《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》人類の罪過(22)第三者side

「まったく、本國からの命令で日本の総理大臣になったというのに……」

三宅は呟くと、懐から手帳を取り出し、手帳を開く。

そこには彼の家族の寫真がっており――、それを見た日本國首相である三宅は目を細める。

「一……、どこで歯車が狂ったというのだ……。この國の愚かな、人民を騙し日本國総理大臣になったというのに……、このような事態になるとは……。家族も全て化けに殺され生きているのは、僅かな人類だけ……、このような事になろうとは……、一……、私の祖國は何を手にれていたのだ……」

とも絶とも言える暗く沈んだ瞳をした男――、三宅の言葉は誰にも屆くことなく、室に靜かに響き渡った。

その頃、ヘリからの出に功した山岸鏡花と佐々木は、二人して急な山を素手で登りながら、自衛隊の警備が薄い裏手から基地に近づいていたが――、

「殆ど、見張りがいないですね」

「ええ、そうね」

佐々木の言葉に、小さく呟きながら答える山岸鏡花の額には、薄っすらと汗がにじみ出ていた。

「大丈夫ですか?」

「何が?」

「ずいぶんと疲れているように見えますから……」

「こっちは貴と違って行軍の訓練なんてしていないのよ」

「……そうですね」

佐々木は、鏡花の橫面を見ながら、目の前の鏡花という人は、本當は子高生である事を思い出していたのであった。

子高生なら、山の中を短時間と言えど行軍する事はない。

まして化けが闊歩しつつ、近くでは銃聲が止まない戦場でもあるのだ。

日本人なら縁遠い狀況であり、決してありえない狀態。

「人の事を心配している余裕があるのなら、それは杞憂よ? 貴には彼を説得して貰わないといけないんだから」

「――え?」

鏡花の言葉に目を丸くする佐々木

そして――、彼の足は一瞬止まる。

「呆けている暇はないわ」

「呆けている暇って……」

先を進む山岸鏡花を追いかけるようにして崖を登っていく佐々木

ただ、その表には複雑な心の心境が存在していて――、だからこそ、佐々木というは口を開く。

「彼って……、一――、誰なんですか? 月読さんとは、違うんですか?」

佐々木が、最初に思い浮かべたのは、彼――、山岸直人の記憶の世界の中にる際に姿を見せた月読というであったが……。

「違うわ」

それは、すぐに否定される。

「――なら!」

「天照大神、それがお兄ちゃんを、この世界に縛り付けているもう一人の存在」

「アマテラス? それって……、日本神話の太の神?」

「ええ、そうよ。そして、もっとも人に近い者」

そこで、山岸鏡花は足を止めて佐々木の方へと顔を向けて口を開く。

「そして――、人間の意識の集合でもあるの」

が発した言葉は、どこか震えていた。

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