《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》貝塚ダンジョン攻略(1)

自宅に戻る。

報を得るためにパソコンを起しようとしたところで俺は思いとどまる。

そういえば、俺の部屋に盜聴を仕掛けたとか言っていたな。

心の中だけで呟きながら、小さく溜息をつく。

まったく――、面倒な事してくれるな。

今度、業者を手配して盜聴を調べてもらわないとな。

余計な金が掛かって仕方ない。

まぁ総理から200億貰うから別にいいが……。

とりあえず、自衛隊が盜聴を外したと言っても信用できないからな。

々と俺に対してやらかしているし。

あと竹杉という男も今一、どういう人かは分からない。

だが! ただ一つ言えることは、自衛隊は、多數を救うために數を切り捨てる連中で、それを正義と考えているという點だ。

全員が全員とは言わないが、トップの幕僚長がそう思っているのだ。

正直、俺のプライベートなぞ知った事か! と盜聴を外すフリをしてつけたままにする可能だってある。

そう考えると家で不用意な発言は危険だ。

……まったく厄介なものだ……な……、いや――、よく考えれば盜聴があるってことは逆に有利なんじゃないのか?

風呂場に行きシャワーの蛇口を捻ると、勢いよくシャワーが流れ始めた。

そう、生活音があると言う事は、俺が家に居るという証拠にもなる。

そして、家から出ていく際にドアを閉める音が拾われない可能だってあるのだ。

――完璧なアリバイだな。

部屋から靜かにアパートの通路に出たあと、ドアをそっと閉めてから施錠する。

さて……、これからが問題なわけだが……。

用心はした方がいいだろう。

アパートの手すりに足を掛けてから跳躍する。

30メートル近く空中で飛んだあと――、2階建ての杵柄さんの屋の上に降り立つ。

もちろん、音は一切立てていない。

しかし、ステータスを平均的に振ったとは言え、軽く跳躍しただけで30メートル近くを飛ぶことが出來るとは想像していなかった。

これは――、ひょっとしたらひょっとするかも知れないな。

さらに杵柄さんの家の屋から隣の家の屋へと音を立てずに飛び移っていく。

まるで忍者のごとく。

まぁ、本場の忍者を俺は知らないが――。

大通りが見えてきたところで、今度は一軒家の屋から鉄筋コンクリート製のビルの屋上へと飛び移る。

視線の先には、千葉都市モノレールの路線が見える。

「……千葉都市モノレールの路線の上を走っていけばバレないかもな」

場當たり的な考えだが、中々――、いい案だ。

足に力をれて跳躍!

距離としては100メートル近くあるが、楽々と千葉都市モノレールの線路上に著地することに功する。

あとは走って桜木までいくだけだな。

モノレールの線路上を落ちないように最初は軽く走る。

「思ったよりも安定しているな」

よくよく考えれば何トンもある車両が毎回通っていたのだ。

人間が走っただけで揺れたら大問題だろう。

「これなら全力で走れるな」

しずつ走る速度を上げていく。

周囲の景が――、後ろに流れていく景しずつ――、それでも確かに早くなっていく。

「……今の俺は、車と同じ速度で走れるのか……」

20メートル下の車を見ながら思わず呟く。

車がどの程度の速さで走っているかは分からないが、法定速度が60キロくらいだったはず。

つまり、俺が走っている速度は最低でも60キロということになる。

「まだまだ全力じゃないんだがな……」

千葉都市モノレールの路線上を走ること數分。

俺が破壊した線路が見えてきた、

「ここらあたりか……」

丁度、セブンイレブンも見えるからな。

近くの民家の屋に向けて跳躍し、屋の上に著地する。

もちろん音は立てるようなことはしない。

そのあとは、民家の屋の上を伝っていき日本ダンジョン探索者協會が管理している加曾利貝塚縄文跡公園前の民家の屋上に到著。

「おいおい……」

加曾利貝塚縄文跡公園のり口には、20人を超えるLV130前後の陸上自衛隊の隊員がウロついているのが見える。

さらに無數のスポットライトが周囲を照らしていることで、公園の中にれば――、即発見される可能が高い。

「困ったな……」

以前、來た時は、あそこまで厳重では無かったんだが……。

もしかしたらレムリア帝國の軍人が襲撃をしてきた影響かも知れないな。

どちらにしても、正規のり口を使う事は出來無さそうだ。

「なら、仕方ないな」

自分がを空けた場所から降りるのは、しだけ罪悪があるが――、今更、そんなことは言っていられない。

民家の屋上を伝って俺がを空けた場所まで向かうことにする。

が消えている!?」

どうするか……。

が消えていることで陸上自衛隊の人間が誰もいないのが救いだが……。

「正規ルートは使えない。そして以前にを空けた場所は塞がっている。こうなったら……、あと一つしか手段がない」

「やはりの痕跡はまったくないな……」

地面に手を付けるが、埋めたとか整地した様子はまったく伺えない。

まぁ、それでもやる事は一つなんだが……。

俺は両手で地面を掘り始める。

もちろん素手だが! ステータスが強化されていることで、地面がまるで豆腐のように掘れていく。

ダンジョン方向を確認しつつ掘り続け5分ほどで――、固い巖盤にぶつかる。

もちろん、巖盤を思い切り毆りつける。

――砕音と共に巖盤が々に砕け散り、落下する。

「ここは……」

見覚えがある場所。

そこは、以前に落花生を収穫した場所であり、レムリア帝國の兵士と戦った學校のグラウンドほどの広さがある広間、俺は用心を兼ねて周辺をスキル「解析LV10」で確認していく。

