《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》マスメディア

「なんだよ、朝から煩いな」

家の雨戸を開けて外を見る。

「なんだアレは……」

アパートの周辺の細い路地には、見た事がない形の車が列をして並んで止まっている。

「んー、どこかで見たことがあるような……」

額に手を當てながら考えるが考えが纏まらない。

昨日、ミドルポーションの無限製樽を手にれるまで貝塚ダンジョンを駆け巡っていた影響だろう。

中が痛く、眠いこともあり思考もハッキリしない。

「ふぁあああ、とりあえず顔でも洗うか」

窓を閉め臺所に行き顔を洗う。

冬場ということもあり、水は冷たい。

何度か顔を洗うと、しずつ冷たさで思考がハッキリとしてくる。

「とりあえず……」

部屋に戻り窓を開ける。

そして視界にってくる車をジッと見る。

「ふむ……、車の上にはパラボラアンテナが付いているな。――と、言う事は……、報道の中継車か?」

だが……、どうして……、ここに中継車が……。

報道や記者というのは、テレビや新聞に報を提供するのが仕事のはず。

「なるほど……、そういうことか――」

何人も、俺のことを英雄だとかヒーローだとか言っていたからな。

つまり今まで陸上自衛隊や國が抑えていたマスコミが俺目當てに來たということだろう。

やれやれ――、まったく仕方ないな。

俺は、そういうのは好まないんだが……、流石に俺がこのアパートに居る事で周囲に迷を掛けてるわけにはいかないからな。

報道陣には、後日改めて対応すると言うとしよう。

「よし、まずは服裝だな」

ワイシャツを來たあと、スーツを著込む。

そして、ネクタイ著けてから、ネクタイをネクタイピンで止めたあと、鏡をチェックする。

よし、問題ないな。

「とりあえず、行くとするか――」

部屋を出る。

そして通路を歩き階段前まで進んだところで、大勢の報道陣がアパート前にり口に集まっている様子が目にった。

「ふむ……」

全員がレベル1。

多くの新聞社記者や、テレビ局の人間が今かと今かと待っているのが、雰囲気から察せられる。

「みなさん!」

2階の通路から記者たちに向けて聲をかける。

「こんな狹いところで、大勢の方々が集まっていると近所迷になりますので、後日改めて會見の場を設けたいと思いますので帰って頂けますか?」

俺の言葉に報道陣全員が首を傾げる。

どうやら――、後日改めて會見の場を用意するということを介してはくれないようだ。

「やれやれ――。すぐに報がしいということか」

ニュースは新鮮が第一とは言え近所に迷をかけるのはさすがにな。

さて、どうしたものか。

「お前はだれだ!」

「どうみても、アイツは男だよな?」

「ああ、間違いなく男だ!」

「何をアイツは會見とか言っているんだ?」

「同じアパートに住んでいるからって何を勘違いしてるんだ?」

「あんな冴えない男が勘違いしすぎだろ」

次から次に罵倒に近い聲が取材陣・報道陣から投げかけられる。

「あれ? おかしいな? 俺を目當てじゃないのか?」

考えているところで、アパートの前に一臺の黒塗りのリムジンが停車した。

「あれは……」

車の中から出てきたのは、日本ダンジョン探索者協會の黒のセーラー服を著た佐々木 

「皆さん! ここでは、一般の方に迷が掛かりますので! あとで首相邸で夏目総理が會見を致しますので、そちらに移してください。私も首相邸に伺いますので!」

佐々木の言葉に、報道陣はアパートの前から消えていった。

その様子は、まるで一斉に蜘蛛の子を散らすように。

「あ、先輩! 朝からスーツを著てどうしたんですか?」

「…………い、いや。べ、別に!? な、何でもないぞ? あ、あれだ! ちょっと就職活にな! ほ、ほら! 履歴書で使うための証明寫真とかあるだろ? あれを撮りに行こうと思ってな」

「そうなんですか?」

「ああ――、ところで、その車はどうしたんだ?」

「え!? えっと……、それはです……」

「そうか、分かった」

まあ、言いたくないなら特に聞く必要はないな。

それにしても……、どうやら、報道陣が求めていたのは佐々木だったようだな。

何故、佐々木が報道陣と関わりがあるか、その理由は知らないが俺の知った事ではない。

「佐々木、首相邸にいくんだろ? 早くいってこい」

「はい! それでは、先輩! 行ってきます!」

は手を振ったあと、車に乗り込む。

すぐに車は走り去ったがアイツは何をしにきたんだろうか。

まったく意味が分からん。

はぁー、それにしても俺の勘違いだったとか……。

本當に恥ずかしいな。

があったらりたい。

「まぁ、とりあえず――、病院に向かうとするか」

轟醫師と約束しているし早めに薬を屆けないとな。

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