《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第50話
「ケイ殿!」
「んっ? 何?」
秋。
今年も稲は順調に育ち、十分な量の収穫が見込まれる。
というより、作りすぎたかもしれない。
島民も増えたことで田んぼを大きめにしたのだが、やり過ぎただろうか。
もしもの時の貯蓄分を引いても、まだ余りが出そうだ。
普通に刈るなら腰を痛めそうな広さだが、この世界には魔法がある。
しかも、ケイは魔力が並じゃない。
去年より広げたのにもかかわらず、魔力を纏って稲の元の部分をしっかり定め、一列一気に風魔法で刈り取る。
前世の稲刈り機コンバインよりも圧倒的に早い時間で全ての刈り取りが終わってしまった。
花の時もそうだったが、手伝いにきたのに見ていただけで終わってしまったことに、獣人のみんなは呆気に取られていた。
結局、獣人のみんなは、大工道でケイが作った稲木に、束ねた稲を掛けるだけで済んでしまった。
稲木に束ねた稲を掛け終えたころ、ルイスがケイに話しかけてきた。
「ここではお酒などは造っていないのですか?」
「あ~……、そう言えば作っていないね……」
余るくらいにできたことで、使い道をどうするかみんなと相談しようと思っていたのだが、言われてみればその手があった。
ただ、ケイはお酒の作り方が分からない。
というのも、前世は未年の狀態で命を落としたため、アルコールの良さが分からない。
好奇心で父親のビールを一口飲んだことがあったが、苦いだけで味いとじなかった。
なので、ラノベとかで酒を造るシーンが出てきても、全く興味が湧かず、覚えることをしなかった。
「ルイスは作り方とか分かるか?」
「いえ、全く……」
ルイスは、前の村では牧場で働いていたらしい。
本當のところは魔を狩る仕事をしたかったが、村では鋭部隊にれないと許可されなかったそうだ。
それはともかく、酒は飲んでも作り方など分からないとのことだ。
「お酒ってお米からでも作れるんじゃないの?」
近くにいた花も、ケイたちの話に加わって來た。
日向の國には、米で出來た酒、日向酒というものがあると父親が言っていたとのことだ。
「日向酒か……」
つまりは日本酒だろう。
日本酒も原料は米だった気がする。
「え~と……、でんぷんと酵母で発酵したのがアルコールだったような……」
前世では大工になると決めていた。
だからといって學業を疎かにしたつもりはない。
理數系の授業もちゃんとけていた。
とはいっても、うろ覚えくらいしか記憶にない。
アルコールと聞いて出てきたのはこれだけで、これすらも合っているか分からない。
でんぷんと酵母と聞くと、この島にもあるといえばある。
でんぷんはジャガイモから取れるし、酵母はパン作りで作ったりしている。
「米にもでんぷんがっていたような……」
米を食べるとその中のでんぷんがブドウ糖に変わる。
たしか家庭科の授業でそんなことを聞いたりした気がする。
「ということは、米と酵母でアルコールが作れるということなのか?」
単純に考えるとそうなるのだが、日本酒はそんな簡単にできていなかったと思う。
「麹は?」
「「………………」」
日本酒の最初の方の工程で、蒸米に麹を振りまいていたような記憶がある。
そもそもまた麹が出てきた。
味噌の時は麹がなくても何とか作れるようだが、流石に日本酒には麹がないと無理だろう。
酒の作り方を考えるケイは、ブツブツと獨り言を呟いていた。
そんなケイに、ルイスと花は何だか聲をかける狀況でない雰囲気に何も言えないでいた。
「食材を無駄にするのは気が引けるが、ちょっと試しにやってみようか?」
今年は余り気味に米ができた。
こういった時でない限り試して見ることなどできないだろう。
麹菌が何から取れるか分からないし、麹なしでも酒が作れるのかは分からない。
試しに々やってみて、作れるようならまた酒造り用に田んぼを拡張すればいい。
「ジャガイモの酒っていまいち味そうじゃないな……」
芋焼酎の芋はサツマイモだと言うことくらいは分かるが、サツマイモはまだこの島で見つかっていない。
代わりに、芋は芋でも、まず作ったのはジャガイモのでんぷんと酵母をまぜただ。
次に蒸した米と酵母をまぜた。
それと、ジャガイモのでんぷんと蒸米に酵母をれた。
最後の奴はでんぷんと蒸米の割合を変えて試してみる。
「あっ? 桃があった……」
米が多く取れ、酒と聞いてずっと日本酒のことをずっと考えていたが、よく考えたら果から酒ができることを思いだした。
ものすごく大雑把に言えば、ワインはブドウが発酵したもの。
もちろんブドウはワイン用のブドウだったりと、味しいワインを造ることになったら々と細かいことが重要になって來る。
今は、味はひとまず置いておいて、どうやったら酒が造れるのかということを試している狀態。
別に日本酒じゃなくても構わない。
あまり自信のない造り方より、こちらの方が功確率が高いはずだ。
とは言っても、原料の桃の味がいまいちな上に、材料としても數がない。
「數はないけれど試して見るか……」
こちらの世界でも、陣は甘味が好きだ。
ケイが作った菓子パンは結構気にって貰えている。
新しいをもっと考えてほしいと軽く催促されたほどだ。
だからあまり酒を造るのには使えないので、桃の酒はちっちゃな樽1つ分だけ作ってみることにした。
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