それと同時に視界に、半明なプレートが拡大表示されログが流れる。

――レベル1 名稱 千葉県の眠れる落花生

強いか弱いのかまったくわからないが……、とりあえず地面に埋まっている落花生を片手で引き抜いたあと落花生を見る。

――レベル1 名稱 掘り出された千葉県の眠れる落花生

「ふむ……」

どうやら、名稱だけ変わるようだが……。

討伐ログが流れないこともあって、倒したかどうか分からないな。

そういえば、以前にスキル「大賢者」が俺の部屋にあるダンジョンと、日本各地にあるダンジョンでは理が違うと言っていたが、もしかしたら討伐ログが流れないのもそういう理由なのかも知れないな。

それでも、名稱が変わったから討伐したということにしておくか。

再度周囲を見渡す。

するとログが一気に流れる。

――ダンジョン、1階層にてレベル1 名稱 千葉県の眠れる落花生 が、42911匹確認できました。

ずいぶんといるな。

そりゃ、以前にダンジョンツアーに來たときよりも地面から出ているの數が多いから仕方ないか。

とりあえず、モンスターからのドロップは倒せば手にるらしいからな。

「一匹ずつ引き抜いて無駄に時間を使うのもあれだからな……」

フロアの中央部に辿り著いたあと、地面に向けて拳を叩きつけると同時に地面が発する! 破壊の余波がフロア中を駆け巡り――、壁や――、天井を完なきまで破壊していく。

塵が治まったあと、再度――、スキル「解析LV10」で確認する。

「特にドロップはないのか……」

ドロップ自、かなりレアなのかもしれないな。

他に魔を狩りまくって見つけるとするか。

――このフロアの魔は全滅しました。

どうやら下の階層に降りないと駄目なようだな。

面倒なことだ。

幸い、山達が2階層へ向かう際に通っていった通路は分かる。

フロアから通路にる。

しばらく歩くと、橫幅10メートルほどもある階段が視界った。

階段を降りること1分程――、ビルの高さから言えば3階ほどだろうか。

ようやく地下2階に到著した。

地下2階の通路を歩くこと10秒ほどでフロアに到著する。

そこには、足というか――、落花生の節が足のようになった落花生が歩いている。

「……落花生が歩くとか……、佐々木から聞いていたが――、実際に見るとシュールだな」

スキル「解析LV10」で見ていたが……。

――レベル2 名稱 千葉県の歩く落花生

とか書いてあるからな……。

何というか突っ込みどころが満載だ。

とりあえずモンスターの數を確認しておくとするか。

――ダンジョン、地下2階層にてレベル2 名稱 千葉県の歩く落花生 が、8711匹確認できました。

モンスターは結構いるな。

全部倒せば、何かしらのドロップをするかもしれないな。

「とりあえず、倒してから確認してみるか」

歩いている落花生の方へと視線を向けると、ビクッ! とというか落花生のをビクつかせたあと、俺から距離を取ろうとして小走りで離れていく。

そして、しばらく経つとの30センチほどの落花生が、真っ白な落花生と一緒に向かってくる。

「一何が――」

疑問に思っていると、落花生が俺の周りを歩き始める――、というか踴っている?

5分ほど経つと、真っ白な落花生が近寄ってくると膝をついた。

節のある手で何かを必死にアピールしているようだが、全く理解できない。

――このフロアの魔が降伏しました。

何もしていないと言うのに勝手に降伏するとはコレはいかに。

まさか……、この真っ白な落花生って生贄なのか?

俺は、そういうのはしくないんだが……。

「やれやれ――」

さすがに降伏した魔を殺すのもな……。

後味が悪すぎるからな。

「生贄か何かしらないが必要ない。手を出すつもりはない」

肩を竦めながら溜息をつく。

どうやら、落花生たちも殺されないと知ったのか普通に歩きだした。

――仕方ない……。

まだ下の階層があるからな。

そういえば、佐々木が貝塚ダンジョンはFランクダンジョンで危険が低いと言っていたな。

何となくその意味が分かった気がする。

「3階に向かうとするか」

フロアから通路に出てしばらく歩くと、やはり地下へと降りる階段が見えてくる。

階段を降りきったあと、通路を歩き地下3階のフロアを確認する。

どうやら、レベルが上がるだけで歩く落花生というのは変わらないようだ。

――地下11階。

「まさか、地下11階層でも歩く落花生とか言わないよな? さすがに、そろそろドロップを手にれないと困るんだが……」

完全に油斷していた。

――飛んできた落花生が俺の鼻を強打した。

ほとんど痛みをじることはなかったが……。

――レベル11 名稱 飛翔する落花生

次々と、落花生が通路を埋め盡くすように飛んでくる。

その落花生を全て両手で叩き落していく。

叩き落した落花生の中にはダンジョンの壁に突き刺さってかなくなるもいる。

「これなら!」

全力で拳を打ち出す。

その瞬間、音速を超えた影響で発生したソニックブームが飛んできた落花生全てを々に破壊した。

どうやら、ここからは普通にダンジョン攻略が出來るようになりそうで安心した。

さすがに白旗上げている落花生をぶち殺すのは気が引けるからな。

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