だった。
「なんか変じゃないか? 名前しか覚えてないとか言っといて、歴史のこととか詳しいんだろ? 警察に屆けた方がいいって、絶対!」
己のの上を忘れ去り、なぜかあの町を彷徨っていた。
そんな男が智子の家に転がり込んで、それもめっぽう背が高くて若い男だと耳にする。
「だいたい、伊藤って名前だってさ、本當かどうかわかりゃしないぜ!」
この時智子は意外にも、剛志の言葉に一切反論しなかった。
「お父さんはね、どこかの國の工作員じゃないかって言ってるわ。たとえ記憶を失ったのが本當だとしても、普通なら知るはずがないことまで話したりするんだって……」
「それじゃあ、もっとヤバイじゃないか!?」
「でもね、あの人が日本を悪く思っていないのは確かだと思うわ」
「どうして、そんなことがわかるんだよ?」
「だって遠い將來、世界の國々が例外なく、日本に謝することになるんだって、真剣な顔して言ってくるのよ。これって、ホントおかしいでしょ? そんなこと、わたしたちが教わっている歴史からすれば、絶対にあり得ないことだと思わない? それにね、これはまだ、誰にも言ってないんだけどね……」
二人はいつもの公園にいて、周りには人っ子ひとりいないのに、智子はそこから一気に小聲になった。
「ホントおかしいの、とにかく、フッと思いついたんだって……今年の十一月に、新千円札が発行されるってこと。だからってさ、そのまま伊藤博文ってのもまずいだろうって思って、博志ってことにしたんだって。でもね、もしもよ、それが今の聖徳太子だったらさ、伊藤さん、わたしにどう言ってたんだろうね」
などとヒソヒソ話して、
「聖徳、大造とか、かな?」
と続けた途端、智子は大聲でケラケラと笑った。
智子と初めて會った時、とっさについた噓が伊藤博志という名だったらしい。
しかし、これは本當のことだろうか? とっさに姓名を思い浮かべるとして、発行されてもいない新札のことなど考えたりするか?
今となって思えば、それはなんとも不自然としか言いようがない。
――あいつはもともと伊藤博文とは関係なく、実在する伊藤博志を知っていたんじゃないか?
――だから、迷うことなくそんな姓名を言葉にできた。
そして実在する伊藤の方は、現在もこの世のどこかで生きている。もしもこの考えが正しければ、二十年後のあの日、何かが起こることだってあるのかもしれない。
兎にも角にもこの不可解な電話によって、剛志は過去の約束を思い出した。
まさしく意味不明の電話だったが、もしかかってきていなければ、剛志はあの約束を忘れたままでいただろう。
結果いつの日にか思い出して、強い後悔の念を抱くのか、それとも意外と平気でいるか、どちらにせよ思い出せたことには謝したいと強く思った。
そして、本當に智子が生きていたとするならだ。
彼は剛志と同じ、三十六歳になっている。
となれば彼は今、いったいどんな姿になっているのか?
思い浮かべてみようとするのだが、浮かんでくるのは十六歳だった智子ばかりだ。
さらにもし、あんな事件が起きていなければ、今頃自分らはどうなっていただろう?
ショートカットで背が高く、強烈に可らしかった智子を思い浮かべて、剛志は何度もそんなことを思うのだ。
はっきり告げたわけではなかったが、智子だって剛志の気持ちに気づいていたはずだ。
付き合いたいと口にしたし、普通、好きでもないにそんなことを告げはしない。
本當のところは、智子も剛志のことを嫌いではなかった。
――あいつだってそこそこ、俺のことが気になっていたはずだ……。
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