《俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。》2-10【ゴブリン退治】

リックドムの裏切り野郎に荷を盜まれた俺たち三人は、夜になる前にソドムタウンに到著できた。

ゲートの付で観ビザを取って町にろうとしたら、付の役人が俺の首に下げられた冒険者ギルドのプレートに気づいて言った。

「なんだ、お前さんも冒険者ギルドにれたのか」

聲を掛けてきた役人は、一昨日の役人と一緒だった。

「俺はてっきりギルドにはれないかと思ってたんだがな」

「どう言うことだい?」

「だってお前さん、貧相だったから、面接で落とされると思ったんだよ。まあ、意外だぜ」

確か面接なんかなかったぞ?

でも、ギルドマスターが直々に付をしてくれたっけな。

もしかしてあれが面接代わりだったのかもしれない。

だとすると面接で合格を出したのはギルマス直々だったと言うことになる。

俺、ギルマスに期待とかされているのかな?

まあ、いいか──。

「じゃあ、通っていいぞ」

俺は付の役人に言われてキョトンとする。

まだ通行費も賄賂も払っていない。

俺が不思議がっているのを見て役人が察する。

「ソドムタウンの登録住人とギルメンは通行費が無料なんだよ。とりあえず次がつっかえているから、さっさと行けよ」

「へぇ〜、そうなんだ。ギルドの権力が凄いなら、おいちゃんも公務員なんか辭めてギルメンにればいいじゃん」

「無理言うな。俺には剣を使う腕力も無ければ、魔法を研究出來る頭脳もありゃしねぇからな」

「頭の良さも関係あるのか?」

「この町は冒険者ギルドと魔法使いギルドの権力が強いからな」

どうやら魔法使いギルドの権力も冒険者ギルドと並んで高いらしい。

「まあ、とっとと進みやがれ。後がつっかえているんだよ。さっさと行けよ」

「へいへ~い」

俺は言葉に押されるようにゲートを進んだ。

知らなかったぜ、ギルメンに、そんな特権があるなんてさ。

そして―――。

「じゃあ、ここでお別れだ」

「おう、じゃあな」

「じゃあね」

そう言ってから俺は門前の人混みの中でクラウド&クララの二人と別れた。

そして俺は、スカル姉さんの診療所には帰らずに冒険者ギルドに向かった。

そこで俺は冒険者ギルドにダガー+1を700Gで売った。

このダガーだけはパンツの中に隠していてリックディアスには盜まれずに済んだアイテムである。

おそらく野郎も、まさか俺がダガーをおの割れ目に挾んで隠し持っているとは思わなかったのだろう。

してやったりである。

だが、冒険者ギルドの買い取りはしショボかった。

本來ならば倍の値段で売れるのだろうが、今は直ぐにゲンナマがしかったから秒速で買い取ってくれる冒険者ギルドに売ったのである。

直ぐに武と防、それに食料を買え揃えるために商店を回る。

そこで中古の武や防、それにキャンプセットを買い集めた。

すべての裝備がマジックアイテムじゃないノーマルアイテムだが、冒険に出るには支障がないだけの裝備が揃ったのである。

それから俺はソドムタウンを走り出た。

遅れを取り戻すために早歩きで草原を進む。

仲間に裏切られて引き返したことをスカル姉さんには知られたくなかった。

なんだかけなくって恥ずかしかったからである。

だから仕事の遅れを出來るだけ早く取り返したかった。

バレないように──。

それに一人のほうが進行は早い。

休憩の時間や、寢る間も惜しめば遅れは取り返せるはずだ。

そんなこんなでタババ村に到著したのは、最初にソドムタウンを出てから四日後だった。

遅れは何とか取り返せたが疲れた。

何より眠い……。

それでも俺は、村人を捕まえて依頼人の村長の家を訊き出すと先を急ぐ。

速攻で村長に會ってゴブリンの住みかを訊き出した。

ゴブリンは村の近隣にある森に巣くっているらしい。

なんでも放棄された4LDKの古い山小屋があるらしくて、そこにゴブリンたちが10匹ほど住みついたらしいのだ。

