《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》深夜に訪ねてきた(1)
「さてと……」
ずいぶんとパソコンを使っていたな。
壁に掛けてある時計を見ると時刻は22時を指している。
背びをすると、思わず欠が出る。
よくよく考えてみれば昨日の夜――、ダンジョンにポーションを取りにいったあと、今日の朝から千城臺病院に行ってポーションを屆けたんだよな。
ほとんど休んでない。
疲れていて當たり前だな。
「今日は、早めに寢るとするか」
その前にと……。
まずは一日のニュースを見ておくとしよう。
部屋には、テレビは無いがインターネットではニュースが見れる。
バラエティ番組と化したテレビのニュースよりもインターネットのニュースで報収集するのは、2023年の現在では常識になっている。
2022年には、【テレビのニュースを見るのは弱】という新語・流行語大賞がノミネートされたくらいだ。
「さてと……、YAFUU(ワフー)でも見ておくか」
ニュースサイトを開く。
すると、トップページにパワーワードが並びまくっている。
「貝塚ダンジョン攻略される! 人すぎる陸上自衛隊員! 初の陸上自衛隊幕僚長に就任か……、なるほど竹杉の後に……って!? 攻略? 貝塚ダンジョンが?」
ニュースサイトをクリックする。
すると、畫が開く。
畫に映っていたのは夜空。
そして、夜空に真っ白なオーロラが生まれていく。
それは、夜空を真っ白に覆うほど濃く分厚い。
そして――、星が瞬いていた星空は白と言う絵で塗りつぶされたように真っ白になり――、文字が描かれていく。
それと同時に、畫から音聲が聞こえてくる。
――2023年12月30日AM3時を持って、第91番目の星の迷宮はクリアされました。
――踏破者は、佐々木 。
――第91番目の星の迷宮は1階層まで小されます。
――踏破者には、特典が與えられます。
――第91番目の星の迷宮の1階層では、リン鉱石が無盡蔵に取れるようになります。
――第91番目の星の迷宮へ立ちれるのは、踏破者である佐々木 と許可をけた者のみになります。
「どういうことだ? 佐々木のレベルは、ダンジョンが攻略できるほど高くはなかったはず」
そこまで呟いたところでピースが嵌まる。
「なるほど、そういうことか……」
ようやく合點がいった。
どうして、杵柄アパートにマスコミなどが集まってきていたのか。
そして俺ではなく、佐々木にマスメディアの視線が向けられていたのか。
「しかし、ダンジョンを攻略するとずいぶんと注目されるんだな」
どこのニュースサイトも、佐々木のプロフィールや、今後の貝塚ダンジョンのことばかりだ。
「佐々木には悪いが、攻略しないで良かった……」
あまり人に干渉されるのは俺の好むところではない。
それにしても、攻略をすれば何らかの鉱が無制限に踏破者の手元にるというのは……。
「ずいぶんと悪質だよな」
俺は、畫を見ながら思わず溜息をつく。
攻略したダンジョンからは、何らかのを無制限に取り出すことが出來る。
そして、それは攻略した人間にのみ権利がある。
――これは、どう見ても悪意の塊にしか見えない。
何故なら、攻略すれば、莫大な富が得られると発表したのだ。
それも全世界的に大々的に。
つまりダンジョンを持っている國が有利になるのか? と問われれば、それは違うとも言える。
何せ、協力をしダンジョン階下に潛るという事! その行為そのものが危険を孕んでいることになってしまったからだ。
「こんなの裏切りを前提に作ったシステムだろう」
おそらく気がついているものは、もう気がついて行しているはずだ。
問題は、現狀の日本のダンジョン運営の問題。
原則、日本ダンジョン探索者協會はダンジョンで起きたことは自己責任と言う事にしてある。
つまり、合法的に殺人が認められている場所とも取れる。
そして、人というのは利権という餌をチラつかせられれば簡単に悪事に手を染めてしまう。
「ひどいものだな」
溜息をつきながらパソコンの電源を落とす。
そして、布団にる。
「…………そういえば、佐々木の奴――、明日は大丈夫なのか?」
年末の牛丼フェアで、牛丼を奢ると俺に約束してくれたが、忙しそうだよな。
「ふむ……」
佐々木は、コールセンターで勤めていた時から時間にはルーズだった。
もしかしたら、貝塚ダンジョン攻略などで忙しく無理をさせてしまう可能もあるうる。
「まぁ、牛丼を奢るくらいだから。大した問題でもないだろう」
電話番號は聞いている。
電話番號にメッセージを力しておくか。
件名
佐々木へ。
本文
ダンジョン攻略、陸上自衛隊の幕僚長就任で忙しいと思う
年末12月31日の牛丼フェアについては來なくて大丈夫だから、仕事頑張ってくれ
「こんなもんでいいか」
たしかに俺にとって牛丼は大事だが、佐々木にとっては気を使ってってくれただけだろうからな。
まぁ、無理をしてまで俺に付き合う必要もない。
別に人付き合いなんて、誰も友人が居なくても生きていける。
俺など友人など一人も居ないが問題なく生存しているからな。
「さて――」
部屋の電気を消す。
そしてスマートフォンで、牛丼フェアの場所を調べる。
「ふむ……、千葉での牛丼フェアは、海ほたると千葉ポートタワーでやるのか」
両方とも牛野屋は無いが大丈夫なのか?
