《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》幕間3 暗躍する策士
――加曾利貝塚公園の日本ダンジョン探索者協會千葉市貝塚支部。
建は、鉄筋コンクリート製。
外壁は裝飾されておらず打ちっぱなしのままであったが――、手掛けた工事業者の腕が良かったのか周囲の木々との調和が取れており、異の存在をじさせない作りとなっている。
その建は4階建てであり、貝塚ダンジョンを管理・運営・そして探索者がダンジョンに潛った際に取得したアイテムを一時預かる場所でもあった。
1階は、主に一般來客の対応を行う付。
2階は、探索者の付などの事務作業を行うフロア。
3階は、探索者がダンジョンから持ち帰ったアイテム確認と、日本ダンジョン探索者協會が運用している研究施設へアイテムを送るために梱包するフロア。
4階は、各省庁との連絡などを行う場所であり要人を迎える部屋も用意されている。
そんな千葉市貝塚支部は、中が公務員が運用している団ということもあり、午後18時を過ぎた頃には殆どの職員が帰宅し、明かりが燈っていたとしても僅かであった。
ただ――、今の貝塚支部は全フロアの明かりが煌々と燈されていた。
――そして、そんな貝塚支部の4階、會議室の一室。
「そんな話を呑めるわけがないでしょう!」
怒りを多分に含んだ怒號が會議室に響く。
「だが、楠くん。これは陸上自衛隊の竹杉幕僚長――、つまり君たち日本ダンジョン探索者協會の責任者が決めたことなのだよ」
「冗談じゃない! そいつのために日本ダンジョン探索者協會に所屬している人間を、いまの貝塚ダンジョンに一人で行かせるなど常軌を逸している! 山! あんただって分かっていないはずないだろう! 例のでダンジョン部と外部が繋がった時に! 境界線が曖昧になり一度ダンジョンを攻略したことがリセットされたことくらい! 正直、今の貝塚ダンジョンは、1階層は問題ない。だが! 2階層からのモンスターが危険だということくらい分かっているだろう! やつら2階層の魔は、強い人間が先にコンタクトを取り服従させない限り、襲ってくる危険な魔なんだぞ! なくとも私が10階に行ったあとではない限り許可をするつもりは……、な!? や、山……、貴様! 一、何のつもりだ?」
山が手を上げると同時に會議室に立っていた、4人の陸上自衛隊の人間がアサルトライフルの銃口を楠に向けた。
「楠くん。何度も同じことを言わせないでしいものだ。これは、陸上自衛隊のトップであり日本ダンジョン探索者協會のトップでもある竹杉 俊作幕僚長が決めたことだ」
山の言葉に、楠の表に怒りが浮かぶ。
「ふざけるな! 仲間を死地に追いやるなぞ認められるわけがない!」
その返答に山は小さく溜息をつくと、會議室のテーブルの上に一枚の紙を置くと楠を真正面から見返した。
「我々が、口を出していいことではないことくらいは理解しているはずだろう? 私だって、同じ軍屬にを置くものを死にさせたくはない。だが――、山岸直人には利用価値がある。それは大勢の國民を救えるのかも知れない。だが、我々が、山岸直人をコントロールをする上で不確定要素となる佐々木君は、必要ないのだよ。災いの芽は早いに処分しておく。これは民主主義の在り方だ。楠くんも大人になってくれないか? 私も辛いのだよ」
「……何が辛いだ! 私は絶対に! 佐々木君を一人でダンジョンに行かせることは承諾しない!」
「やれやれ――」
溜息と共に山が腕を振り下ろす。
それと同時に、アサルトライフルの銃口から弾丸が放たれ、楠のに突き刺さる。
「――き、きさま……、そこまで……」
「麻酔弾だから死ぬことは無いから安心しろ。だが――、數日は目を覚ますことはないがな」
山が言葉を言い終えるかどうかのところで、楠のがグラリと揺れると會議室の絨毯の上に倒れ込む。
「営倉にでもぶち込んでおけ。數日すれば、納得もするだろう」
會議室に居た陸上自衛隊の面々が楠のを持ち上げると會議室から退出していく。
その後ろ姿を見送った山は溜息を共に、ポケットから煙草を取り出すと火をつけた。