ゴブリンを討伐した後に、建は解する予定らしいので、どれだけ件を破壊しても構わないとのことである。

なので今回は暴れ放題なのだ。

だが、火を放つのだけは駄目らしい。

森に引火したら大慘事になるからだ。

俺は村長に山小屋の簡単な間取りを羊皮紙に描いてもらうと直ぐに仕事に取り掛かる。

しかし、村長は俺を見て不安がっていた。

何せ屈強な男たちが揃った冒険者ギルドにゴブリン退治の依頼を出したはずなのに、期待とは裏腹に派遣されて來たのがこんな若造一人なのだからだろう。

俺は將來的にギルドの幹部候補生の一人だと噓をついて、村長を無理矢理にも納得させた。

まあ、まんざら噓でもない。

俺は將來的にはビッグになるのが間違いない逸材なのだから。

まあ、自畫自賛だけれどね。

さてさて、俺はゴブリン退治に向かう。

そして、直ぐに山小屋の屋だけが森の木々の間から発見できた。

時刻は夕暮れだ。

もうそろそろ夜が來る。

ゴブリンは夜行のはずだから、そろそろ活時間が始まるころだろう。

でも、今はヤツらにしてみれば早朝のはずだ。

寢坊助ならば二度寢するタイミングのはずである。

俺なら母ちゃんに「あと5分……」って言って更に20分は起きてこない時間帯だ。

奇襲を仕掛けるならば最高の時間帯のはずだろう。

俺、レッツゴーだぜ!

そんなこんなで俺はスキル【忍び足】と【気配消し】を駆使して山小屋に接近を試みる。

藪の中を屈みながら進むと山小屋が見えてきた。

ボロボロの一軒家だった。

平屋である。

が空いていた。

壁も何ヵ所か崩れている。

り口には見張りも居ない。

完全に無防備だった。

不意打ちしほうだいである。

今回はマジックアイテムこそないが、買い込んだ武富である。

ショートソードにショートスピア、ショートボウと矢筒に矢が七本。

それに投擲用ダガーが三本だ。

もレザーアーマーでバッチリである。

まあ、全部中古品だけれどね。

古びたレザーアーマーには、の中央に矢で抜かれたじの小さなが開いてるのが気になるけど……。

まあ、そんなことは置いといて、俺はショートスピアを手に構えながら忍び足で山小屋の壁際に張り付いた。

人一人が通れそうな壁のから中を覗き込む。

すると俺が張り付いている壁の直ぐ裏側にゴブリンが一匹と、その部屋に三匹のゴブリンが居た。

どいつもこいつも眠っていやがる。

本當にお寢坊さんたちであるな。

俺はショートスピアを靜かに置いて、腰からダガーを取り出してから壁のを忍び足で潛る。

そして、直ぐ側のゴブリンの口を手で塞ぎながらを切り裂いた。

を切られたゴブリンは、し暴れたが直ぐにかなくなる。

まずは一匹──。

俺は部屋の中を忍び足で進むと、同じ方法で一匹ずつゴブリンを始末していく。

計四匹のゴブリンを難なく片付けられた。

これで殘りは六匹ぐらいだろう。

なんかアサシンっぽくってクールじゃない、俺。

それから俺は置いていたショートスピアを取り直すと隣の部屋を目指した。

隣の部屋を覗き込めば大きな影が奧の壁際で鼾を上げながら寢ていた。

その他に四の影が床に寢ている。

大きな影は、おそらくホブゴブリンだろう。

ちょっぴり強敵だ。

ここは確実に寢首を刈っておきたい相手である。

そして俺は忍び足で室に侵しようとした。

その直後である。

踏み込んだ足が何かに引っ掛かった。

とたんにけたたましい音がカランコロンと周囲に鳴り響く。

引っ掻けたのはロープで、それには骨で出來た鳴子が下げられていた。

防犯用の警備トラップだ。

カランコロンとけたたましい鳴子の音にゴブリンたちが跳ね起きる。

もちろんホブゴブリンもだ。

「不味い……」

俺の不意打ちターンの終了である。

ここからは総力戦だ。

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