《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》世界の岐路(6)

「止めなさい! 月読! どういうつもりなの!」

き通った聲が、離れて戦っている私に鮮明に聞こえてくる。

それと共に、一瞬だけ月読さんの行は止まる。

――だがが、すぐにきだす。

二足歩行の漆黒の狼――、その足が前面へとき出し石畳を踏みつけ……砕く。

「……なっ!?」

私とさほど長差の無い――、月読さんが変化した漆黒の狼はあっと言う間に軀を変えていた。

その高は4メートルほど。

すでに見上げるほどの巨大なであり、石畳が割れた事から、幻ではないと言うのが分かる。

そんな月読さんは、腕を振り上げる。

それと共に視界に回避しろ! と、言うログが流れた。

「――ッ」

魔法により強化した腳力により、一気に漆黒の狼と距離を取る。

そして――、それと同時に私が立っていた石畳が轟音と共に発する。

「アースウォール!」

まだ回避途中ではあったけれど、地面に指先を當てながら土屬の魔法を発

石畳から土の壁が形されていき、轟音と共に撒き散らされた風を纏った石畳の破片をけ止めた……かのように見えたけど土壁は々に砕され飛來した破片により、私のは吹き飛ばされ、さらに中を痛みが襲う。

「くうう……」

思わず、痛みからき聲がれる。

それと共に、視線は先ほど漆黒の獣とかした月読さんが腕を振り下ろした場所へ。

「……なんて威力なの……」

思わず毒づく。

漆黒の獣が腕を振り下ろした場所は、深さ2メートルほど。

幅は10メートルほどのクレーターと化していた。

――神格の解放を確認。現狀の戦力では、勝つ事は不可能です。

その威力を目のあたりにしたと同時に、視界の半明のプレートには文字が流れる。

「神格?」

――肯定。人の信仰心により本來の力を解放する事が出來る現象の事です。

「本來の力ね……。つまり、今までは手加減されていたってことね」

――肯定。

私の考えは正しかったのか、すぐに答えは返ってくるけど……。

つまり、相手が油斷しているに、月読さんを倒さなくてはいけなかったということ。

そして、それに失敗したから勝つ見込みは無くなったと……。

「厄介ね。どうすればいいの?」

「何をしているの!」

どうすればいいのか考えあぐね――、大賢者に問いかけたところで、天照さんが私と月読さんの間に割ってってきた。

天照さんの表には焦りが浮かんでいるようにも見える。

それよりも天照さんを抑えていた二人は? そう、思い先ほどまで天照さんと、鏡花さん、狂の神霊樹が戦っていた場所へ視線を向けると鏡花さんと神霊樹は、こちらに向かってきていた。

ただ、疲弊しきっているようで時間がかかりそうで――。

「月読さん。一、何を……」

これ以上、敵が増えれば、ただでさえ勝算が無いのに、さらに絶的になる。

それだけは避けたい。

「黙りなさい」

私を睨みつけてくる天照さん。

どうやら、こたえてくれそうにはない。

「月読! こんな所で、神格を解放すれば、どうなるか分かっているの!」

「グルルルル。こやつは代替品であるにも関わらず主の意思を勝手に決めた愚かな罪人である。人でも無いにも関わらずな」

「だから……」

「主とのパスがあった。どうせ何もできないと靜観していた。だが……、事もあろうことか主の意思決定を無視するかのような無禮な振る舞いを行った。だから――、ここで消す」

「――ッ!? それは神格の力を解放しても……と、いう事かしら?」

「その通りだ。天照。汝も、汝の役割を果たすべきではないのか?」

「……それは」

「まぁよい。天照、汝が本気を出すつもりがないのなら妾が、この――」

唐突に目の前から姿を消す漆黒の獣。

「――妾が、愚か者に斷罪を下すとしようか」

いきなり後ろから聲が聞こえてくる。

――後方に転移を確認。回避作を……。

僅かな時間差で、視界の半明のプレートに回避を指示するログが流れるけど――、頭上からの攻撃により、私の足元の地面には、私を覆い盡くすほどの影が出來ている事から避けることは不可能であった。

死を覚悟したと同時に、「キンッ!」と、言う音が周囲に鳴り響く。

「なんの……まねだ? あまてらす」

「ここで神格を使い、何かを狩ることは穢れを生み出すことは理解しているはず」

「……」

天照さんの、その言葉に無言になる漆黒の獣。

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