《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第346話
「ハッ!!」「セイッ!!」
オスカルとラファエルによる魔法攻撃。
それが魔王アマドルへと襲い掛かる。
「フンッ!」
左右から迫る足下を狙った魔力弾を、アマドルはジャンプすることで躱す。
2人の魔法攻撃はかなりの威力だが、アマドルからすれば躱すことは苦ではない。
「っ!!」
オスカルたちの攻撃を躱したが、ジャンプしたところを狙ってリカルドがアマドルへと迫る。
「オラッ!!」
「グッ!!」
空中にいるアマドルを、リカルドは武であるハンマーでフルスイングする。
その攻撃を、アマドルは両手をクロスして手甲でけ止める。
しかし、地に足を突いていない狀態ではリカルドのパワーを抑えきれず、猛烈な勢いで吹き飛んで行った。
「このっ!」
いくつもの樹々を倒すようにを打ち付けダメージをけたアマドルは、すぐさま反撃に出る。
地を蹴り、自分にダメージを與えたリカルドへと襲い掛かった。
「ハッ!!」
「ムンッ!!」
「っ!!」
リカルド目がけて拳を突き出すが、その攻撃を盾役のハノイがけ止めた。
攻撃が防がれたアマドルは、一瞬無防備になる。
「「ハッ!!」」
「チッ!!」
その無防備になった所を、オスカルとラファエルが魔法攻撃を仕掛ける。
タイミング的にも避けることができず、アマドルは舌打ちをして飛んできた魔法を手甲でけ止めた。
そのけ止めた魔力弾の威力にアマドルは吹き飛び、リカルドたちから離れた所に著地した。
「フゥ~……」
離れた距離に著地したアマドルは、神統一をするように息を吐く。
それによって、リカルドがハンマーで毆ってけたダメージや、オスカルとラファエルの魔法攻撃によってけた傷などがあっという間に回復してしまった。
「くそっ! せっかく攻撃を當ててもすぐに回復しやがる!」
回復してしまったアマドルを見て、リカルドは忌々しそうに呟いた。
かなりの魔力量と戦闘力のくせに、あっという間に回復や再生をしてしまう。
回復によって魔力量が減っているが、たいして減っていないというのも反則近い存在だ。
この4人の連攜なら攻撃をけないように戦うことはできるが、それもこちらの魔力や力が続く間までのことだ。
戦いが長引けば長引くほど、不利になっていくのは目に見えている。
「何とかして大ダメージを與えられれば……」
このままではジリ貧なことから、ハノイが呟く。
多の怪我やダメージはすぐに回復してしまう。
どうにかして大ダメージを與えてけなくし、総攻撃を仕掛けて回復し続けなければならない狀況に持っていきたい。
そうすれば、アマドルは回復し続けなければならず、魔力を消費し続けなければならなくなるからだ。
さすがに魔王といえども魔力が無くなれば回復できなくなり、どこかにある魔石ごと消し去ってしまえば死ぬだろう。
「いや、このまま戦うだけでいい」
「何故ですか?」
ハノイの呟きに、リカルドが否定の言葉を返す。
作戦としてはハノイの考えの方が正しいと思えた。
そのため、その意見を否定するリカルドの考えが分からず、ラファエルはその理由を問いかけた。
「こちらには策がある。俺たちはその策がるまでの時間稼ぎだ」
ラファエルの問いに、リカルドが答える。
どうやら、リカルドはここに來るまでに何か策を施してきたらしい。
そのため、何故不利になる長期戦をするように言っているのか理解した。
「策……ですか?」
このままの戦闘の理由は理解した。
しかしながら、オスカルはその策の容が気になった。
「あぁ、お前もよく知っている策だ」
「……あぁ! なるほど!」
オスカルの問いに、リカルドは皆まで言わずに返答した。
それを聞いたオスカルは、し考えてその意味を理解した。
自分が知っている魔王対策。
それは祖父であるケイが作り出した魔法だ。
そのことを思いだせば、リカルドの言う策を実行している人間のことが想像できた。
魔王出現からリカルドが援軍に來るまでの時間を考えると、距離的に速すぎる。
しかし、自分のように転移魔法で來たのなら納得できる。
たしか、今日は従兄であるファビオとラウルがカンタルボスに行くようなことを聞いた気がする。
きっとその2人がいているのだろう。
「あとどれくらいの時間がかかるか分かりますか?」
ファビオとラウルのうち、どちらかだけしか來ていないのならかなりの時間がかかるし、2人共來ているのならそこまで時間はかからないはずだ。
それを確認する意味でも、オスカルは歓聲までの時間を尋ねた。
「分からない。しかし、そんなに時間はかからないはずだ」
その答えでオスカルは理解した。
時間がかからないというのであれば、2人共來ているのだ。
それならば、無理をして大怪我を負うよりもこのまま戦っていた方が良い。
「了解しました!」
「分かった。2人を信じよう」
「私も了解しました」
リカルドの言う策に納得したオスカルは、笑みを浮かべて頷きを返す。
2人のやり取りを見ていたハノイも、策が何かは分からなくてもこれまで通りの戦闘を了承する。
このまま戦っていても勝てるか微妙なところなのだから、リカルドが自信ありげに言う策に懸けた方が可能があるはずだ。
そう判斷しての選択だ。
ラファエルの場合、他の者が了承しているのに、自分1人が否定できるわけがない。
そもそも、自分には策なんて言えるものがないのだから、否定する意味もない。
なので、策があるのならそれに乗るしかないため頷いた。
「打ち合わせは済んだか?」
リカルドたちが話し合っている間、アマドルは離れた距離でただ立ち盡くしていた。
聲量から言って、リカルドたちの話は聞こえていないだろう。
自分を倒すための作戦を練っているというのに、隨分と余裕の態度だ。
アマドルも分かっているのだ。
即興で組んだというのに、4人の連攜はかなりのものだ。
攻撃はハノイに止められ、近距離ならリカルドの攻撃があり、離れればオスカルとラファエルの魔法攻撃が飛んでくる。
その攻撃は完全に躱すことはできず、多のダメージを負ってしまう。
しかし、そのダメージもしの間を作れればすぐに回復できる。
魔力量も能力も高い自分なら、時間をかければそのうち4人が力盡きるはずだ。
自分はそれまで戦いを楽しめば良いだけ。
その考えからの余裕なのだろう。
「余裕かましていられるのも今のうちだけだ」
「へぇ~、そいつは楽しみだ」
このまま戦っても負けるというのは分かっているはず。
それなのに自信ありげに言うリカルドに、何か考えがあるのだろうと、アマドルは笑みを浮かべて返答したのだった。
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