《【完結】辛口バーテンダーの別の顔はワイルド曹司》39.新居にて
「もうネット開通してるの?」
「マンション自に回線ってるから契約済み」
道香はパスワードを確認してWi-Fiに繋ぐとスマホを確認する。
慶子とめぐみから引っ越しは終わったのかとメッセージが來ていた。
それぞれに、空のままの部屋の寫真を添付して片付けは荷けが完全に終わる明日以降と返信を送る。
既読がつくとすぐにめぐみから電話が掛かって來たので、仕事であろうマサに一言斷りをれて自室で電話に出る。
「もしもし?」
『呑気にもしもし?じゃないわよアンタ!』
耳をつんざく怒鳴り聲が聞こえる。これはもしかしなくてもお怒りだ。
「ごめん。本當にバタバタして々あったんだってば」
『々ってアレ以上何が起こるのよ!』
道香は小さく息を吐き出し呼吸を整えると、改めて嵯峨崎を含んだ事件は、マサのストーカーである芝田が起因した事件であることを簡潔に伝える。
『やっぱりメッセージ打ち間違ったわけじゃなかったのね?アンタがマサさんのマンションで雨宿りしたから、それの逆恨みってことなの?……あんのクソアマっ!』
「めぐみ!落ち著いて!」
『アンタよく落ち著いてられるわね!』
「落ち著くも何も、捜査で安全が確保出來るまでけないんだよ」
『……マサさんは?大丈夫なの?』
「うん。そんなこんなで二人でもめて大変だったからなかなか連絡まで気が回らなくてごめん」
『まあ、二人とも結果無事なら良いけど、大概にしなさいよ!こっちは明日見合いだって言うのに気が気じゃなかったんだからね』
「ああ、そうだ!お見合い。そうか明日クーザで會食だったね。終わったらどんな人か、また連絡ちょうだいね」
『アンタ本當呑気ね……まあ良いわ。分かった。また落ち著いたら會って々聞かせてもらうからそのつもりでね』
「う……はい」
じゃあねと電話は切れた。
リビングに戻るとマサは電話中だった。靜かに隣に座って、し冷えたチキンを食べる。マサの様子から仕事の電話ではないようだ。
お茶を飲んで様子を気にしながらチキンを食べていると、マサは電話を切った。
「どうかした?」
「ああ。家屋が道が混んでるからし遅れるって連絡。道香は?めぐみちゃんか?」
「うん。マサさんのことも心配してたよ」
「雨降るんじゃねえの……」
「また!そういうこと言わないの。あの子明日お見合いだから。私もバタバタしすぎて連絡してなかったから、気が気じゃなかったって怒られた」
「そうか。見合いするんだったな」
「そうだよ。十個くらい歳上なんだけどね。お店の名前は忘れたけどダイニングバーのオーナーなんだって」
「へえ」
マサはまたノートパソコンに向き合うと、キーボードに指を走らせながら、片手で用にタコスを食べている。
「これまた優しそうなカッコいい人でさ。めぐみがお見合いけたのも分かるわ」
「顔で選ぶのかよ」
「違うに決まってんじゃん。あくまで切っ掛けだよ。めぐみは容姿とかあんまり拘らないタイプだから」
めぐみの別れた彼氏を思い出して道香は失禮にもそう斷言した。
「まあ、良縁だと良いな」
「うん」
道香はシーザーサラダを食べながら、元気よく頷く。
「あ、マサさん。コンシェルジュの方々には家や家電の配送で業者が來ることを伝えてる?」
「やべ。忘れてた」
「確かインターホンで線飛ばせるんだっけ」
「直通のボタンがあるんじゃなかったか?」
道香を追うようにマサは立ち上がるとインターホンのモニター前に立って、このボタンだなとコンシェルジュに業者が來る旨を伝える。丁寧なけ応えで承知いたしましたと言う返事を確認すると、マサは通話を終了する。
「便利なんだか手間なんだか分かんねえな」
ラグに座ってあぐらをかくと、マサはびをしながら溜め息を吐く。
「仕方ないよ。セキュリティは今の二人には必須だからね」
「まあな」
「ねえ、どうでも良いけどさ、さっきから仕事?」
「いや、芝田の人事評価の取りまとめ。裁判に持ち込んで神錯とか安易に持ち込まれないように、いかに普通に仕事をしてたか証明する書類を武野さんに頼んで出してもらったんだよ」
武野さんは俺の第一書で、書室長だとマサが続ける。
「ん?武野さんが室長なの?お父様の書が一番偉い人じゃないの」
「他の企業は分からんけど、うちだと書室統括部長の羽田さんがトップ。実家に親父迎えに來た人いただろ。あの人だよ」
「へえ。役職っていろんな名稱があるんだね」
「俺もその辺覚えるのに頭抱えてるよ」
マサは苦笑いしながら、お前も見るか?と武田から送られてきた芝田の人事評価の畫面を見せる。
芝田は元々管理部総務課勤務で、途中から書室に異。その後、資格や免許を取り、役員書のチームリーダーとして部下を牽引と書かれている。
「こんな勤勉で會社に貢獻してて神錯とかは、通用しない世の中であってしい」