ホームページを確認していく。
どうやら、出張店舗と言う形で夜の20時から4時間ほど営業するようだ。
「花火もするのか……、ハッピーニューイヤーってところだな――、ん? これは……」
牛野屋特の年末フェア牛丼!
カップルのみの販売! と書かれている。
「おいおい、俺に親しいなんていないんだが……」
どうしたものか……。
しかし――、特製の牛丼というのは食べてみたい。
――コンコン
「誰だ? こんな夜遅くに――」
壁掛けの時計を確認するが時刻は23時20分を指している。
「はい、どちら様ですか?」
「あの……、江原です」
江原? どうして彼がこんな夜遅くに來るんだ?
――と、言うよりアレほどきつく言っておいたのに今更何の用だ?
まぁ、こちらに非は無いからな。
それに今更、居留守を使うのも逃げているようで癪に障る。
「どうかしたのか?」
とりあえず家のドアを開けるが、江原はずっと俯いていて表が伺いしれない。
「…………」
話しかけてもまったく反応がない。
正直、関東と言っても年末の夜は冷え込む。
痩せてからやけに寒さに弱くなったから早くドアを閉めたいんだが……。
「江原、そんな服裝で寒くないのか?」
溜息じりに、話しかける。
どうして、俺が気を使わないといけないのか。
いまの江原の服裝は、ワンピースのパジャマを著ていて――、とても夜に出歩くような服裝ではない。
足も生足のままであるし、が若干震えているのも見ていれば分かる。
「はぁ……」
仕方ないな。
「江原、俺に言いたいことがあるんだろ? ちょっと部屋の中にっていくか? 暖かい飲みくらいは出すから」
まぁ、このまま通路に放置しておくという手段も取れる。
だが、アパートの通路は回りから見えるからな。
周辺の住民からは、いらぬ誤解を招く恐れはなるべく起こしたくはない。
俺の言葉に江原はコクリと頷くと部屋の中にってくるとドアを閉める。
そして部屋に上がってきた。
「ちょっと待ってろよ」
俺はベッドを折り畳む。
そして、押しれからコタツを取り出し設置し、電源プラグを指したところで臺所に立っている江原の方を見る。
「江原、コタツの用意が出來たからコタツの中にでもっていてくれ」
江原は、俯いたままコタツの中にる。
まったく、言いたいことがあればハッキリ言えばいいものを。
どうして、俺がここまで気を回さないといけないのか。
ヤカンに水をれ溫める。
煎茶を二人分用意し湯呑にれたあと、お湯を注ぐ。
――もちろんティーパック。
「ほら、が溫まるぞ」
江原が座っている前に煎茶がっている湯呑を置く。
そして、俺はテーブルを挾んだ向かい側に座る。
「さて、江原。何か言いたいことがあって來たんだろう? もう時間が時間なんだ。要件は迅速に言ってくれ」
「…………こんなこと、言うべきじゃないと思っています」
「何をだ?」
「私が! メゾン杵柄に來たのは山岸さんが居たからです!」
「いや、それはもう知っているから。ハニートラップだろ?」
俺は煎茶を啜りながら言葉を返す。
だが、江原は頭を左右に振りながら「違います」と否定してくる。
「それじゃ、なんでお前はメゾン杵柄――、杵柄さんの孫だと偽ってまで管理人としてきたんだ?」
「山岸さん、レベルが高い自衛隊員や日本ダンジョン探索者協會に所屬している人間は、退職できないのです」
「それは知っている。だから、退職の條件としてハニートラップを仕掛けてきたんだろ?」
「違います。私だって誇りはあります! 好意を抱いていない男に、そんな真似は出來ません!」
「――ん?」
おいおい。
その言い方だと、まるで江原が俺に好意を抱いているように聞こえるんだが?
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