《妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~》116:殘されたもの
「ヒサメ。これはなんだと思う?」
今はノワールに乗って迷宮都市に向かってるところだ。
もうしで、目的地に著くというところで、折れたムラクモがりだしたのだ。
「えっとーおねぇさんには分からないかなー」
これはムラクモが生きているっていう解釈でいいのか?
[もう著くよ~]
ノワールの聲が聞こえてきた時、すでに目の前は戦場と化していた。
見えるのは魔と迷宮都市の冒険者、聖神教の連中だ。
その中でも特に目立っているのはティナ、フロン、フィリアの三人だ。
襲ってくる魔と聖神教の連中を躊躇なく殺していく。
普通に考えて、が、そもそも人が躊躇なく人を殺す景を見たらおかしいと思うだろう。だがここは異世界。それにユウ自も異世界に來た初日に人を殺め、今では人をやめている。そんなユウの普通のは等の昔に消えていた。
「ノワール。ここで降りる。ヒサメ來い!」
いつの間にか腰にあるムラクモはを発するのをやめていた。
ヒサメは刀の姿にを変え、ユウの腰には一本の白い鞘が出現していた。
そのまま、ノワールから飛び降り、戦場へと降下する。
[じゃあ私は適當に遊んでくるね]
そのままノワールは俺が降りた場所とは離れた場所へと向かった。
意思疎通で一応、味方と敵の識別はしっかりとするように釘だけは差しておく。
落下しながらあたりを見渡す。戦場は見て取って明らかに迷宮都市側の陣営が有利になっていた。
「あっご主人様!」
降り立った場所の一番近くに居たのはどうやらフロンだったようだ。
フロンは正面の敵をバサバサと斬り倒しながらこちらへと駆け寄ってくる。俺もそれに合わせ、周りの雑魚どもをヒサメで切り刻む。
周りにいた迷宮都市の冒険者たちはいきなり空中から降りてきたユウに驚き、誰かが発した『黒妖鬼』という単語で、ユウが何者かを察していく。
「ご主人様。王都の方の襲撃は落ち著いたのですか?」
「まぁ……な」
俺は自然と左手をムラクモの柄へと添えていた。
「それよりこっちの狀況はどうなってるんだ?」
空中から見ただけではわからないこともたくさんある。報は大事なのだ。
俺はフロンから狀況をは把握し移する。そしてただただを斬る。人であろうと魔であろうと敵意を見せて襲い掛かってくるものすべてを。
「エル。敵の固まってる場所の把握、敵と味方の區別をしっかり頼む。あの二人もこっちには気づいてるだろうから敵を惹きつけるよう連絡してくれ」
(了解しました。ますたー)
「ご主人様今から何をするんですか?」
フロンは投げナイフのように投げた雙剣を手元に回収するとこちらに駆け寄ってくる。俺がしたいことは何か? それは簡単だ。
「敵を一気に殲滅する」
「はい!?」
フロンが驚くのと同時にエルから連絡がる。天星ノ瞳ラノスを併用して敵の報が送られてくる。味方は緑の點、敵は赤の點で表示されていた。これを見ているとまるでゲームのように見えてくる。
「さぁ行くか」
俺はヒサメを鞘に仕舞い傍に居たフロンを抱き寄せる。そしてエルによってつけられた座標の位置へと月夜視ノ瞳ツクヨミを使い移する。
「きゅ、急に何をって空!?」
そう、瞳の能力で飛んだ先は空中だった。エルには俺がしたいことが伝わっているため、座標が空中でも俺は驚きはしない。ただ、腕の中で急な狀況に理解が追い付かないままフロンがこちらへぎゅと抱き著いて來る。俺はフロンを落ち著かせるように引き寄せた左手に力をれる。
ツクヨミで飛べる距離には限度がある。なので、今いる場所もそこまで高いわけではない。ただ周りが見渡せて、敵が多く集まる位置に移したかっただけなのだから。
『変形モード:魔法士マギア』『黙示録アポカリプス』
黒霧のコートはコートからローブへそして手元には一冊の黒い本が出現していた。
(エル。いつも通りに頼む)
(はい、ますたーのむがままに。私はますたーの魔導書ですから)
エルから合図を確認して、魔導書を開ける。
俺たちはまだ空中にいる。そこで、俺は詠唱を始めた。地面までの距離はそうない。
『地を這い潛む蛇よ 眼覚め、天地を穿つ刃となれ』
詠唱が終わると同時に地面へと著地する。エルの風魔法による補助もあり、俺たちは靜かに地面へと著地した。
左足から著地それと同時右足のつま先を地面につける。
『地を穿つ刃グランドグラディウス』
力強い言葉と共に地面から土でできた刃が突き出す。
それらは的確に敵だけを貫き、絶命させていく。魔獣も人も敵になった者は全て。
「ご主人様……」
フロンは俺の橫で、この慘狀を眼にしていた。周りの冒険者も全てがこの狀況に唖然としていた。
俺はそんな中、魔導書を閉じフロンを下ろしてからただ一言口にした。
「さぁ、王都に帰ろう」と。
迷宮都市でにユウが向かった後、冒険者と騎士団が一致団結し、無事に魔の殲滅に功した。
ただ失ったものは多く、戦場には魔以外の死も転がっていた。
「また俺は……」
剣と盾を持ち、この戦いでも闘を盡くした勇者の一人が、戦場を見渡し口にした。
その後ろには仲間である他の勇者二人の姿も、無傷ではないものの、無事にこの戦いを生き殘った彼らだが、元日本人である彼らにこの慘狀は余りにも殘酷だった。そしてそれと重なる仲間の失蹤。
この二つは勇者三人に大きな神的ダメージを與えた。
「ほら行くぞ、まだやることは殘ってる」
「そうだよ。せめて、安らかに眠らせてあげなきゃ」
二人に後を押されるように、勇者は騎士団の後処理を手伝い始めた。
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