《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第5話
「魔っ!?」
いきなりの出來事でケイはしポカンとしていたが、アンヘルの記憶を呼び起こすと答えが浮かんだ。
どうやらこの黒い渦は魔が出現する兆候らしい。
弱い魔だったならまだ逃げられるかもしれないが、ちょっとでも強い魔が出たら5歳のやせ細った子供ではまともに戦えるわけがない。
とはいっても、もう逃げられる猶予がない。
ケイは持っていたナイフを武代わりに、鞘から抜いて警戒した。
“ポンッ!!”
そして渦の広がりが治まると魔らしき生が出現した。
“フワ~……”
「……………………?」
出てきたのは黒くて小さい玉のようなものだった。
“ポトッ!!”
その玉はゆっくりと落下していき、地面に落ち、嬉しそうにキョロキョロと周囲を見渡した。
「……………………」
その玉から危険を全くじなかったケイは、初対面の魔が何なのか気になり無言で近付いた。
「っ!?」
“フワ~”
ケイの存在に気付いたのか、玉は慌ててケイから逃げようと跳び上がった。
しかし、その移速度がとんでもなく遅い。
「……………………」
ケイはすぐに追いつき捕まえることに功した。
跳び上がり落ちてくる所に左手を出しただけなので、捕まえたというより乗っかったという方が近いかもしれない。
5歳の片手に収まるくらいだから、テニスボールよりし小さいくらいだろうか。
「っ!?」
玉はなおも逃げようと跳び上がろうとしたが、ケイがナイフをしまって空いた右手をかざして跳べないようにしたため逃げられなくなった。
「軽いな。…………ケセランパセランか?」
捕まえた魔は攻撃をしてくる気配がない。
ケイが魔をんな角度から眺めていると、答えが浮かんだ。
この世界で數多くいる魔の中でも最下位中の最下位の弱小魔、別名【魔の餌】と呼ばれているケセランパセランだった。
あまりの弱さに、出現して長くても1~2か月以に他の魔に食べられると言われている。
そのため人間が発見することはかなりの超激レアで、見つけたその日は運がいいとされている。
「ん?」
“プルプル…………”
捕まり左手に乗ったケセランパセランは、ケイに顔を向けると目に涙を浮かべてを震わせ始めた。
「……大丈夫だよ。怖くないよ」
ものすごく弱々しく、何だか可哀想なじがしてきたケイは、右手の人差し指で優しく頭?らしき部分をでてあげた。
「フワフワな並みだな……」
「………………………………♪」
最初のはプルプル震えていたケセランパセランも、でられているに落ち著いてきたのか、次第に目を細めて気持ちよさそうな表に変わっていった。
「生まれたばかりだからか? 警戒心が薄いな……」
しばらくでていると、ケセランパセランはでていたケイの指にすり寄って來るようになった。
一応魔にもかかわらず、あまりにもあっさり懐いたことに苦笑した。
「このまま放したら他の魔に食べられちゃうのかな?」
ケイの手の上で楽しそうに弾んでいる様子を見ていると、保護がかきたてられる。
魔の中で最弱で、抵抗力もなく他の魔に食べられるだけの存在。
それを考えるとエルフの一族に似ている気がしてきた。
このまま野に放てば、すぐに他の魔の餌になってしまうだろう。
それがとても可哀想でしかたがない。
「……お前俺の従魔になるか?」
「!?」
“コクコクッ!”
「じゃあ、よろしくな」
言葉の意味をちゃんと理解しているのか怪しいが、頷くようにを縦に揺すったので、ケイはこのケセランパサランを従魔にすることにした。
大きさ的に丁度良さそうだったので、のポケットにケセランパサランをれ、太を見る限り晝も近いようなので釣った魚を食べることにした。
ナイフを使って鱗と臓を取った魚を、昨日のうちに用意しておいた串に刺し、焚火の近くに刺して焼き始めた。
「名前を考えないとな……」
魚が焼けるまでの間、仲間にしたのだから呼び方が必要だろう。
ケイはポケットから出したケセランパサランを見つめながら名前を思案しだした。
「まっく○くろすけ……は、絶対駄目だな。黒の玉……玉……球たま……」
最初に浮かんだのは々な理由から駄目。
ケイはそのまま連想していく。
「……キュウでどうだ?」
“コクコクッ!”
結構安易に思い付いた名前をどうかと尋ねると、玉改めキュウは嬉しそうに頷き、を左右に揺らした。
意味が分かっているのか疑問だが、呼ぶと反応してくれるので大丈夫そうだ。
「ところでキュウは何を食べるんだ?」
魚が焼き上がり食べようと思った時、ケイはふと思った。
そもそも、口があるのかもよくわからないので問いかけるが、キュウに通じているのか分からない。
「キュウ、魚食べるか?」
試しに、ケイは焼けた魚のをちょっとだけ摘まんでキュウに近付けてみた。
“パクッ!”
「♪」
「あっ!? 口あるんだ!?」
魚のを見たキュウは、小さな口を開けて嬉しそうに食べ始めた。
小さいとはいっても、の大きさを考えればおおきいのだろうか。
キュウがクリクリした目と同じくらい口で、モグモグと食べたことにケイは安堵した。
「これ、食べられるだけ食べていいぞ」
どうやら魚は食べて大丈夫そうなので、アンヘルは一番小さい魚を、皿代わりにした平らな板の上に乗せてキュウの前に差し出した。
“パクパクッ……”
「……結構食べるんだな?」
ケイが大小の大きさの2匹食べ、お腹が膨れたところでキュウを見てみると、與えた魚がほとんどなくなっていた。
食べる勢いもすごいが、キュウの大きさからしたらかなりの量になるであろう魚が、もうなくなりそうなことに驚く。
“ポリポリ……”
「……骨まで食べるのか?」
そのまま見ていたら、キュウは骨も味しそうに食べだした。
それどころか頭まで食べ始め、板の上には何も殘らなかった。
「……とっておくか?」
キュウが魚の骨や頭まで食べるのなら、もしも食糧難になったときのため、ケイは自分が先程食べ殘した骨と頭をとっておくことにし、魔法の指に収納した。
「もうし釣ったら拠點に帰ろうな?」
“コクコクッ!”
1匹食べ終えて、満足した様子のキュウをまたポケットの中にれてケイが話しかけると、キュウは頷きで返した。
「よしっ! これだけ釣れば2、3日はもつだろう」
時計がないのでなんとなくだが、3時くらいまで釣りを続けたケイの側には大きさや模様がバラバラの魚が10匹程並んでいた。
魚だけというのも栄養バランス的に良くないが、今はこれしか食材確保の手段がないのだから仕方がない。
釣ってる時に気付いたのだが、釣った魚をれるバケツのようなものがない。
魔法の指は生きがれられないようなので、釣ってすぐこの場で魚を一通り処理して指に収納することにした。
「よし! 帰ろう!」
今日一日でエルフの忌を全部アッサリと破ったケイは、釣ってる間にいつの間にかポケットの中で眠っていたキュウを起こさず拠點の窟に向けて歩き出した。
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