《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第36話
「「……………………」」
冬も終わり、今年も僅かに降った雪が解けきり、日中の溫度が心地よくなりだした春。
拠點近くの海岸の砂浜で、対峙するケイと花。
花は腰に差した鞘から抜いた刀を、ケイは左手に銃を持って右手はフリー。
お互い魔闘を使用した狀態。
「ハッ!!」
先にいたのは花。
砂を蹴ってケイとの距離を一気につめる。
足場が悪いにもかかわらず、あっという間に刀が屆く距離まで近付いた。
上段に振り上げた刀を、花はためらいなく振り下ろす。
“ガンッ!!”
振り下ろされた刀を、ケイは銃を使ってけ止める。
元々は流れ著いた水死の持ちを利用して作った銃だが、その後、島やダンジョンで倒した魔から手にれた素材を合し、銃の耐久は錬金で強化されている。
更にそれを魔闘で強化しているので、刀をけ止めても傷1つ付かない。
「っ!?」
“パンッ!!”
攻撃を止められた花は、そのまま力で押し切るようなことをせず、すぐさま橫へ飛び退く。
その素早い判斷のおかげで、ケイの撃った銃弾を躱せた。
「いつも思うけどずるいわよね。その攻撃」
「ははっ、攻防一でいいだろ?」
し距離を取った所で花はさっきの攻撃について文句を言って來た。
ケイが花が流れ著くまでに、1人で魔と戦い続けながら作り上げた戦闘スタイルなので、そう言われてもどうしようもない。
父や叔父に教わった格闘の型に、銃を使った戦法を獨學で作り上げたものだ。
ただ、武として言えば、花の剣の方が洗練されていて無駄がないように思える。
先程の攻防は、花の攻撃をけ止めつつ銃口を向け、そのまま引き金を引いて攻撃をしたのだ。
け止めてすぐに攻撃するので、常に銃口を目で追っていないと、自分が攻撃した瞬間に銃弾をけてしまう。
ケイからしたら、花は攻撃をした後隙だらけになることが多い。
そうならないように、攻撃した後も常に攻撃される可能を意識するよう言っている。
初ダンジョンから帰ってからこの手合わせを始めたのだが、最初の頃はこのケイの攻撃が良く當たった。
慣れもあるだろうが、それが今ではしっかり躱せるようになった。
手合わせなので、當然ケイが放っているのは威力を抑えた魔力の球だ。
魔闘をしている今の花なら、當たってもが赤くなるくらいだろう。
「ハッ!!」
距離を取った花が刀を振ると、魔力の斬撃がケイに向かって飛びだした。
ケイとは違い、花は全く手加減なしだ。
「とっ!?」
“パンッ!!”
當たればケイでも怪我を負う威力。
花に撃つわけでもないので、ケイは威力を上げて飛んで來る魔力の斬撃へ銃を撃つ。
それにより、斬撃はケイからそれる。
「っ!?」
花の狙いは、ケイの意識を斬撃に向けたかったようだ。
思い通りの行によってできたその隙に、花は死角からケイへと迫っていった。
「ハッ!!」
思いっきり加速した移速度も利用し、花は右手に持った剣で片手突きを放ってきた。
「………………」
それに対し、ケイは避ける訳でもなく、自分から刺さりに行くように無言で花へと一歩近づく。
“フッ!!”
花が當たると思ったギリギリで、ケイは橫に僅かにズレて攻撃を躱す。
そして、花の右手首に手刀を落とす。
「くっ!?」
ケイの手刀で花は刀を落としてしまう。
刀を失ってもそこで諦めるようではいけない。
父にもケイにもそう言われているので、花はそのまま格闘に持ち込むつもりでいた。
だが、ケイの攻撃はまだ終わっていない。
刀を落とした右腕を、花が引き戻す前に摑み、そのまま一本背負いで投げ飛ばした。
「がっ!?」
投げられた花は、砂浜でそれほど痛くないとはいえ、背中を打って聲がれる。
「この……」
「……………………」
投げられ、咄嗟に上半を起こすが、その時にはもう花の目の前にはケイの銃が突きつけられていた。
「……參った」
「お疲れさん!」
花の降參を聞いて、ケイは銃を腰のホルダーにしまい、座ったままの花に手を貸して立ち上がらせる。
「斬撃を囮にするのはいい手だったな」
「その後の突きもあっさり躱してたじゃない!」
「いや、俺が教えた技だし、使えるからね」
ケイが言ったように、花が使えるようになった斬撃はケイが教えたものだ。
遠距離攻撃をできるようにしようと、最初は魔法を練習し始めたのだが、なかなか上達しなかった。
しイラ立ち始めていた花に、ケイは魔力をそのまま放出して敵にぶつける方法を提案した。
花の場合、刀を使った戦いが得意なのだから、魔闘で纏った魔力をそのまま斬撃として飛ばせば扱いやすいと思ってのことだったが、それが花にはぴったり合ったのか、結構すんなりと使えるようになった。
あとは距離に合わせた魔力の調節をするくらいだろう。
勿論提案したケイもこの攻撃は使える。
銃が手から離れてしまった場合、魔法の指の中にれている短剣で戦うことを想定しているからだ。
銃のように速、連が効かないが、十分戦えるだけの訓練をしている。
なので、同じ技を放たれた時の対処法も考えている。
花の斬撃が効かなかったのも當然だ。
“ピョン! ピョン!”“ピョン! ピョン!”
「おっ!? キュウ、マル」
手合わせが終わったのを見て、キュウたち親子がケイのへ飛び乗って來た。
「そろそろ畑を耕し始めないとな……」
「そうね」
今年は花とマルも増えたことだし、し規模を広げた方が良いだろう。
春の日差しで気分が良くなった2人は、のんびりおしゃべりをしながら、2匹の玉と一緒にいつもの拠點に戻っていった。
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