「ふう――、まったく楠の愚か者め。軍人は、國民のためにを捨てるということを忘れた訳ではあるまいに。やはり民間人と長くれあうというのは、軍人としての質を落とすことになるのかもしれないな」
――コンコン。
「なんだ?」
「ハッ! 佐々木 が到著しました」
「そうか――。ダンジョンには誰も立ちれてはいないな?」
「ハッ! 指示どおり加曾利貝塚公園周辺には300人の自衛隊が完璧な包囲を敷いています!」
「ご苦労。それでは通してくれ」
「ハッ!」
――數分後。
黒いセーラー服――。
日本ダンジョン探索者協會で支給された制服を著て佐々木は現れた。
腰まで屆くほどにばされた黒髪は、きの邪魔にならないように三つ編みに編まれている。
「あ、あの……」
「ああ、すまなかったね」
會議室にってきた佐々木を出迎えた山は、一瞬――、彼が元は男だったと言う事を忘れて、その姿に見っていた。
正確に言うならば、佐々木は元々はであったが――。
「そこに座ってくれたまえ」
「はい」
「急なことで済まないね」
「いえ、それで仕事とは?」
「ああ、じつは地下9階層で銃撃があったのは知っているだろう?」
「はい、以前にテロリストが潛伏していた場所ですよね?」
彼の言葉に、山は何度も頷く。
「実はだね、その……、言い辛いがね……、9階層で通信ケーブルが斷裂しているようでね、君に修理を頼みたいんだ」
「――え!? わ、私にですか? でも、私以外にもベテランの人がいますよ?」
「それがね、複數個所でテロ活を起こされてしまってね。他のダンジョンに貝塚支社から応援に行ってもらっているんだよ」
「そ、そうなんですか……」
「でも安心してほしい。貝塚ダンジョンは地下11階層までは、モンスターは襲ってこないから」
「それは、そうですけど……。自衛隊の方なら、設備機を直せるのではないのですか?」
「…………佐々木さん。楠君から話は聞いていたけどね。君は、とても優秀だと――」
「――え?」
「私も君が優秀だと言う事は、レムリア帝國のテロリストから市民を守ったことから分かっている」
山の言葉に、首を傾げる佐々木。
「私としてはね。頑張ってくれている君を、出世させたいと思っているんだけどね。何分、現場を分かっていない上の連中は、許可をしてくれないんだよ」
「……栄です」
「そこでね、君が一人で安全地帯のケーブルを直してきてくれれば、ある程度言い訳が利くと考えているんだよ。私は有な人材には頑張って働いてもらいたいと考えているからね」
「そうなんですか」
「ああ、もちろんだとも。もちろん貝塚ダンジョンの安全は陸上自衛隊が先ほど確認し終わったところだし、問題は何もなかった。あとは君が通信ケーブルを直してくれればそれで済むんだよ」
「ああ、それで自衛隊の方があっちこっちにいたんですね」
「そうだね。まぁ、テロリストの件もあったから周辺住民を安心させる意味合いが大きいんだよ。私達は市民にされる自衛隊だからね」
「そうですよね」
「ああ、警察とは私達は違うからね。それでお願いできないかな? どうしても難しいなら仕方ないけど……」
「わかりました! 9階層の通信ケーブルの修理ですね?」
「それじゃお願いするよ」
話が一段落ついたところで佐々木が立ち上がり頭を下げて會議室から出ていったのを見送ったあと、山はソファーにを預けた。
「まったく、手間をかけさせてくれる。まぁ、出世と言っても2階級特進になると思うがね」
山は、貝塚ダンジョンり口に立っている陸上自衛隊員に命令をするために無線の電源をれる。
「こちら山だ。ダンジョンにる佐々木というが間もなくいくはずだ。そいつから、無線機と攜帯電話を取り上げておけ。理由は、最新の通信設備機を設置してテスト稼働中だからとでも言っておけ」
それだけ言うと無線の電源を山は落とした。
ドーナツ穴から蟲食い穴を通って魔人はやってくる
