９月にり中旬に近付くと、南半球のこの島も春になりつつある。

夜はまだ冷えるが、日中は日差しが暖かくなってきた。

探知の範囲が広がり、ジャガイモを植えたり、銃の弾を増やしたりしながらケイはずっと考えていたことがある。

銃を作れ、逃走用の威嚇手段は整ったが、５歳のでは逃げ足が遅い。

前世では可もなく不可もなくといったぐらいの足の速さだった。

そこまででなくても、もうし速くないとスライムからも逃げられない。

魚介や海藻と海のばかり食べていて栄養的にはバランスが悪いが、それまでの食環境がとんでもなく悪かったため、島に著いた時のガリガリのからし痩せている程度までは良くなっている。

「これ、ヨモギっぽい！」

昨日銃を使った戦闘訓練をしていた時、植の生態系が違うと思うのでヨモギかどうかは分からないが、似たような葉が量生えていた。

鑑定をしたら食べられるようなので、ケイはその野草を手にれた。

植脂は無かったので昆布だしで煮た吸いにしたのだが、子供の味覚にはかなり苦くじた。

銃の訓練は様になって來ており、きながらでも的に當てることができるようになってきた。

そんなこんなで、橋ができてからもう２週間ほど経っていた。

「橋作った意味ないな……」

西にある陸地は、ケイが拠點にしている島と比べればかなりの大きさ。

野草も果樹も期待ができるのでなるべく行きたいのだが、人や魔の存在がネックになっている。

どちらが相手でも、逃げ足が遅ければ捕まってしまうかもしれない。

アンヘルは武の基礎を父や叔父に教わっていたので、魔法同様訓練は欠かさないでやっている。

それに加えて、海岸の砂場を利用した腳力強化もしているが、こればかりは一朝一夕で解決するような問題でもない。

「やっぱ広いな……」

１０月にるし前、ケイは拠點にしている小島から組み立て式の橋を使って西にある陸地に來た。

目の前に広がる景は、かなり遠くまで樹木が茂っている。

探知も毎日の魔法の練習でしずつ広がっている。

安全を考え、組立式の橋の側から離れず探知で周囲を見渡す。

「いないな……」

魔は危険だがメリットが多い。

食材にもなるものもいるし、道を作るときの錬金に必要な魔石も手にる。

それに、分かりにくいが魔を倒せばも強化される。

一歩間違えば命を失いかねないが、今のケイにはいいことづくめだ。

逃げ足問題は一応解決した。

銃の練習をしていた時に思いついたことだが、魔力を纏うだけでただの銀玉鉄砲が銃並の威力が出る。

それを自分のにやったらどうなるかが気になったため、し試してみることにした。

最初なので魔力を量に足に纏わせてみた。

その狀態を維持していてみたら、移速度が上がった。

「これは…………使える！」

量の魔力でこれなら、多くの魔力を纏わせればもっと早く移できるのではないか。

そう考えたケイは、纏う魔力の量を増やして試す。

思った通り、魔力を増やせば速度はあがった。

最高で前世の時に近いレベルの速度が出せた。

だが、制が難しく、魔力を足に集めるまで時間が掛かる。

それに、

「使えるけど…………疲れる」

難しい魔力の制で神的疲労を伴う上に、使った後には的疲労も伴った。

これまで魔法を使っていた時は、をかすためではなかったので気が付かなかったが、魔力を使って強化した場合の反がここまであるとは思わなかった。

技的にも的にも慣れないせいかどっと疲れた。

「５歳のには負擔が大きいのかな？」

的疲労の原因ですぐに思いついたのは、今の自分は５歳のであるということだ。

５歳で高校生並みの速度が出せるなんて異常なことだ。

その反が何もないというのは、考えればありえないことだろう。

強化をした翌日、ケイは筋痛で足がプルプルしてくのがかなりつらかった。

筋痛でヒイヒイ言ってるケイに、キュウも心配そうな顔をしていた。

「よし！　訓練の果を見せるぞ！」

結果、魔力での強化は逃走時のみ使うことにした。

練習はしているが、魔力を集めるのにまだし時間が掛かる。

それは向上した銃の腕でなんとか補うつもりだ。

「あっ！　早速スライムが……」

當然どんな魔がいるか分からないので、ケイは探知で周辺を捜索してから進み始めた。

すると、早くもスライムを発見した。

アンヘルの知識から、スライムは世界中どこにでも存在すると言われるほど繁力が強いらしい。

頻繁に會うのもそう言ったことからなのかもしれない。

「ハッ！」

“ジュッ！”

探知でちゃんと距離のある狀態で発見したので、これまで通り火魔法を放って蒸発させる。

「前よりかは発速度が早くなったかな？」

銃や強化をするために魔力を一か所へ集める練習を良くしていたからだろうか。

火魔法を放つまでの速度が上昇したようにじる。

これならスライム位なら２、３匹同時に相手にしてもなんとかなるかもしれない。

ここにはスライムが多いのか、もう一匹スライムを発見して倒し、ケイは拠點に戻っていった。