《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》競馬王ヤマギシ!

杵柄さんが用意してくれた夕食を食べたあと――、「窓ガラスはいつ、直るのか……」と、一人呟きながら家の扉を開ける。

部屋に戻ったあと、パソコンの電源をれ千葉都市モノレールのホームページを開く。

「なるほど……、1000円から募金をけ付けているのか。付は最寄りのモノレール駅か……」

どうやら、普段は無人の駅にも人を置いて募金を募っているようだ。

そういえば、千葉港駅と都賀駅と千城臺駅以外では駅員の姿を見たことがないな。

それだけ、必死ということか。

「だが、問題は……」

募金だけして、きちんと千葉都市モノレールが存続できるかどうかだ。

募金をしただけで「はい、終わり!」と言った自己満足では意味がない。

確実な果が求められる。

それも、完璧な果だ。

そのためには、募金を集めるために千葉都市モノレール駅――、各駅に置かれた人材……、つまり下っ端と話をしても意味がない。

本的に改革が必要。

そうなると幹部クラス、もしくは所長か運営の手綱を握っている人と接する必要がある。

――千葉都市モノレールWIKIをチェックしていく。

「そうなると、決定権を持つ代表取締役とコンタクトを取る必要があるな……。問題は、俺のような無職がアポイントを取るのは絶対に不可能ということだな……」

さらにWIKIを見ていくことでいくつかの項目に目を走らせる。

「2023年の純利益は4億7千萬円か……」

ふむ……。

つまり、俺が純利益を左右しうるほどの……、お金を出資するという名目があるならば――、千葉都市モノレールの代表取締役とのアポイントも可能になるということ。

「仕方ないな……」

まずは金か……。

「このクリスマス時期に――、短期的に億単位のお金が稼げる方法と言ったら……、何がある?」

年末ジャンボ寶くじの當選発表には一週間以上の時間がかかる。

さらに換金を考えたら2週間は必要だ。

それだと、ニュースで民事再生法が問い出されている現狀、ベストとは言えない。

いつ、廃線になるのか定かですらないのだから。

「時間は限られているからな」

そうなると……、億単位の金がくとなると……。

「中山競馬場か。3日後――、28日だな……」

――3日後。

西船橋駅で降りたあと、歩き続けること30分。

右手側にガラス張りの巨大な建が見えてくる。

明らかに儲かってそうな建だ。

これなら億単位のお金を稼いでも罪悪は湧かないな。

「問題は軍資金が50萬円というところか……」

これを失ったら、殘りは3萬2千円……。

これで年を越さなければいけない。

――どこまでステータス、幸運が役に立つのか未知數だが頑張ってもらうしかない。

「ふう……」

競馬場に來たのは初めてだがやるしかないな。

場料200円になります」

「――え?」

どうやら、無料で競馬場にれるわけではないようだ。

「さて……」

まずは、馬券をどこで買うかだな。

朝一で來たが辺りを見渡すと、思ったよりもが多い。

皆、ご苦労様なことだ。

なるほど……。

窓口でお金を渡して馬券を購すると思っていたが……ATMのような機械で買うのか。

思っていたのと違うな。

「とりあえずアレだな」

まずは、視界に表示されているステータスの項目を選ぶ。

ステータス

名前 山岸(やまぎし) 直人(なおと)

年齢 41歳

長 162センチ

重 66キログラム

レベル1(レベル1100)

HP 10/10(11000/11000)

HP 10/10(11000/11000)

力17(+)

敏捷15(+)

腕力16(+)

魔力 0(+)

幸運 0(+)

魅力 3(+)

▽所有ポイント 932

とりあえず全部を幸運ステータスに極振りする。

ステータス

名前 山岸(やまぎし) 直人(なおと)

年齢 41歳

長 162センチ

重 66キログラム

レベル1(レベル1100)

HP 10/10(11000/11000)

HP 10/10(11000/11000)

力17(+)

敏捷15(+)

腕力16(+)

魔力 0(+)

幸運932(+)

魅力 3(+)

▽所有ポイント 0

こんなところか……。

とりあえず、どのくらい幸運ステータスが馬券が當たる確率に命中するのか分からないからな。

まずは手堅く10萬円からいってみるか。

「単勝だと一番倍率が高いのが6枠のヤマギシホースの380倍か……」

なんとなく名前的に勝てそうな気がしないが……、大丈夫か?

ATMに10萬円をれ馬券を手に取り席へと向かう。

さすが冬ということもあり寒いが……、大勢の人々がすでに席に座っている。

10分ほどしてレースが始まる。

そして――。

ヤマギシホースは、最後尾――。

「これは勝てないか……」

幸運ステータスに全ポイントを振ったが、さすがに競馬は無理があったか……。

違う方法でお金を稼ぐ必要があるかもな。

レースは、最終コーナーで一気にヤマギシホースが前方を走っていた馬を全てゴボウ抜きし、そのままTOPでゴールする。

舞い上がる外れ馬券! さらに悲鳴と怒號が辺りに鳴り響く。

「…………」

10萬円で馬券を購したということは……、払戻し金は380萬円じゃなくて3800萬円だよな……。

――と、とりあえず……、実はないが落ち著こう。

へんに揺したら、周りから変な目で見られるかもしれない。

換金はあとで纏めてでいいだろう。

たしか換金は現金のみとネットで書かれていたからな。

「……ナオトブライアンか。また勝てなさそうな名前だな」

だが、倍率は230倍。

ここは40萬円、全額一點買いだな。

……………………。

…………。

しお待ちください」

ATMのような機械で換金できるのは100萬円まで。

窓口に換金のために、當たり馬券を持っていったら別室に案された。

待たされること30分ほど。

なりのいいスーツを著た男が部屋にってきた。

男が部屋にってくると後ろからアタッシェケースを持った男たちも部屋にってくる。

「お待たせしました。これだけの當たりを見たのは當方としても初めてでしたので――」

「そうですか……」

極力、揺を抑えながら男たちが開くアタッシェケースへと視線を向ける。

「それでは、払戻し金7億6千542萬3381円になります」

小銭も茶い封筒にっており俺は男から預かる。

「それで、これからどう致しますか?」

「どうするとは?」

「車のご用意を致しますが、銀行に預けられた方がよろしいかと――。銀行までお送りいたしますが」

「お願いします」

ここは、相手の厚意をけ取っておいた方がいいだろう。

すぐに千葉信用銀行まで送ってもらう。

もちろん7億超えの大金を預けると言ったら嫌な顔をされたが、銀行はお金を預かって運用するところではないのか?

とにかく、これで資金面はクリアだな。

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