チェンジ・ザ・ワールド。 世界を変えたい! 若者達の強い想いが國を変えていく。虐げられていた亜人種が國を取り戻すために立ち上がる物語。 物語の舞臺は世界の最果てに浮かぶ大陸アニュラス。人間と亜人種が暮らす大陸である。 闇の集合體──突如、現れた時間の壁により大陸は分斷される。黒い壁は人々の運命まで変えてしまった。 ディアナ王女もその一人。他國王子と婚約儀の後、帰國できなくなる。 宿営中、盜賊に襲われ、従者のユゼフは王女だけ連れて逃げることに。同時に壁の向こうで勃発するクーデター。王女は魔物にさらわれて…… 成り行きで同行することになった元貴族だが、今は浮浪者のおじさんと共にユゼフは王女を助けに行く。
8 92スカイリア〜七つの迷宮と記憶を巡る旅〜
空に浮かぶ世界《スカイフォール》に暮らす少年ナトリは生まれながらに「飛ぶ」ことができないという致命的な欠陥を抱えていた。 王都で配達をこなす変わり映えのしない日常から、ある事件をきっかけに知り合った記憶喪失の少女と共に、少年は彼女の家族を探し出す旅に出る。 偶然に手にしたどんなものでも貫く特別な杖をきっかけに、彼は少女と自らをのみ込まんとする抗いようのない運命への叛逆を決意する。 やがて彼等の道行きは、世界に散らばる七つの迷宮に巣食う《影の軍勢》との世界の存亡を懸けた熾烈な戦いへと拡大していくのであった。 チートあり魔法ありダンジョンありたまにグロありの王道冒険ファンタジー、の予定です。 ※三部構成第一部完結済み
8 183突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
西暦2200年地球には2種類の人間が存在するようになっていた。 1種は昔からいたいたって普通の人間、もう1種は生まれながらにして特殊能力を持った人間つまり超能力者だ。 そして今世界では特殊能力を持った人間を中心とした格差社會が起きていた。通う學校、働ける職場、仕事の基本給、その他etc、全てにおいて超能力者が優遇されていた。 學校に関しては小學校までは同じ學校へ通うが、中學、高校は、舊人と超能力者では通う學校が違く、さらに超能力者に関しては受験を受けなくても能力がと言う理由だけで進學をすることができる。もちろんその先にある就職だって同じようなものだ。その職場に適した能力があれば簡単に入社できる。それだけじゃな給料だって高卒で入っても同じ條件の舊人の倍はもらうことができる。 そんな世界で超能力者 神谷 玲は舊人つまり無能力者として暮らしていた。
8 119クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!
主人公美月輝夜は中學生のころ、クラスメイトの美樹夏蓮をイジメから守る。だが、仕返しとして五人の男にイジメられて不登校になってしまう。15才になって、何とかトラウマを乗り越えて高校に行くことに! しかし、一週間後にクラスメイトと共に異世界に召喚されてしまう。そして起こる幾つかの困難。 美月は、どのように異世界をすごしていくのでしょう?的な感じです。 ありきたりな異世界転移ものです。 イラストを見たかったらなろうにて閲覧ください。ノベルバは挿し絵を入れれない見たいですね。 人間、貓耳っ娘、鬼っ娘、妖精が出てます。あとは狐っ娘ともしかしたら機械っ娘も出る予定。一応チーレム作品になる予定。あと、作者は若干ロリコン気味なので(逆にお姉さんキャラが得意でないだけなんですけどねw)比較的に幼そうなキャラが多めです。 更新は18時今のところ隔日更新してます。 初投稿作品です。
8 98デスゲーム
普通に學校生活を送り、同じ日々を繰り返していた桐宮裕介。 いつもの日常が始まると思っていた。実際、學校に來るまではいつもの日常だった。急に飛ばされた空間で行われるゲームは、いつも死と隣り合わせのゲームばかり。 他の學校からも集められた120人と共に生き殘ることはできるのか!?
8 182銀狼転生記~助けた幼女と異世界放浪~
狼に転生した青年は魔神を目指す。 クラスメイト達、魔王、百年前の転移者、不遇な少女達…。 數々の出逢いと別れを繰り返しながら…。 彼は邪神の導きに従って異世界を放浪する。 これは、青年が幼女と共に歩む銀狼転生記──その軌跡である。 :楽勝展開ばかりではありません。
8 193