「ハッ！」

“スッ！”

軽く食事を終えたルイスと話をし、ケイは亡くなった人たちのを魔法の指に収納した。

ルイスに、獣人族ではを魔法の指に収納するのはタブーかどうか尋ねると、問題ないとのことだった。

人族大陸では、魔法の指にを収納するのは、し躊躇われる風にある。

をのように扱うのが不快に思う人間がいたからだ。

そうはいっても、町から町へ移することが多い商人や冒険者は、魔に遭遇する確率が高い。

魔に殺されたりした場合、魔に喰われるよりも、せめて家族にを屆けてあげるべきと考えるのが普通。

族としても、のない墓に手を合わせるよりも、全然気持ちが違うだろう。

ルイスたちのとしたら、安全な場所にお墓を作りたいはず。

そう思って魔法の指への収納を提案したのだが、気を遣う意味がなかった。

獣人族ではきちんと死者を弔うことを優先すべきことで、を運ぶ方法は関係ないそうだ。

それが魔法の指を使ったとしても問題ないらしい。

「いこうか？」

「ハイ……」

獣人の皆は調的にまだ魔と戦わせるのは不安がある。

一番元気そうなルイスでもそうなので、ケイを先頭、花を最後尾にして獣人たち５人を挾むように移し始めた。

キュウはケイのポケットにってのんびりしている。

「っ！？」

東に向けて進んで行く途中、蛇の魔が出現した。

「前に魔が……」

“パンッ！！”

魔の発見を伝えようとルイスがしようとしたが、その言葉が言い終わる前にケイが銃の引き金を引いた。

その一発でケイは蛇を仕留めた。

「…………」

「んっ？　ルイスも気付いたのか？」

ケイが蛇を仕留めて銃をホルスターにしまうと、ケイの早業に目を見開いた狀態のルイスと目が合った。

「探知の範囲が広いんだな？」

撃つ前にルイスが何か言おうとしていたようなので、ケイはその探知の広さに心した。

「……いや、俺たち獣人は鼻が利く。臭いで判斷しているだけです」

「へぇ～、なるほど……」

獣人は他の種族と比べて魔力がない。

その分、生まれ持った高い能力で補う。

先程の魔の出現も、嗅覚で判斷したようだ。

彼らは獣人族の中でも狼人族と呼ばれる種族らしく、狼から進化したと言われているらしい。

結構獣人には多い種族だそうだ。

蛇は貴重なたんぱく源。

だいぶ歩いてきたので、ここで一旦休憩をいれることにした。

丁度いいので、蛇を調理して振舞った。

「ちょっと待ってくれ」

休憩を取って、またしばらく歩いていくと、ようやくケイたちの家がある東の島が見える所まで來た。

そこでケイは皆を止めて、休んでいるように言った。

「何をしているのですか？」

昔造った組み立て式の橋を取り出すケイに、ルイスは問いかけた。

「ルイスはこの距離は飛び越えられるか？」

「大丈夫です。今は弱っているので難しいですが、アレシアと、イバンもギリギリ飛べるかもしれません。リリアナも數年経てば越えられるんじゃないかと……」

西の島と東の島の間の海峽は、結構な距離がある。

鍛練でも積まない限り、人族では簡単には飛び越せられないだろう。

筋が付いているルイスなら、ケイはもしかしたら飛び越せられるのではないかとじた。

ルイスの言うアレシアとは２０代中旬の、イバンとリリアナは高校生くらいの年、のことだ。

「大人になれば飛び越えられるようになるのか？」

まるで、長するだけで飛び越せられるような言い方に、し羨ましくじる。

「腳力にも自信があるので……」

「ふ～ん」

ケイが飛び越えられるようになったのは、かなりの鍛練をしたからだと言うのに、長するだけでいいなんて、獣人とは何とも羨ましいものだ。

ともかく、飛び越せられないようなもいるので、組み立て式の橋を渡した。

「お～い！ 帰ったぞ！」

「っ！？」

“ピョン！　ピョン！”

橋を渡り、し歩いて家につくと、ケイは帰宅の聲をあげた。

その聲に反応したマルが、嬉しそうに飛び跳ねてきた。

「……珍しい。ケセランパサラン？」

ルイスはマルの存在に気付いていたが、ケイが何もしていないので様子を窺っていた。

そして姿を見ると、小さな玉だったので警戒心が薄れた。

それに、キュウとかいうケセランパサランをケイが従魔にしていたので、こちらも同じ存在なのだろうと思っていた。

「俺の従魔だから安心していいぞ」

キュウのことも説明していたから大丈夫だと思っていたが、ルイスが僅かに警戒していたようなので、一応説明しておくことにした。

「おかえり！」「パパ！」

「ただいま」

ケイの聲に反応したのか、家の中にいたレイナルドとカルロスも外に出てきた。

可い息子たちの出迎えに、ケイはだらしなく表を崩した。

「んっ？ 誰？」

「あぁ、皆、西の海岸に流れ著いた人達だ」

ケイに頭をでられた後、レイナルドは両親と弟以外の人間を初めて見て首を傾げた。

カルロスの方は驚いたのか、ケイの足にしがみついた。

『『『『『……可い』』』』』』

獣人たちは、綺麗に整った顔立ちのレイナルドと、とてつもなく可らしいカルロスを見て、同じ想を思っていた。

ケイも形だが、目が覚めたばかりの時はそれどころではなかったので気にしていなかったが、時間が経ち、し余裕ができたからだろうか、レイナルドたちの不意打ちに、獣人（特に陣）たちはやられてしまったようだ。