《【完結】辛口バーテンダーの別の顔はワイルド曹司》34.引っ越し前日

夕飯は道香が提案したスペインバルでお酒やご飯を堪能して會計はマサが済ませた。その帰りにコンビニに寄ると、マサは髭剃りと缶ビールとつまみを買って帰宅した。

「まだ飲むの?」

「いや、先にシャワー浴びるわ」

「家で出來ないから、後でコインランドリーに一緒に行ってくれる?あ、替えの下著は乾いてるからね」

道香はクローゼットからトランクケースを取り出すと、マサの著替えとバスタオルを出す。

「あ!他のバスタオルもう箱詰めしちゃったよ」

「なら狹いけど一緒にるか」

「んー。一人が浴槽にればなんとかなるかな?」

道香はそう言って自分の替えの下著や、出るまで來ていたTシャツとジャージを持ってマサの後に続く。

風呂場の脇に著替えを置くと、服をいで一緒にシャワーを浴びる。

を洗う度にマサの手がいたずらにびてくるので、何回も無駄に洗わせないようにと釘を刺して、についた泡を洗い流すと風呂場を出る。

一枚のバスタオルを用に使って二人でを拭くと、じゃれて道香の元にキスをするマサの頭を叩く。

「何のためにお風呂ったの……」

「いや、うまそうなもんが見えたから」

「オッサンくさいよ」

「オッサンてお前」

「明日ご挨拶に伺うのに変なところに痕つけてないでしょうね」

「大丈夫だろ」

そう言って道香を抱き寄せると、また房にキスをして赤い痕を殘す。

「マサさん!」

「見えないから良くね」

「もう、子供じゃないんだから」

マサの元を叩くと、道香は素早く下著をつけてキャミソールを著ると、Tシャツとジャージを一気に著る。

「早えぇな」

マサはどこか殘念そうにそう呟くと、自分も下著を履いてTシャツを著た。

部屋に戻って道香は髪を乾かす。マサは隣に座って、缶ビールを飲みながらつまみを食べている。

テレビを片付けてしまったので、部屋にはドライヤーの音だけが響く。

「道香の匂いってこのシャンプーだったんだな」

「え?」

「甘い香りがする」

ドライヤーでよく聞こえないが、マサは用に道香の髪を摑むと匂いを嗅いでいた。

ドライヤーを掛け終えると、マサは一本目のビールを空にしていた。

渇いてたの?」

まあねと呟いてから、ごめんなとマサが突然謝る。

「え?なに?」

「ロフトは狹いし、アレがないから」

「……?」

道香は首を捻ってから、言っている意味に思い當たって頬を赤らめる。

「まあ、我慢するけど」

さして悪びれる様子もなくマサはそう言うと、コインランドリーに行くか?と道香に尋ねる。

時計は荷造りしてしまったのでスマホで時間を確認する。もう23時半だ。

「明日は何時に出るの?」

「できれば一旦帰って著替えたい。だから9時過ぎには出たい」

午前中には行かないと親父が居ないからなとマサは続ける。

「分かった。ならコインランドリーの帰りに明日の朝ご飯調達する?」

「そうだな。最悪買わなくてもお袋張り切ってるからすぐ飯だと思うぞ」

「そっか。なら不要にゴミを出したくないし、お母様の手料理楽しみにしておこう」

道香はドライヤーを片付けると、トランクケースを開けて上から羽織るパーカーを取り出す。

「はは。めっちゃ寢巻き」

マサが道香を見て笑う。そんなに変かなと道香はドレッサーの鏡で確認する。確かに外を出歩くには、部屋著が強い。

「えー。じゃあデニム履こうかな」

「いや気にすんな。俺も大差ねえし」

マサはパーカーをパタパタさせながら笑った。

部屋に敷いた薄手のラグも含めて、洗濯が必要なものはエコバッグに詰め込んでコインランドリーに向かう。幸い二人の他に人影がないので他無い會話をしながら、乾燥が終わるまで待つ。

洗濯を回収してきれいに畳んでエコバッグに詰めると、當初の予定通りコンビニには寄らずに帰宅した。

マサの話だと、明日は長ければ夜遅くまでマサの実家にいる事になるかも知れない。

引っ越しの作業が進み易いように、クローゼットにしまった梱包済みの段ボールを全て部屋に出す。

何か忘れている気がして、道香は洗濯用のハンガーなどを回収し、ボディソープなどは使いきれないので、明日の夜に最後の段ボールに詰めることにした。

マサに勧められるままビールを飲んで、そろそろ寢ようと聲を掛けると、もう1時前になっていた。

二人でロフトに上がると、マサのスマホの充電が切れ掛かっていたので、同じタイプの道香の充電を貸す。

互いに目覚ましを8時半にセットすると、マサの腕枕で抱き合いながら眠りに就いた。

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