「まあな、弁護士には優位とは別で客観的事実として日常の様子を取りまとめとけって言われてるんだ。もちろんストーカーとして俺の周りを嗅ぎ回ってる証拠も提出済み」
「裁判か……」
「暗い顔すんな。まあ必要なら証言とか出廷する可能もあるが、今のところは出來る限りそうならないように進めてる」
マサは道香を抱き寄せると、優しく背中をでて呟くように続ける。
「俺は道香に、思い出して心を抉るようなことはさせたくない」
「大丈夫だよ。私にはマサさんがいるし。必要なら出るとこ出て証明でも何でもするよ」
「無理するなよ?」
「うん。私もマサさんを守りたいから」
甘い雰囲気になったところで、インターホンが鳴る。
「家屋さんかな?」
「だろうな」
マサは立ち上がるとインターホンで対応している。道香は業者が部屋に來るまでに、自室の段ボールをとりあえずクローゼットにしまい込んで部屋のスペースを空ける。
四人のスタッフが次から次へと家を運び込む。寢室とリビングはマサに任せて、道香は自分の家を指示した箇所に配置して貰う。新しい家はトーンを統一したので、全く違うわけではないが、持ち込んだデスクとドレッサーがし浮く。
それでも想像以上に部屋が整って、それらを眺めると道香はテンションに任せて小さく飛び跳ねた。
家屋のスタッフはリビングやダイニング、寢室への家配置が全て終わると丁寧な挨拶を殘して帰ろうとする。道香はそれを引き留めて、小分けの焼き菓子と缶コーヒーを人數分渡すと、遅い時間の対応をけてくれたことを労ってからスタッフを見送った。
「缶コーヒーとかどうしたんだよ」
「ああ、恵さんにコンビニ寄って貰って保冷バックにれといたんだよ」
隨分とぬるくなってるけどねと苦笑して道香が答えると、マサは気が回るなと道香の頭をくしゃりとでた。
「わあ!凄い!」
寢室はシンプルにベッドだけが置かれている。リビングにはアイボリーの革のソファーがL字型に設置され、その中央には木彫りの細工が閉じ込められたガラス張りのテーブルがピタリとハマっている。
ダイニングテーブルはダークブラウンのユーズドがある四人掛けの大き目なだ。
「お店で見るのと実際家に置くとじゃやっぱり違うね」
照明のせいかな?とはしゃいでぐるぐると行き來する道香を、笑いながら壁にもたれてマサは見ている。
「ベッドメイクするか?」
「そうだね!」
クローゼットからシーツを取り出してマットレスに敷きパッドを取り付けてからシーツを敷いてシワにならないようにきれいにセットする。
掛け布団や枕にも同じデザインのカバーを取り付けると、道香の要により買い集められたクッションを枕元にいくつか置いた。
「なんだこのラブホ」
「ちょっと、やめてよ!せめてリゾートホテルって言ってよ」
二人でくだらない會話をしながらひとしきり騒ぐと、同じく家屋で一目惚れしたデザイン時計を壁に設置して時間を合わせる。
「なんだかんだでもう21時か」
マサが風呂はどうする?と聞くので、道香は新築といえど、掃除をしてから湯に漬かりたいと、水回りの荷を詰めた段ボールを開封してバスタブをきれいに洗う。シャワーで泡を洗い流すと、パネルで作してお湯を張る。
持ち込んだシャンプーやトリートメント、ボディソープや洗顔料などを浴室にセットすると、洗剤や掃除用は洗面臺の下に収納して片付ける。
同じようにトイレを開けると、掃除用の流せるペーパータオルで軽く掃除して、家から持ってきたトイレットペーパーや、サニタリーグッズを備え付けの棚にしまう。
「ん?準備出來たか?」
部屋に戻ると、マサは子供を相手にするように優しく道香を見て聲を掛ける。
「うん。すっごい広い!まだ実ない」
「慣れてもらわないとな」
「慣れる日が來るんだろうか……」
「すぐ慣れるだろ」
じゃあ、風呂ろうぜとマサは自室から著替えやバスタオルを取り出してバスルームに向かう。道香もそれを追うように荷から著替えとバスタオルを取り出すと、急いでバスルームに向かった。
マサは服を既にいでいて、先にシャワー浴びると斷って浴室にる。
道香は洋服をぐと、洗面室にもチェストが必要かな?と備え付けの棚を見ながら顎に手を當てて考え込む。
なかなかってこない道香を浴室からマサが呼ぶので、道香は我に返って下著を外して浴室にった。
マサは髪を洗い終えてを洗っている。
道香の分もボディブラシを用意してくれていたらしく、道香は髪を洗ってトリートメントをなじませる間、ボディブラシでを洗う。
マサは先にを洗い終えて湯船に漬かり、をばして気持ちよさそうにしている。それを橫目で見つつ、トリートメントと全の泡を洗い流すと、洗顔料でメイクを落として顔をきれいに洗う。
もう一度全をシャワーで流すと、マサに抱かれるように湯船に浸かった。
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