《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》アパート(1)

――千城臺病院り口前。

ハイヤーが來るまで壁に背中を預けながら待つ。

「ああ、そういえば……」

大事なことを忘れていた。

盜聴の対応を何とかしないとな。

今後、盜聴はしない、関與はしないような事を竹杉は言っていた。

だが、今までされてきた事を考えると自衛隊という組織は信じられない。

「とりあえず――」

部屋にある盜聴を何とかしないとな。

盜聴に関して即日対応が出來る業者の一覧をスマートフォンで調べる。

どうやら自宅から車で1分ほどの場所にある山彥探偵事務所が盜聴を専門に扱っているようだ。

「価格は、1坪あたり1000円からか……」

まぁ、いまは7億以上の金を持っているからな。

自分の生活を監視されていることから解放されると考えたら10萬でも20萬でも安い。

「はい、山彥探偵事務所です」

しお伺いしたいのですが宜しいでしょうか?」

「どのような事でしょうか?」

社のホームページを拝見したのですが、盜聴の発見依頼は可能でしょうか?」

「盜聴に関してのご依頼でございますね」

「はい」

「それでは盜聴の発見調査依頼ですと、20坪までは2萬からとなっております」

なるほど……。

俺の家というかアパートだから部屋だが10坪もないからな。

1萬円くらいで済むと思っていたが、人がくと人件費もかかるからな……。

「分かりました。お願いします」

「畏まりました。いつ頃をご希でしょうか?」

「なるべく早い日取りで、出來れば今日でお願いしたいのですが……」

一日でも早く盜聴は撤去しておきたい。

そうしないと、いつ盜聴を再開されるか分からない。

それに、もうアリバイを作る必要もないし、利用することもないからな。

「早い日取りですと本日の午後4時頃になります」

「分かりました」

「それではお名前と住所と連絡先を教えてください。それとお支払い方法は如何致しましょうか?」

「支払い方法は現金でお願いします。名前は、山岸直人です」

続けて電話番號と住所を伝えて電話を切る。

これで盜聴関係は問題ないな。

――トゥルルルル。

……話が、一段落著いたと思ったところで電話が鳴る。

「はい。山岸です」

「橋本ガラスです。ご注文いただいていましたガラスの用意が出來ましたので、後程伺いたいと思うのですが大丈夫でしょうか?」

「はい。よろしくお願いします」

電話を切る。

ようやくガラスが出來たようだな。

只でさえ隙間風がってくる部屋だったというのに、部屋の曇りガラスが割れてからというもの、通気抜群になっていたからな。

――さて、あとは……。

盜聴を仕掛けられた事に対する対策も取らないといけない。

スマートフォンで、即日対応できる鍵屋を検索。

「はい、千城臺24時間鍵屋110番です」

「お忙しいところ失禮します。自宅の鍵を付け替えたいのですがお願いできますか?」

「畏まりました。料金は出張料金が13000円。あとは技料と鍵代が加算される形になります」

「それでは今日中に対応して頂けるということでしょうか?」

「はい。それで鍵の種類は如何致しましょうか?」

「鍵の種類?」

自宅の鍵に、そんなに種類があるものなのか?

