《俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。》2-8【妄想夫婦】
クラウドたち三人とパーティーを組んでタババ村に出発するのは明日の朝からになった。
皆とは旅支度を整えるために冒険者ギルドで一旦別れる。
各自がバラバラで明日の支度に勵むことになったのだ。
俺は旅立つ前に防を揃えたくって、何軒かの防屋を回ってみた。
何せ武は持っているが、防は何も著ていないのだ。
せめて安のレザーアーマーぐらいはしいのである。
しかし、今の俺の所持金ではまともな防は何一つ買えなかったので、仕方なく手持ちのマジックアイテムを売ることにしたのだ。
今持っているマジックアイテムで一番要らなそうなは魔法のバンダナ+1だと思う。
何せ俺の歌唱力がアップしたからって冒険の役に立つことはないだろうからな。
これを手っ取り早く捌くために冒険者ギルドに販売することにした。
値段の鑑定結果は500Gだったので、まあこんなものだろうと思う。
ちなみにスカル姉さんに売った魔法のランタンを冒険者ギルドに売ったら、いくらぐらいかとカマを掛けたら500Gだと言われた。
再鑑定料で料金が発生するとか、家電アイテムは買い取り手がないとか、眉唾ないちゃもんをいろいろと付けられた結果である。
どうやらスカル姉さんの言ってたことは本當のようだ。
流石は元冒険者の助言である。
次からは冒険者ギルドには、絶対にマジックアイテムの販売なんかしないぞ。
間違いなく損するだろう。
これからは自分で買い取りてを探そうと思う。
まあ、とりあえず500Gを手にれたので革鎧を買うことにした。
何故に革鎧かと言えば、鉄鎧系は値段が高いのだ。
上半だけでも立派な甲冑になると500Gは軽く取られる。
だが、革鎧になると急に値段が安くなるのだ。
200Gもあればそこそこの革鎧が買える。
だから俺はケチって防は革鎧をチョイスした。
それに革鎧のほうが俺のスキルに合っているだろう。
バックスタブなどの不意打ちスキルを使う際には音が鳴りやすい鉄鎧は不向きなのだ。
しかし、革鎧ならば音がないから忍び足や潛伏も功率が上がるはずだろう。
まあ、そんなこんなで俺の格に合う新品の革鎧を200Gで手にれた。
この世界の相場だと、一食が3~5Gぐらいで食べられて、宿屋の一泊が5~20Gぐらいだと言う。
貧しい生活でも一日10Gぐらいで何とか暮らせるとかで、30Gぐらいが普通の生活らしい。
ちょっと贅沢に暮らせば一日の生活費は40~60Gらしいのだ。
だから500Gとなると、半月分の給料に近いだろう。
おで、そこそこの革鎧と、殘りの 300Gでキャンプセットが買えた。
それでも所持金は215Gほど殘る。
全部で300Gちょっとの買いだった。
そうなるとゴブリン退治の依頼が500Gなのに四人パーティーで分けると、報酬はかなりなくじる。
てか、確実に赤字だね。
もう最初の経費で300Gは使っているんだもの。
タババ村まで行って、ゴブリンを退治して、ソドムタウンに帰ってくるまで約八日だ。
それで一人あたり130Gだと、やはり稼ぎはない。
あれ、計算あってるよね?
まあ、今回の依頼は超初心者向けの仕事なのだろう。
お金よりも経験値を重視したクエストなのかも知れない。
だから冒険者ギルドの掲示板に、いつまでも依頼書が殘っているわけである。
そもそもが赤字覚悟の不人気な仕事容だ。
まあ、しゃあないだろう。
そんなこんなで俺が買いを終えると辺りは隨分と暗くなっていた。
しかし、ソドムタウンが賑わいを増す夜の時間帯である。
俺は呪いの効果を恐れてスカル姉さんの診療所にそそくさと帰ることにした。
俺が荷を背負って診療所の三階に上がって行くと、食事の旨そうな匂いが漂って來る。
だが、さっき俺は、空腹に負けて外食をしてしまったのだ。
屋臺で鳥の串焼きをウマウマっと數本ほど食べたのである。
だから、お腹は空いていない。
俺は三階の住居スペースの扉を開けた。
「ただいま~」
「お帰り、遅かったな」
スカル姉さんはテーブル席に座りながら食事を前にして俺の帰宅を待っていたようだ。
テーブルの上には俺の分の食事もちゃんと並んでいる。
そして、スカル姉さんが待ちくたびれたような口調で言った。
「食事を作って待ってたんだぞ。早く座って食事にしよう、アスラン」
「ああ、すまない。外で済ましてきた……」
俺が気まずそうに言うと、スカル姉さんは暗く俯いた。
だが直ぐに顔を上げたスカル姉さんが、強がった笑顔で言う。
「じゃあお風呂にする、それとも私にする?」
「すまない、今日は疲れたんだ。もう寢るよ」
俺がそう素っ気なく述べるとスカル姉さんがテーブルを強く叩いた。
ダンって音と共に食事が盛られた食が跳ねる。
するとスカル姉さんがヒステリックに怒鳴り出した。
「何よ、あなた。最近は仕事仕事って、私よりも仕事のほうが大事なの!?」
俺は溜め息を吐いた後に、やれやれと言ったじで言葉を返す。
「しかたないだろ、俺にだって事があるんだから」
「もぉ~~限界だわ!」
「なにがだよ……」
「私たち、別れましょう!」
「えっ! マジでかよ!!」
「ここに離婚屆けが有るから判子を押してちょうだい。役所への提出は私がやっとくから!」
「何を言ってるんだよ、俺たちは神様の前で永遠を誓い合った仲じゃあないか!」
「五月蝿い、この人でなし!」
突如スカル姉さんがナイフとホークを両手で握り締めながら俺に向けた。
「きぃーーー! こうなったら貴方を殺して私は生きる!!」
「生きるんかい!? 一緒に死ねよ!!」
「やだ、生きる!!」
「死ね!!」
「じゃあ、私の作った食事を食べるか?」
「はい、食べます……」
「座れ」
「はい」
こうして俺は二度目の晩飯を食べた。
スカル姉さんがボソリと言う。
「あぁ~~、ええ男と結婚してぇ~なぁ~~……」
「俺も呪いが解けたら、可い嫁とイチャラブしてえなぁ~~……」
二人の本音がぼろぼろと口かられていた。
俺はしが痛んだ。
淡い新婚生活の妄想が俺のを痛める。
そして俺は、明日の冒険のことをスカル姉さんに告げると寢ることにした。
明日から冒険者としての初仕事である。
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