見つけたゴブリンたちは、集落と言っても大した數ではない。

ゴブリンがどれぐらいの速度で數を増やしていくのかは分からないが、ケイ自のためにも潰しておきたい。

まずは數を把握するために何度か訪れたが、全部で２０匹。

恐らくだが、５家族が草木を集めて作ったような家に住んでいる。

「地道に１匹ずつ潰すか……」

潰すにしても、一気にというのは々危険な気がする。

チラッと見たじでは、周囲の警戒や狩りに出かけるには棒のようなを持って行している。

必ず２匹１組で行しているのがちょっと手出ししづらいが、やるしかないだろう。

ゴブリンの集落壊滅を決意して機會を窺っていたのだが、全部意味がなくなった。

「ウッ……！　……豬か？」

討伐開始をしようとして西の海岸へ來たのだが、ゴブリンの集落は壊滅していた。

食い散らかされた手足や片が散している。

足跡を見るに、あの巨大豬が來たのだろう。

周囲を探知してみるが、ゴブリンの生き殘りはいないようだ。

「悩んでいた意味がなかったな……」

魔だからといっても人型をしているゴブリン。

そのため、躊躇していたのだが無駄になった。

なんだか張っていた気が抜けた気分だ。

「アンデッド化したら困るから焼卻しておくか……」

“ピョコ！”

このままにしておいてゾンビなどになられては面倒臭い。

焼卻処分しておいた方が良いだろう。

ゴブリンのだと分かっていても……、いや、ゴブリンのだからだろうか、どっちにしても気分が悪いが、散らばっている手足や片を集めると、キュウの目が食べても良いかと尋ねてきた。

「……いや、流石に食べないでくれるか？」

“……コクッ！”

処分できるのならそれでもいいかと一瞬思ってしまったが、なんだか死をむさぼるキュウは見たくないので、ケイは食べるのを止める。

キュウも主人のケイに止められてしまってはしょうがないため、指示に素直に頷いた。

枯れ葉や薪を集め、ケイはゴブリンの焼卻をした。

「帰ろ……」

豬によっていつの間にか不安がなくなったケイは、いつまでもここにいて豬がまた來たら怖いので、そのまま拠點に戻っていった。

もうすぐ冬が來る。

畑で育てていた野菜は収穫し、拠點に作った地下空間に保管している。

大工道も錬金で大揃いつつある。

冬の間は気溫が下がるので大丈夫だと思うが、これから先のことを考えて、食材の長期保管ができるように冷蔵庫を作った。

冷蔵庫と言っても、２段の箱を作り、上の段に魔法で作った氷をれ、その冷気で下の段の食材を冷やすというかなり昔の原理の冷蔵庫だ。

魚の中には傷みやすい種類もいるので、そういった種類は早く食べるか冷蔵庫にれてある。

冬になると雪が降るかもしれないため、今のうちに多く魚を釣って干にしたりしている。

結構な量の食料を備蓄できたので、去年よりも食材のなさに悩まされることはないだろう。

それと、去年のように寒い中で辛い思いをして釣りをするのはしなくて大丈夫そうだ。

大工道も大揃い、最近は錬金をすることがなくなって來た。

そのせいで、よく遭遇するスライムを倒して拾って集めた魔石が溜まりだしている。

最近錬金で作ったものといえば、これから冬になったとき鍋をやろうと石鍋くらいかもしれない。

「……寒いと思ったら降って來たか」

６月下旬、南半球のこの島は冬にった。

冬になってし経つが、どんどん気溫が下がってきた。

もうすぐ７月といったある日、ひと際朝から冷えると思っていたら雪がちらついてきた。

去年この島にたどり著いた時、樹々の日部分にし殘っていたので降る可能は考えられたが、本當に降ってきた。

周囲が白くなっていく様は、心も白く染めてくれるようでテンションがやや上がる。

“プルプル！”

キュウはポケットから顔を出してケイと同じく空を眺めるが、寒い方が勝ったのかすぐまたポケットの中に潛っていった。

「竈を中に作って置いて良かったな……」

外に積もる雪を覗きから眺めながら、ケイは暖爐で暖かくなった室で呟いた。

「春になったら布団作ろ」

アンヘルの持ちの中には、薄い掛け布団が２枚っているだけで、暖爐がなかったら凍え死にしていただろう。

島は大の部分を見て回ったのだが、布を作ることに使えそうな植は見つからなかった。

そもそも、布を作るためにはどんな植が適しているのか分からない。

前世で読んでいたラノベとかだと、蜘蛛の糸を使ったりすることが多かったので蜘蛛の魔を従魔にしようと思ったのだが、自分以外の魔を従魔にしようとするとキュウが拗ねる。

西の島には１種類の蜘蛛がいたが、ケイを見た瞬間襲い掛かってきて従魔にできるようなじがしない。

せめて綿に似た植が自生していないか探したのだけれど、なかなか見つからない。

「そもそも、どうやって糸にするんだ？」

他にも蠶の魔から絹を取るという方法があるとは思うが、紡ぎ方が分からない。

この島にはの流れのせいなのか、漂著がない。

ハンドタオル程度の布切れが流れ著く。

ケイはそれをしずつ集めていて、もうしで布団が作れそうまできた。

腕鶏の羽でも中にれて厚手の掛布団ができないか思案中だ。

「もうすぐ一年か……」

急に異世界の無人島に放り出されたが、なんとか１年過ごせた。

今年頑張ったおかげで、來年は今年ほど苦労はしないだろう。

暖爐に薪をくべ、ケイはベッドにって眠りについた。

こうして、ケイの無人島初年度が過ぎていったのだった。