巨大なが、鳩羽村ダンジョンを貫く。

それは、直徑數百メートルにも及ぶダンジョンを丸ごと消し飛ばすほどの緑の極であり、鳩羽村周辺を飛び回っていた幾つもの自衛隊ヘリは、辛うじてに呑み込まれずに済んでいた。

「な、なんだ……。あ、れは……」

「どうした？　四谷」

「あれを見てください」

二人の陸上自衛隊員の視界には、鳩羽村の中心部に巨大な大が突如として出現していた。

「まさか、先ほどのは……」

「千葉の貝塚ダンジョンで発生した緑のと同一なのでは？」

「しかし、威力が桁違いだぞ……」

「それよりも本営に連絡しなければ――」

――ザザッ。

あまりの出來事に、言葉を失う自衛隊員を他所に、無線がる。

「こちら本部。今のはなんだ？　報告を求む」

「こちら四谷、鳩羽村中心部に大を確認」

「大だと？」

「突如、緑のが確認出來たと同時に地底へ通じる大が出現しました」

「分かった。そのまま待機するように」

本営からの命令に、二人の陸上自衛隊員は、安堵の聲をあげる。

もしに降りるように指示されていたらと思うと生きた心地がしないからだ。

それほど、ダンジョンというのは未知が存在している場所であった。

その頃、本営では――、

「房長」

「長でいい。いまは急時だからな。それよりもどうした？」

「先ほど、ピーナッツマンが突した鳩羽村ダンジョンから発生したの柱ですが、鳩羽村中心地に大が発生していることが陸自のヘリより確認できたとのことです」

「そうか……」

そう小さく呟く日本國房長である時貞守。

彼は心の中で「やはり……」という言葉を呟きながらも眉間に皺を寄せる。

ダンジョンに、山岸直人が突したと日本國閣総理大臣である夏目一元に報告したところで、夏目総理大臣より「すぐに鳩羽村ダンジョン口から、住民を退避させるように」と命令をけていたのだ。

まるで、何が起きるのかを分かっていたかのように……。

「さすがは総理と言ったところか」

そう時貞は納得する事しかできなかった。

「長！　生存者からの報がりました」

「生存者？　ピーナッツマンからか？」

「いえ。相沢凜という冒険者です。どうやらピーナッツマンと行を共にしていたのようです」

「なるほど……。――で、ダンジョンが消滅した原因と何か関係があるのか？」

「その點に関しては、ピーナッツマンがダンジョンを破壊したと言う事です」「

「なるほど……な。全ては総理の想定通りだったということか」

「――え？」

報告にきた通信技師である陸自の男が不思議そうな表をする。

「いや、何でもない。それで生存者というのは？」

「かなりの數がいるようです」

「分かった。陸自だけで足りなければレスキュー隊にも頼みこめ」

「上空を飛んでいる報道関係者のヘリはどういたしましょうか？」

「報道させておけ。報道規制をかけたところで、余計な造をされても困るからな」

「分かりました」

指示を出したあと、パイプ椅子へ座る時貞は、攜帯電話を取る。

そして數コール鳴ったあとで相手が出る音が鳴る。

「私だ」

「時貞です。総理が言われた通り、鳩羽村ダンジョンは、ピーナッツマンにより破壊されたようです」

「そうか。なら使う必要はなくなったな」

「そうですな。それよりも、今回のことは総理はどこまで知っておられたのですか？」

「何もしらん。だが、あの男がいたということは、何かしら起きると言う事だからな」

「それだけで住民の退避を？」

「當たり前だ。民があっての國だろうに。それより生存者は？」

「かなりの人數の生存者がいると相沢凜という冒険者から報告があったそうです」

「なるほど……。ヘリが足りないようだったら他の駐屯基地からも出すから、早めに手配しておけ」

「分かりました」

電話を切り、時貞は空を見上げる。

彼が見上げる上空には、大きな雲が存在していたが、その中心部は、ダンジョンの地下から放たれたにより円形狀に消失していた。

「一……、総理は何を知っているのだ？」

そう時貞は、一人吐していた。