《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第35話
「キュウ! マル! 今日はカニ鍋だぞ!」
“ピョンッ! ピョンッ!”“ピョンッ! ピョンッ!”
15層のボスだった巨大カニを倒し、ケイたちはキュウたちのお土産として足を1本もらってきた。
半分にしても鍋がいっぱいになる大きさに、キュウとマルがはしゃぐように飛び跳ねる。
「フフッ……、やっぱり持ってきてよかったわね」
「あぁ」
キュウたちが嬉しそうにしている姿を見て、花も嬉しそうに笑う。
この日は持ち帰ったどでかいカニの足のををたらふく食べ、カニ鍋を楽しんだのだった。
「明日からダンジョンはどうする?」
一応一通り案したが、ケイは明日も行くのか花に尋ねた。
去年と比べても大して変わっていないので、ケイは數日ごとに向かうつもりでいる。
「ケイが行く時ついてくだけでいい」
「いいのか?」
「うん」
強くなりたいと言っていたので、毎日でも行きたいのかと思っていたのだが、結構冷靜なようだ。
今回は結果的に大怪我は追わなかったが、ボス戦ではほとんどがケイ頼みな所があった。
ボス戦では2人とも魔闘を使っていたが、花はケイと違って長時間の使用がまだできない。
その辺もケイが早々に倒すことで問題にならなかったが、最下層のボスでは攻撃を躱すだけで全然役に立たなかった。
1人だったら死んでいたかもしれない。
花もそれが分かったからだろうか、ケイとしては斷ってきたことをあまり意外に思わなかった。
「遠距離からの攻撃できるようにならないとね」
「そうだな」
今回のことで、刀を主とした近接戦闘だけだとしんどい相手もいることが分かった。
元々、日向の人間は魔法を得意としない。
父もそうだったため、花も魔法は全然練習してこなかった。
今日ケイの魔法を見て、それが良くなかったと思うようになった。
1人でるようになるには、ケイに認められてからの方が良いだろう。
「俺はもうしダンジョンを強化しようかな……」
ケイとしては々足りない相手だったので、もうし強い魔を生み出すようにダンジョンを育てたいところだ。
「そしたら、いつまで経っても私1人じゃれないわね」
花には今でも十分きつい。
これ以上ダンジョンの魔が強くされるのは正直困る。
「そうか……」
言われてケイは納得した。
今回花はし危険な目に遭った。
そのことを考えると、ダンジョンをあまり育てすぎるのも良くないかもしれない。
「まぁ、ほっといてもしずつは強化されるわけだし、ダンジョン強化はやめておくよ」
ダンジョンは部にった生たちを吸収して強くなるのだが、空気中の魔素も吸収する。
この島の魔素は、魔の強さからしたらそれ程濃い訳ではないだろう。
なので、魔素だけを吸収して長することはするだろうが、大きな変化をすることはないだろう。
「じゃあ、キュウとマルを鍛えるか」
ダンジョンの強化をしないとなると、やることがなくなる。
花の訓練に付き合うことはもちろんするつもりだが、拠點に閉じ込めるように留守番させているのもちょっとかわいそうなので、キュウたちも連れていけるくらいに強くしたい。
「マルも魔法が使えるようになったしな……」
毒釘攻撃をキュウと同様にマルにもやらせていたら、思った通りマルも魔法が使えるようになった。
とは言っても、何かに火をつけることもできないほど、ほんの一瞬っただけの小さな火だ。
まだ役に立たないくらいの火でも、キュウからしたらあまり気分は宜しくなく、その日は1日不機嫌そうだった。
それは仕方がないかもしれない。
キュウからしたら、何年も地道に練習してできたことを、マルは1年も経たないうちにできてしまったからだ。
キュウもちゃんと長している。
最近ではピンポン玉くらいの火の玉を出せるようになった。
ケイが指示したのもあるが、まずは攻撃力のある火の魔法を重點的に練習している。
まずはスライムを倒せるくらいには長してもらいたい。
「魔相手にさせたいところだけど、蟲は毒が回るのが遅いんだよな……」
魔法の練習は毎日する必要があるが、それと同時にパワーレベリングで魔退治もさせたいところだ。
豬や腕鶏もいるが、今ではその2種類はケイたちにとっては家畜のような存在になっている。
腕鶏なんかは、卵も手にるから尚更無駄に殺すわけにはいかない。
そうなると、森ゾーンにいる蟲の魔を相手にするしかならなくなる。
ケイが使っている毒は、あるキノコの毒を使っているのだが、蟲には々効きにくい。
「抵抗でもされたらキュウが危ないからな……」
毒が効きにくいから無駄に抵抗してくる可能もある。
普通のケセランパサランよりかは強くなってはいるかもしれないが、所詮は魔の餌。
蟲が暴れて毆られただけでもキュウたちは潰れてしまうだろう。
「まだしばらく魚が相手だな。いや、蛇や蛙って手もあるか……」
最近は長が見れなくなってきたが、もうし魚を相手に続けるしかないだろう。
冬の間だと蛇や蛙の魔が冬眠だ。
ほとんどかない魔なら倒せるかもしれない。
そう考えたケイは、昔のように冬眠中の蛇や蛙を探し始める気満々のようだ。
テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記
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