《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第48話
「へ~、これが腹痛に効くのか……」
黃い花が咲いた植を前に、ケイは心したように呟いた。
ルイスに聞いたところ、リリアナの家は漢方などを扱った薬局のような店をしていたらしい。
ただ、リリアナ自は近所の料理店でウエイトレスをしていて、たまに手伝いをするだけで多くは知らないとのことだった。
それでも、何かしら役に立つ植がこの島に自生しているかもしれない。
そう思って、花とルイスと共にリリアナを連れて西の島に調査をしに來た。
リリアナが言うにはこの花のが腹痛に効く植の一種らしい。
「鑑定では食べられるかどうかだけだからな……」
鑑定にはいくつかの種類がある。
1つ目は食べられるかどうか。
食べられないのは大毒なので、これで判定している。
2つ目は敵の強さの判別。
これで敵の脅威度がある程度計れる。
鑑定では食べられるかどうかというのが分かる程度で、何が薬になるとかよく分からない。
回復薬の薬草ならアンヘルの知識で分かっていたので手にれられたが、漢方などの治療薬の材料なんか分かる訳がない。
「これまでどうしていたんですか?」
「俺も花も腹痛なんて起こしたことなかったから……なっ?」
「うん!」
リリアナの問いに、ケイと花は何でもないように言う。
これまで食べは傷んだとかを口にしないように、なるべく新鮮なを食べてきた。
痛んでそうなものは、いつの間にかキュウたちケセランパサランたちが食べてしまっていたので、腹を壊したことなど一度もない。
それだけ食生活は安定しているということだ。
「お二人が育てている野菜は味しいですし、生で何かを食べるなんてなかったからですかね?」
ルイスが言うように野菜以外で生で食べるのは控えてきた。
昔育て始めたころの野菜の味はいまいちで、栄養のある土を混ぜて野菜が味くなるように工夫してきた。
これによって、まあまあ味しい野菜ができるようになったとは思う。
それに、ケイも花も生で魚を食べられるのだが、寄生蟲とかが怖いので火を通して食べるようにしていたおかげかもしれない。
『んっ? これってもしかして生姜か?』
リリアナに言われた黃い花を抜いてみると、ボコボコしたっこが出現した。
その形は前世でも見たことがある形をしていた。
しかし、ケイは別に料理が得意ではなかったため確信が持てない。
「これ生姜?」
ケイが思っている言葉と同じようなことを、花がタイミングよく口にした。
「日向ではショウガと言うのですか? 我々はヘンヒブレと呼んでいます」
「そうなんだ……」
呼び方が違うだけでやはりこれは生姜のようだ。
生姜ならにいいと言うのは納得できる。
ケイの中の淺い知識で言うと、風邪ひいた時に生姜湯が良いとか冬によく聞いたイメージだ。
「これを食材に使うのか?」
「はい」
こんな食材をずっと見逃していたかと思うと、何だか今まで損していた気分だ。
生姜があるのなら思いつく料理がある。
時々無に食べたくなる定番の料理。
豚の生姜焼きだ。
「ちょっとケイ! 大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫……」
生姜焼きの味を思い出してしまい、1人だけ一瞬時が止まった。
そのボケッとした表がおかしかったのか、花に心配されてしまった。
それを誤魔化すようにケイはすぐに表を戻した。
「他には…………あっ!」
「んっ? 見つかったか?」
リリアナが指さす方向を見ると、そこには紫した花が咲いた植があった。
またっこに何かあるのかと思ったのだが違った。
よく見てみると、凄く小さな茄子が付いていた。
『こんなの注意深く見ないとみつからないよ』
「この植はを冷やしてくれるといわれ、夏にいい食材です」
魔もいるため、鑑定で見渡しただけで細かく探したわけではない。
それでも多くの野菜が見つかったので満足していたのだが、食材は多い方がましい。
茄子なんて似ても焼いてもいいし、漬にもできる。
食事の幅が広がる食材だ。
もっと早く見つけたかった。
「よし! 今日はこれで料理を作ろうか」
生姜を使った料理はもう決まっている。
なので、あとは茄子を使った料理だ。
ケイは別に前世で料理が上手かったわけではないが、自分のために作っているうちにしずつ上達してきた。
花も料理はできるが、はっきり言ってケイの方が上手い。
前世の知識があるからだろうか。
花もそのことを気にする訳でもなく、味しいが食べられるのだからとケイに任せることが多い。
「はい! 茄子と鶏のトマト煮込み」
「おぉっ!」
みんな味しそうな香りに嬉しそうだ。
陣の反応が特にいい。
野菜多めでさっぱりしてそうな見た目が良いのかもしれない。
「次は豬の生姜焼きだ!」
「おぉっ!!」
こっちは男陣が喜んだ。
彼等は野菜だけの料理だとちょっと反応が鈍いので、分かりやすいと言えば分かりやすい。
これにはケイも分からなくはない。
この香りと見た目を考えればがっつきたくなる。
他にも料理を出したのだが、この2品の方があっという間になくなった。
男だけでなくの方も生姜焼きが気にいたらしく、夕食に出してほしいと催促される頻度が高くなった。
これがあって、ケイたちは新たに生姜の栽培を始めることになった。
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