以前、巖場に水死が流れ著いた。

申し訳ないがその死から手にれたナイフの先の方を折り、大工道の鑿のみを作るのに使った。

そのとき殘った金屬部分を使い、ケイは新しく武を作ることにした。

とりあえず西の陸地に行くための問題が解決したが、行ったらきっと魔との戦闘が起きると思う。

ケイの今の魔法の実力では、々不安な點がある。

というのも、強い攻撃魔法を撃つとき、まだしタメが必要になる。

探知も結構な距離使えるようになり、遠距離から魔法で攻撃をできるようになった。

なので、タメにすこし時間がかかろうとも大丈夫だとは思う。

しかし、一撃目を躱すような俊敏な魔と対峙したとき、この小島まで逃走できるだけの時間を稼ぐことができないかもしれない。

一撃で仕留める威力がなくてもいいので、早さを重視した敵を足止めできる武がしい。

最初、異世界なら剣を考えたが、こので弾戦は極めて危険。

そして思いついたのが、中距離・近距離でも攻撃できる銃だった。

「ただ、構造が分かんないな……」

錬金で銃を作ろうと思っていたのだが、一つ問題があり、銃の構造が全くわからない。

殘り一つしかない貴重な魔石、構造までしっかり分かっていないで錬金を行い、形だけで実用できないができたとしたら目も當てられない。

橋を作る時に気付いたのだが、組み立てるためのを作る時、気まぐれに鑿を魔力で纏って手製の木槌で打ったら、子供の力で打ったとは思えないほど軽く木を削れた。

その時の覚から、魔力を纏ったは強化されるのではないかと考えた。

そうなってくると、わざわざ実際の銃でなくても、弾が発されればいいだけではないかと思った。

魔力を纏った銃なら、本來は威力が弱くても強力な弾が発できるはずだ。

それを考えると、ケイには構造を理解していて弾を飛ばす銃がある。

１００円ショップでも売っているような銀玉鉄砲だ。

小さい頃、安いから大した威力もなく、怪我をする心配がなかったため、數人のチームでサバイバルゲームっぽいものを友達とした思い出がある。

かに威力を上げようと、分解して改造したりしたので、構造は理解している。

普通の銀玉鉄砲で魔と戦うなんてただの馬鹿だが、魔法のあるこの世界ではこれが十分武として使えるはずだ。

「よし！　試し撃ちだ！」

昨日の夜、寢る前に錬金で作り魔力を纏わせずに撃ってみてが、ちゃんと弾がとんだ。

弾はケイがナイフでチマチマ削って作ったただの木の球。

結構時間がかかる細かい作業なので、１０発分しか作れていない。

久しぶりにこの鉄砲を撃ったが、思ったよりも速く飛ぶことに驚いた。

「………………」

“パシュ！”

魔力を纏い、狙いを定めて樹の的へ向けて引き金を引く。

“ガッ！！”

飛び出した弾は高速で飛んで樹にを穿った。

「おぉっ！　思ってたより威力あるな……」

的にした樹は結構太いのだが、弾が當たった場所には半ばまでが開いていた。

これほどの威力があれば、敵もうかつに近付くことはできないだろう。

「これで西への行き來ができる」

探知で拠點にしている小島を探索したが、魔が全然見つからない。

魚介類や海藻で食べは何とかなっているが、結構飽きてきた。

昆布が手にり、出がとれるようになってそれも幾分解消されたが、昆布はそれほど取れていない。

もっと沿岸に生えているのか、時期が早いのだろうか。

気候もしずつ暖かくなってきて、もうすぐ植も芽吹き始めるだろう。

野草が採取できるようになればもうし余裕ができるだろうが、今いる島は小さい。

西の陸地はまだどれほどの大きさなのか、人が住んでいるのかが分かっていない。

「もしかして、ここって獣人大陸なのか？」

人族の住んでいる大陸の西には、魔人大陸と獣人大陸がある。

その名の通り魔人が住んでいる大陸と、獣人が住んでいる大陸だ。

魔人大陸と獣人大陸は北と南に分かれていて、人族大陸の南西の海岸から西の海へ出たアンヘルが、もしかしたらそのまま獣人大陸に流れ著いたとも考えられる。

だが、日數的に考えると、獣人大陸にたどり著くのにはいくら何でも短すぎる。

人族大陸と獣人大陸の間に島があるとは聞いたことがないが、もしかしたら自分が知らなかっただけで存在していたのかもしれない。

「となると、ここは無人島か？」

アンヘルが持っていた地図は大分古いようで、まだエルフ族が平和な時に手にれたらしい。

載っていなくても仕方がないかもしれない。

「ここが無人島なら、何かテンション上がるな……」

テレビでよく見た無人島生活、それが頭をよぎった。

あの時見ていたケイは、自分もやってみたいと思ったものだ。

「……でも、數日ならともかく、ずっと一人でって……」

テレビでやっていた蕓人は２泊３日くらい。

それに比べて、自分はずっとというのはちょっと気が遠くなる。

しかもエルフは長命。

何百年生きられるか分からないが、ずっと一人で生きていくのは寂しい。

そう考えるとケイは思わず口に出していた。

“スリスリ！”

「……そうか。お前も一緒だから一人じゃないか？」

ちょっと落ち込むケイが気になったのか、ポケットの中のキュウがすり付いて勵ました。

それが分かったケイは、キュウをポケットから出し頭をでてあげた。