始業日が過ぎて數日。

そう。それはたった數日、しかしあまりにも苛烈な闘いの日々だった……。

休み時間ごとに一年生のクラスへ様子を見に行こうとする私と、を張ってそれを止めようとするちゃん湖月ちゃんを筆頭としたクラスメイトたち。

あぁ、一度も見に行けなかった。お姉ちゃんとしての役目が……。

まぁ家で話を聞く限りメグちゃんと花ちゃんにも仲の良い友達が出來たみたいだし、その中にはしっかりした格の子もいるみたいだから安心かな。

まぁ隙を見つけたら見に行きますけどねッ！

閑話休題それはともかく。二年生になってから行われた席替えによって、私は廊下から一番遠い窓際になりました。

橫には湖月ちゃん、後ろにはちゃんが設置され私の包囲網が完されています。

クジ引きなんだよね。完全に運試しのクジだよね。どうして湖月ちゃんはそんな悪そうな笑いをしているのかな？

後でちゃんとお話聞かせてね……？

「ちょっと何言っとるか分からんなぁ……」

「こ、湖月ちゃん。正直に言った方が」

「ちゃんここで諦めたら試合終了やで！」

「し、試合？」

「はいそこ二人。聞こえてるからね？」

因みに、この學校では六年間同じクラスで過ごすことになります。

ちゃんや湖月ちゃんたち、そして擔任の九重先生とも離れる事はないので、安心して新學期を迎えられます。

他のクラスのの子たちがこっちに移りたいと嘆願しているそうですが、どうしてでしょうかね？

「次の時間は育だね」

「せ、せやなぁ……」

「どうしたの湖月ちゃん？　なんで距離取ってるの？」

「あ、いや」

「もう怒ってないから。ちゃんと反省してくれたんでしょ？」

「い、いえすまむっ！」

冷や汗をダラダラと掻いている湖月ちゃんに近付いて、肩に手を乗せる。

そんなに怖かったかな、私のお説教？

「千佳ちゃん、早く更室に行こ？」

「そうだねちゃん」

え？　ちゃんもお説教したのかって？

してないよ。だってちゃんは本當に幸運で私の後ろの席を手にれたんだもの。

実は勝負師の才能があるのかな……？

「それじゃあ行こっか」

「せ、せやな～」

「うん！」

三時間目の國語の授業を終えた私たち子は先生と共に更室へ向かいます。

この學校は施設がしっかりしているので、育館に室プール、音楽室はホールのようになっていたりします。

理想の學園を作りたいという理事長様さまですね！

學式の時にチラッと見えた理事長さんはとてもかっこいいクールなの方でしたので、目線でも々意見を出してくれているのかも。

「先生きれいー！」

「髪も艶々～」

「いい匂いです先生！」

「ちょ、ちょっと、嗅がないでください！」

やってきた更室では私たち生徒だけでなく先生もジャージへと著替えるので、九重先生のは私たちの子の興味の的に。

まだ二十代前半の九重先生。背は高めでも大きく、スタイルがいいので皆が訣とかを聞いたりしています。

小學二年生なのにませてるなぁ。

「――で、九重先生。はどうやったら大きくなりますか？」

「ち、千佳ちゃんもですか！？」

いや、やっぱり気になるじゃん。

どうせならかっこいいスタイルに長して、皆に一目置かれたいし。

いつまでも頼れるお姉ちゃんでいたいからね！

そうしてかしましい著替えが終わったら先生に戸締りをしてもらい、育館への移を開始します。

未だ先生にスタイルの話を聞いているちゃんは置いておいて、湖月ちゃんと世間話をしながら歩く。

すると突然、後ろから衝撃をけて私はよろめいた。

「ちょっ、なにッ！？」

「……見つけた」

「あれ、確かあなたは、莉里ちゃん？　なんで小學校こんなとこに？」

「……」

私の背中に抱き著き、無言で頭をりつけてくる小さなの子は學式の時に出會った莉里ちゃん。

でも、學式では保護者席にいたし、まだ稚園児だったはず……？

「なんや、また千佳ちゃんはの子引っ掛けてきたんか～？」

「違うよ！？　人聞きが悪いな！？」

「……私、三年生、だから」

「うぇ！？　え、莉里ちゃんって先輩だったの！？」

「……うん」

「先輩やったんか～。うちは梅田湖月、よろしくな～」

「……三枝莉里、よろしく」

驚くことが多すぎて頭の整理をしている私を放置して、二人はいつの間にか自己紹介を済ませ仲良く話していました。

いや、相変わらず無口な莉里ちゃんは殆ど聞くこと専門だけど。

というか湖月ちゃんは先輩って聞いても萎しないんだね、コミュニケーション能力が高い子だ。

と、とりあえず、莉里ちゃんは私よりも年上だったんだ。悪い勘違いしちゃったよ。

「莉里ちゃん、いや莉里先輩とお呼びしたほうがいいですか？」

「……寂しい」

年上ということで敬語にしたら、途端に莉里ちゃんが悲しそうな表になりました。

眉はへの字に垂れ、瞳はウルウルと涙をが輝いています。

それを見た私と湖月ちゃんは慌てて宥なだめ始めました。

「ごご、ごめん！　じゃあこれからも莉里ちゃんって呼ぶから！」

「うちも莉里ちゃんと友達や！　湖月って呼んでな！」

「……嬉しい」

パッと明るい笑顔に戻った莉里ちゃんを見て、湖月ちゃんと二人で冷や汗を拭う。

言葉はないのに表は多弁な子だこと……。

そんなことをしていると、私たちの耳にチャイムが聞こえた。

「やばいで千佳ちゃん！　はよ育館行かな」

「そうだね。莉里ちゃんも早く教室に戻ってね」

「……ん」

「ほなまたな～莉里ちゃん」

「……またな～」

湖月ちゃんの関西弁が気にったらしく、真似をするような口調で莉里ちゃんは戻っていく。

その景が可らしくて二人で笑っていたが気付いた時には既に時遅し、當然育には遅れていくことになった。

九重先生の怒り方は可かったです。また聞きたいな、めっ！