《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第26話
「ケセランパサランの親子?だよ」
ケイの手の平の上のキュウとマルは、頭を下げるようにして花に挨拶した。
見た目は全く同じで、大きさがし違うくらいだ。
「よろしくね」
丸く、小さいその姿は、本當に魔なのかと疑いたくなりそうだ。
その姿に心がし和らぎ、花は優しく2匹に微笑んだ。
「親子なのかハッキリしてないの?」
先程からケイの説明では、2匹の関係がよく分かっていないような口ぶりだった。
自分の従魔なのにもかかわらず、それが半信半疑といったようにも思える。
なんとなくそこが気になり、花は尋ねた。
「う~ん……寢て翌日に起きたらキュウと一緒にいたのがマルなんだ。魔発現の兆候もじなかったし、だから、多分親子なんだと思う」
ケイは手を顎に當てて、悩むようにその日のことを思い出しながら説明した。
「ケセランパサラン自が人に見られることがないし、繁方法がどういう風なのかわからない。キュウがたまに抜けるを集めているのは分かってたんだけど、もしかしたらそれが何か意味あったのかな?」
心の安らぎとしてケイはキュウをでることが多かったのだが、キュウのは全然抜けない。
犬のように季節で生え変わったりもしないので、部屋にが落ちているなんてことがない。
それでも偶に抜けるらしく、キュウは寢床にしずつ抜けたを集めていた。
拠點を掃除しようとした時、キュウの溜めていたを捨ててもいいかと尋ねると、目に涙をためて止めてきたのでそのままにしておいた。
そしたら、數日後の寢起きにキュウとそっくりな小さな玉がいた。
10年前、ケイが初めてキュウに會った時と同じくらいの大きさだ。
優しく手に乗せてでてあげると、嬉しそうにするじもそっくりだ。
それに、マルが現れたらキュウがこれまで溜めていたがいつの間にかなくなっていた。
予想だが、ケイは集めていたがマルになったのではないかと考えるようになった。
「へ~……」
その予想を花に伝えると、心したように返事をした。
逃走を計る花たちが従魔を持つと、追っ手に居場所を特定される報を與えることになる。
そのため、従魔を持たないようにしてきた。
それに、玩というものを持つという発想が浮かばないほど必死だった。
しかし、ケイはなんだか従魔との生活を楽しんでいるようだ。
“ピョン!”“ピョン!”
「?」
花をじっと見ていたキュウとマルは、ケイの手の上から花に向かって飛び降りた。
飛び降りた2匹はそのまま花の周りを転がり始めた。
「花を警戒しないな。気にったのかもしれない」
ケイ以外では初めての人間。
キュウたちがもっとビクビクするのかた思ったが、どうやら杞憂だったようだ。
「……フワフワだ……」
コロコロと転がったり、ピョンピョン弾んだりして花の気を引くと、花が出した手に乗っかって、靜かにでられ始めた。
でた時のが予想以上に気持ち良かったため、驚きも含んでいるような想を口にした。
「ちょっとそいつらの相手してて、俺は狩りに行ってくるから」
「いや、もう大丈夫。助けてもらったお禮に、私も何か手伝うわ」
空気が重くなってしまったが、懐かしい食事はとても味しかった。
調的にはもう大丈夫なので、花は何か手伝えないかと立ち上がった。
「う~ん……、じゃあ、散歩がてら行ってみようか?」
「うん」
ケイからしたら手伝ってもらうようなことはないが、島の紹介も込めて連れて行くことにした。
「…………畑だ」
さっきまでいた場所から外に出ると、周りは畑まみれだった。
そこには々な野菜が植えられていて、見事に手れされていた。
「まずこの島なんだけど、俺以外いない無人島だから」
「あっ、そうなんだ……」
ケイが説明を始め、無人島と聞いた瞬間、花は安堵の表をした。
とりあえず、しばらくは追っ手の心配をせず安心した暮らしができそうだからだ。
「こっちの方にも島があるけど、こっちは魔がいるから気を付けて」
「うん」
ケイが西に向けて歩いていきながら説明するが、魔と聞いても花が大丈夫そうな雰囲気だ。
刀も持っていることから、戦うがあるのだろうなとケイは考える。
「こっからあっちまで飛び越えられる?」
「うん。大丈夫」
西と東の島には依然として崖が隔てている。
々と長し、飛び越えられるようになったケイは、もう昔に作った組み立て式の橋は使っていない。
花も同じことができるか分からないので、とりあえず聞いてみた。
余裕そうな返事だったので、2人はそのまま西の島に飛び越えた。
「花は鶏と豬どっちのが好き?」
「えっ? え~と……、鶏で……」
急に聞かれたのでし戸いながら花は答えを返す。
「じゃあ、こっちだ」
花の答えを聞いて、ケイは方向を決めた。
「止まって!」
「?」
し進むと、ケイが手で合図を送った。
花は探知が使える。
自分でもまあまあの距離が探れると思っている。
しかし、まだその範囲には何もじない。
とりあえずケイの指示に従っていると……、
“パンッ!”
ケイが筒のようなを腰から取り出し、その筒から小さな音と共に何かが発された。
「よし! 仕留めた」
「……えっ?」
一発撃ち、腰のホルダーに筒のようなを元に戻したケイが軽くガッツポーズした姿に、花が何が起きたか分からないでいた。
そのままケイについて行くと、羽の部分が発達した鶏が頭にを開けて橫たえていた。
『……この距離を仕留めたの?』
まともに見たのでは発見もできないような遠い距離にもかかわらず、たった一撃。
花の視界には鶏がいるなんて気づきもしなかった。
『……もしかして、ケイって強いの?』
この鶏は大陸にもいるので珍しくもないが、ちょっと鍛えただけの人間では倒すのは難しい。
それをここまであっさり倒せるなんて、捕まえた鶏の抜きを始めたケイが強いのではないかと思い始めた花だった。
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