よくは分からないが、ここはプロに任せた方がいいだろう。

「1番高いのでお願いします」

「鍵本の価格だけでも3萬円を超えてしまいますが――」

「問題ありません。軍隊の工作員が來ても開けられないくらいの鍵をお願いします」

「そういうのは取り扱っておりませんが、それではツーロックにするのは如何でしょうか?」

「ツーロック?」

「はい。ご自宅の扉に2つの錠前を設置する方法です」

「なるほど……」

たしかに鍵が二つあればより一層いいかも知れない。

そういえば、家のドアだけを考えていたが、風呂場の曇りガラスや臺所の曇りガラスにも高能の鍵を付けてもらえば、多はマシになるな。

「すいません、自宅のドアと同時に窓にも鍵を追加で付けて頂くことは可能ですか?」

「はい。承っておりますが、その場合――、かなりの高額になってしまうと思われますが……、それと、この電話だけでは幾ら費用が掛かるか明確にはお答え致しかねます」

「分かりました。それでは、私の家に來られた方と相談という形でいいんですね?」

「よろしくお願いします。それと、お支払いは原則現金になりますので、ご了承ください」

「はい。それでは午後4時くらいにお願いできますか?」

「畏まりました」

一旦、電話を切る。

これで、だいたいの予定は組めたな。

あとは銀行に行ってお金を下ろすくらいか。

それから1分程で黒のクラウンが到著する。

「山岸様、お待たせしました」

わざわざ運転席から降りてきて頭を下げてくる相原。

別に待ってはいないんだが……。

むしろ、鍵屋や探偵事務所にガラス屋と電話対応していたから丁度良かったじだ。

「相原さん、近くの千葉信用金庫までお願いできますか?」

「分かりました。それでは近くですと桜木支店でよろしいでしょうか?」

「そうですね」

桜木支店か……。

聞いたことないな。

まぁ、ここは道のプロに任せるのがいいだろうな。

車の後部座席に座りシートベルトを著用。

車はすぐに走り出す。

途中、モノレール線路の下を走り続け、桜木駅を通りすぎたところで左折し道なりに進んだところで左手に大きなディスカウントショップが見えてくる。

その先には、4年前に24時間労働が問題になり本部が全面敗訴したことで営業時間がオーナーの獨斷で決められるようになったテレンイレブンもある。

そして、そのテレンイレブンの影に隠れるようにして千葉信用金庫が見えた。

「駐車場は大きいですね」

「そうですね」

1階しかない、千葉信用金庫の桜木支店。

それと同じくらいの面積――、いや……、明らかに支店よりも大きな駐車場を持つ千葉信用金庫桜木支店。

どちらかが本だと聞かれれば、100人中99人くらいは駐車場と答えられてしまうかも知れないな。

俺は、銀行の方だと答えるが。

相原が運転するクラウンは、千葉信用金庫の駐車場にる。

停車したところで、千葉信用金庫に行く。

殆ど人の姿が見當たらない。

ふと気になり銀行の壁掛けの時計を確認したところ、時計の指針は午後2時50分を示している。

「なるほど、窓口業務は15時までだからな」

急いで引き下ろす金額を用紙に書き窓口の銀行付窓口のに渡す。

それから、10分程――、付が終わるぎりぎりに呼び出しをける。

「封筒におれしましょうか?」

「あ、はい。お願いします」

200萬円を封筒にれてもらいけ取ったあと、銀行から出る。

銀行の駐車場に著いたところで、相原が車を貓じゃらしのようなもので磨いている? のが見えた。

「相原さん、お待たせしました」

「ずいぶんと早かったですね」

「そうですね、思ったよりもスムーズに進みました」

もっと待たされると思った。

「ところでそれは何なんですか?」

「――え? これですか?」

相原が手に持っている棒に羽がたくさんついてくるのを見せてくる。

「そうです。それは?」

「これはケバタキと言います」

「ケバタキ?」

「はい、ワックスが掛かっている車などありますが、駐車していますと薄っすらと埃などがつくのです。その埃やチリなどを車のボディが傷つかないように落とすですね」

「なるほど……」

今まで見た事が無かったが車業界というのはずいぶんと面白いがあるものなんだな。

――車が銀行の駐車場を出てアパート前に到著したのは、午後3時半。

「それでは山岸様、何かありましたら」

「はい。その時はよろしくお願いします」

ハイヤーが去っていくのを見送ってから、2階へと上がる。

まずは、探偵事務所の人間が來てもいいように部屋を掃除しないといけない。

「山岸さん!」

「――藤堂さん? どうかしましたか?」

「ようやく會えました。陸上自衛隊の上の方から、山岸さんのご自宅の盜聴を処理するようにと命令をけたので」

「なるほど……」

どうやら竹杉は約束を守ってくれるようだな。

「それで竹杉さんは?」

俺の言葉に、彼――、藤堂の瞳が一瞬揺れるのが分かった。

もしかしたら……。

「藤堂さん」

「はい」

「竹杉幕僚長は、そういうことですか?」

「――え? 山岸さんは、もう知っているのですか? 隊の中でも直接任務をけていた者だけにしか知らされてはいないのに……」

なるほどな。

「竹杉幕僚長は、左遷ですか」

「え? そ、そうですけど……。一応、隊では、そんな扱いになるようですけど……、どうして知っているのですか?」

「まぁ、なんとなくですね」

俺は肩を竦めながら答える。

そうか、竹杉――、お前は部下の……、山が馬鹿をした失態の責任を取って左遷されたか……。

信用におけない奴とか思っていたが、中々どうして社會人としての責任の取り方をしっているじゃないか。

今度、牛丼でも差しれてやるとしよう。

「それで竹杉幕僚長はどこに?」

「えっと……、これは部外者にはあまり言ったらいけないんですけど……、尖閣諸島に――、家族と一緒に……」

「尖閣諸島?」

「はい、レムリア帝國が領海を侵してくる問題に対処するために設置されたばかりの燈臺がありますので。あとは、そこに住居も用意されているので、そこに移になりました」

「なるほど……」

部下の責任を取り自ら尖閣諸島の勤務に家族と一緒に行くとはな。

これでは牛丼も屆けることが出來ないな。

「あの、山岸さん。話が線してしまいましたけど、お部屋にれてもらってよろしいでしょうか?」

し待っていてもらえますか? いま探偵事務所の方が來られるので」

「――え?」

「陸上自衛隊の方を信用していない訳ではないのですが、さすがに盜聴を仕掛けた組織に所屬している方を全面的に信じろというのは無理があるというのは、ご理解してもらいたいのですが?」

俺の、その言葉に藤堂の表が曇る。

「そうですよね……、山岸さんには多大なご迷をおかけしましたものね」

「はい。ハッキリ言わせて頂くとプライバシー侵害どころか拳銃で撃たれたこともあるので大問題です」

「ええ!? 拳銃で撃たれたのですか?」

「聞いていないのですか?」

「は、はい……、そうなんですか……。民間の方に拳銃を向けて撃つなんて……、まるで警察みたい……、そんなの……」

「藤堂さんが気にすることではありませんよ。貴方は上からの命令で私の部屋を監視していたんですよね?」

藤堂が泣きそうな表で俺を見てくるとコクコクと無言で頷いてきた。

別に責めているつもりはないんだが……。

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